2019年08月29日

ダグラス・マレー(2018.12.27)『西洋の自死』東洋経済新報社

 オーツが読んだ本です。「移民・アイデンティティ・イスラム」という副題がついています。
 ヨーロッパは、大量の移民・難民の流入によって自ら死に向かっているということを述べています。イギリス、オランダ、フランス、ドイツなど、それぞれの具体的な移民政策が述べられます。なぜ、このような外国人歓迎の西洋の考え方が問題か。
 第1に、移民の数の多さです。数百人〜数千人くらいなら、何とか扱えるかもしれませんが、数万人から数百万人ともなると、普通の国では扱えません。大量の移民の流入によって、その国が疲弊してしまうのです。
 第2に、移民の多くはイスラム教徒です。イスラム教は、宗教という側面もありますが、キリスト教や西洋の政治体制とは大きく違った面があります。たとえば、アラーの神を侮辱するようなことがあれば、イスラム教の指導者がイスラム教徒に「誰それを殺せ」と命令し、実際、当該人物が殺されてしまうという事件が起こっています。このように、イスラム教徒は危険な一面を持つのですが、そういう人物が大量に西洋社会に入り込んでしまったわけです。大変なことになるわけです。最近の西洋のテロなどは目に見える問題として世界中から注目されています。さらに、目に見えない問題として、女性への強姦事件が極めて多数起こっているとのことです。加害者は外国人の若者である場合が多数です。
 こうして、大量の異人種が入り込んでしまった西洋は、もう今までの社会とは異なるものになってしまったともいえます。
 オーツの考えでは、ヨーロッパは国境をなくす(域内の人は他国へも自由に移動できるようにする)ことを目指しているようです。しかし、それによって、外国人移民・難民もまた移動の自由があるように考えられ、そう扱われてきました。その結果、ヨーロッパ各国に多数の移民・難民が存在する形になってしまったのです。
 この話はヨーロッパだけの問題ではありません。次なる問題として、日本も移民・難民の問題をどう扱うかということをめぐって、重大な危機が訪れようとしています。日本のこれからのあり方を議論する上でも、ヨーロッパの経験してきたことを先例として尊重するべきでしょう。移民によって多様な文化がもたらされるというようなプラス面もあるのですが、表だって語られない大きなマイナス面があるわけです。そういう議論が行われ、その結果としてこういう経緯を経て、ヨーロッパの現状があるわけです。日本は、ヨーロッパと違う面がいろいろあります。日本語を話す人々が多数集住していて、外国人が少ないこと、貧しい外国から相当な距離があること、ヨーロッパのような共同体意識ないし政治体制がなく、周りの国々から独立していることなどが日本の特徴です。それを活かしつつ、移民・難民問題を考えていきたいものです。
 そういう移民・難民を考える上で大きな手がかりになるのが本書です。

 本書は、本文全体で 512 ページほどあり、オーツはとりあえず 320 ページほどを読んだ段階で、中断しました。結構長いです。
 読みながら、ヨーロッパの苦悩がひしひしと感じられました。



参考記事:
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=7578
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2019年08月25日

高山正之・阿比留瑠比(2019.2.10)『マスメディアの罪と罰』ワニブックス

 オーツが読んだ本です。産経新聞社に関係する二人の対談という形で書かれています。おそらく実際に対談が行われたのでしょうが、それにしても日付を含めた細かい話を(二人とも)よく覚えていられるものだと感心します。おそらく手元にメモなどを用意して対談したのでしょうね。オーツなどは、そういう話はすぐあやふやになってしまいがちです。
 本書の内容は、マスメディア批判ですが、特に、朝日新聞を取り上げて、どんな事件を引き起こしてきたか、それがわかったあとでどうしたか(どうなったか)を論じています。マッカーサーのころにまで(さらにはもっと古くまで)さかのぼって、朝日新聞が何を書き、何を主張してきたか、克明に書いています。新聞の紙面に書いたことだけでなく、取材の過程で、朝日新聞がいろいろな「悪事」をやらかしてきたことが述べられます。
 その内容の具体例は本書を読んでほしいところですが、まあとにかくすごい話が次々と出てきます。
 こういう新聞社が日本にあること自体が不思議です。早く潰れてほしいものだと思います。しかし、本書中でも出てきますが、朝日新聞は大変な規模の不動産を所有しているので、それだけでも生き残っていけるのだそうです。
 ということは、今後も害悪を垂れ流し続けるということですね。いやはや現状が今後も継続するということですか。何だか、いたたまれない気分になってきます。



参考記事:
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-5217.html
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2019年07月21日

