2026年03月10日

勝又清和(2025.9.8)『キホンからわかる東大教養将棋講座』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版

 オーツが読んだ本です。
 将棋の入門書です。たいていの将棋の入門書は、将棋の指し方の紹介であり、それぞれの駒の動かし方から始めて、将棋のルールを解説するスタイルで書かれます。しかし、本書は違います。というのも、本書は東大教養学部で著者が担当している将棋の講座が元になっているからです。文化としての将棋の側面も重視されており、指し方だけにこだわりません。
 将棋のいろいろ多様な側面が書かれており、その意味では教養や知識として将棋を知るのに適していると思われます。
 しかし、その分、指し方については非常に簡略化されています。詰将棋の問題もありますが、1手詰めから3手詰めが11問ほど挙がっているだけです。実戦形式では、居飛車棒銀戦法と振り飛車の形だけが紹介される程度です。ここまで割り切った内容というのも珍しいと思います。
 全体を一読しても、新しい何かが書いてあったという感じはあまりしませんでした。ずっと将棋を指していればだいたいは知っていることばかりといったところです。
 しかし、ゼロから学ぶ場合は、こういう入門スタイルもありだと思います。
 内容は次の通りです。
第1章 将棋界とはどういう場所なのか
第2章 棋士は複雑な曲面をどう読むか――人間とAIの思考の違い
第3章 将棋の基礎を知る――読みのテクニック
第4章 棒銀(居飛車)、振り飛車を知る
第5章 棋士の思考――対局から知る大局観
第6章 将棋の歴史
第7章 プロ棋士になるには
 新書版サイスの250ページほどでこれだけの内容を盛り込むことはかなり無理な話です。それぞれ不十分な記述にならざるを得ません。しかし、分量を増やしたら「入門書」ではなくなってしまいます。どうやっても中途半端なものにしかならず、なかなか満足のいくものにはならない宿命です。著者がそのあたりを勘案してこんな分量でこういう内容を取り上げると決めたのだろうと思います。著者の英断に拍手を送りたいと思います。
 オーツはこういう形の「入門書」もありだと思いました。ただし、当然ながら大人向けです。子供は従来型の指し方の紹介を中心とした入門書の方がいいと思います。

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posted by オーツ at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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