いつものように、飛車落ちでお願いしました。
図は、37手目に上手が▽8四歩としたところです。飛車落ちでは、上手から積極的に攻めるという方策がほぼ不可能です。下手が右四間飛車の作戦を採用し、慎重に指せば、だいたい図のような駒組みが実現できます。この図は駒組みが頂点に達したところです。ここでオーツは仕掛けることにしました。
▲4五歩、▽同歩、▲同桂、▽同桂、▲2二角成、▽同金、▲4五銀、▽4四歩、▲同銀、▽同銀右、▲5六桂、▽5三銀打、▲4四桂、▽同銀右となりました。
この手順は、下手から仕掛けたときの典型的な手順です。ポイントは、上手が▽4四歩と下手の攻めを受けたときに、▲同銀と銀を捨てることです。(これはオーツがS先生から以前おそわったことです。)すると、こんな手順になるのが普通です。
飛車落ちでは、下手が攻め始めたら上手を一気に押し倒すのが正しい手順です。とはいえ、この局面では下手からの攻め筋がいくつかあって、どれを選ぶか悩ましいところです。
水匠5の判定では、▲4一角が 1,595 点で最も高得点です。次が▲同飛で 1,512 点、さらに▲7五歩が 1,404 点で続きます。
局後の感想戦で、S先生は自分なら▲4二歩とするという話でした。次に▲4一歩成があり、さらに▲4二とと引かれると上手陣は崩壊します。だから、▲4二歩には▽3二金と寄るのがよさそうですが、▲4一歩成、▽6二金に▲5一角とすると、▽6一金、▲4二角成、▽5二桂というような展開になります。オーツの感覚で下手から見ると、けっこうむずかしそうな展開です。
対局中は、水匠5の解析結果などはわかりませんから、オーツなりに読みを進めて、▲7五歩、▽同歩、▲7四歩、▽6五桂、▲4一角と攻めました。それに対して上手は▽4五歩と打ってきました。
この▽4五歩が上手の守りの手として好手段でした。これで下手の飛車の活用ができなくなってしまいました。だから、先の図の段階で▲4四同飛と飛車を切る(銀と刺し違える)手があるというわけです。もっとも、仕掛けてすぐの局面ですから、こんな早い段階で飛車を切るというのは、下手としてなかなか決断しがたいものだと思います。
上手に▽4五歩と守られてから、下手がどう攻めるかも悩ましいところです。
オーツは、▲7三銀と打ち込んでいったのですが、水匠5によれば、これよりも▲5二銀のほうが厳しかったとのことです。評価値を見ると、▲5二銀のほうが▲7三銀よりも 1,300 点ほど高くなっています。▲5二銀は、以下、▽同銀、▲同角成となり、そこで▽7一桂には▲7三銀、▽6一桂には▲8一銀といった攻めがあります。
実戦の▲7三銀以下は、▽同金、▲同歩成、▽同玉、▲6三金、▽8二玉、▲7四歩、▽8一桂となりました。
こういう展開になってみると、下手の飛車が遊んでいて、上手の4五にある歩が1枚で飛車をガッチリ受け止めていることがわかります。上手から▽4五歩と打たれる前に下手から飛車切りをしておくべきだったというのを強く感じました。
以下、▲6四金、▽5二銀打、▲7三歩成、▽同桂、▲7四歩、▽4一銀、▲7三歩成、▽7一玉、▲6三金までで上手の投了となりました。
投了図を見ると、上手の左辺(盤面を見ると右側)に上手の金銀が取り残され、下手が金とと金の2枚で攻めていったことがわかります。
下手陣はまったくの手つかずで終局となりました。下手が仕掛けからずっと攻め続けると、こんな形で終局となるものです。
飛車落ちの典型的な一局となったように思います。

