オーツが読んだ本です。「情報の海と推論の山を越える翼をアナタに!」という副題がついています。
簡単に言うと、統計学の入門書です。
とはいいながら、実は、あまり数式が出てこない点でかなりユニークな入門書だといっていいでしょう。
人文系では、数学を苦手と考える人が多く、数式を見ただけで「もうわからない」という反応を示す人さえいますから、そういう人に統計学を知ってもらうには、こういう本もいいのかなと思って読んでみました。
著者は、かなり博学の人のようです。統計学の歴史にも詳しく、オーツの知らないこともいろいろ書いてありました。
たとえば、箱ひげ図については、オーツはSPSS に搭載されて普及したと思っていましたが、そうではなく、テューキーが考案したのだそうです。p.22 の記述によると、Tukey 1977 のオレンジ本が元ネタだそうです。本書には、英語の 688 ページの本のタイトルが出ていましたが、こんなのを一通り読むだけでもくたびれそうです。
また、「平均化」という概念自体が新しいもので、1650 年以前はそういう考え方はしていなかったことなど、驚きの事実でした。p.47 の記述によると、イアン・ハッキング(2013)『確率の出現』慶應義塾大学出版会 にそう書いてあるそうです。
p.110 には、二項分布の n が増大すると正規分布に近づく話が出てきますが、n が 20, 100, 200 についてグラフを示しているのは興味深かったです。n=200 くらいで二項分布は十分正規分布で近似できるのですね。
正規分布のグラフの形などをきちんと示すのはなかなか難しい面があると思います。オーツが二項分布を計算し、n を次第に大きくしてみたグラフを書いたときは、正規分布の「山頂」の形がこんなにきれいになりませんでした。もしかすると、オーツが何か間違えたのかもしれませんが。今度、改めてやり直してみようと思います。
何はともあれ、普通の統計学の入門書と違った異色の入門書でした。
巻末には、参考文献もきちんと示してあり、この先を学ぶために推薦の図書が列記してあります。(とはいえ、「次の本」はこの本と比べるとずいぶん難しそうですが。)
2015年07月27日
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