倉山満・はすみとしこ(2018.6.9)『面白いけど笑ってはいけない!』ビジネス社

 オーツが読んだ本です。副題が二つ付いていて、一つはカッコ付きで「(国民の敵はここにいる)」です。もう一つは「日本をダメにしたパヨクの正しいdisり方」です。
 左翼系(パヨクと呼んでいます)の論説を滅多斬りにする主張が並んでいます。
 第1章がマスコミ・出版、第2章がパヨク有名人、第3章が政党・政治家、第4章が国際、第5章が学者、第6章がモノホン・パヨク、第7章が公明党というわけで、節ごとに具体的な個人名などが挙げられていて、その主張のどこがおかしいか、順次取り上げて論じていくスタイルで書かれています。
 全体としてなかなかおもしろい本でした。書いてあることはもっともだと感じます。ただし、副題に「disり方」とあるように、正面から論じるというよりは、著者二人の対談形式で少し斜めの方向から突っ込みを入れるスタイルになっています。こういう書き方は、オーツの好みに合いませんが、多くの人にはこういう論じ方のほうが受け入れられるのでしょうか。
 249ページの本ですが、そんなに頁数をかけなくても同じことが書けるように感じました。つまり、やや冗長なところがあるという印象です。
 とはいえ、書いてある中身はしっかりしていますから、気軽にいろいろな人におすすめできる本だと思います。
 それにしても、本書で取り上げられる人々・団体がたくさんあって、ある意味では、こういう論説が日本国内の多数派のように感じられます。そういう中で、著者二人がそれに異を唱えている態度は立派です。左翼系の人々はこういう本にどう反発するのでしょうか。そういう立場の意見も聞いてみたいものです。

参考記事:
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-4867.html


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2019年07月01日

八幡和郎(2018.1.1)『韓国と日本がわかる最強の韓国史』(扶桑社新書)扶桑社

 オーツが読んだ本です。
 先日読んだ宇山卓栄氏の本
http://o-tsu.seesaa.net/article/467362982.html
に引き続き、韓国史の本を読んだことになります。
 韓国と北朝鮮を含めて(さらにやや満州に踏み込んだ地域も含めて)朝鮮半島の歴史を描いています。
 オーツが読んで一番興味を持ったのは、韓国の歴史をたどると、時の皇帝なり王なりが回りの国を考慮しすぎて、ある意味でその判断が迷走し、結果的におかしな事件を引き起こしてきたということです。
 韓国を見ていると、歴代大統領が退職後に自殺したり投獄されたり散々ですし、最近の日韓関係に関連しておかしな判断がなされている状況があるわけですが、それは、何も過去70年の韓国の歴史であるだけでなく、ずっと昔からそうだったということです。
 本書の中にはそんな歴史が縷々綴られています。
 ということは、日韓関係を改善するなどということは、一筋縄ではいかないということを意味します。安易に日韓関係の改善を模索するのでなく、丁寧に無視するような態度が必要なのかもしれません。

参考記事:http://agora-web.jp/archives/2031483.html


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2019年06月22日

宇山卓栄(2018.11.1)『朝鮮属国史』(扶桑社新書)扶桑社

 オーツが読んだ本です。「中国が支配した2000年」という副題が付いています。
 朝鮮の歴史が書かれています。オーツの場合、そういうテーマに絞って書かれた本を読んだことはたぶんないと思います。いや数十年前に読んだかもしれませんが、すっかり忘れています。
 朝鮮半島には、真の意味での独立国はなかったということがわかります。ずっと中国の属国という位置づけだったからです。中国の属国というのは、つまり中国に隷属する国ということであり、独立国というのとはだいぶ異なります。李氏朝鮮などはその典型であり、中国に毎年様々な貢ぎ物をしてきました。その中には「美女」(人数は不明ですが、3千人という推定がなされています)も含まれるとのことです。そういうことを続けてきた結果、民衆の生活レベルは低く、支配者層には(また民衆にも)公益とか公共という考え方がなくなってしまいました。朝鮮の歴史を知ると、この地域では政治や社会がまともに機能した歴史がありません。
 日韓関係を中心に現在の韓国の行動を見ていると、常識に欠けるとんでもない国のように見えます。なぜそんな行動をするのでしょうか。その原因の一つは韓国が(というよりは朝鮮民族が)2000年にわたって中国に隷属してきたことにあるといえるかもしれません。
 オーツがおもしろいと思ったことの一つに、ハングル制定が中国への反逆とされたことがあります(第6章)。独自の文字を持つことは、その裏にさまざまな事情を抱えていたのですね。明にはハングルが文字ではなく発音記号だと説明したとのことです。ハングルは女子供の文字とされ、両班たちは漢字を使い続けました。諺文(おんもん)という呼び名は「卑俗な文字」という意味です。その後、後世(19世紀後半)になって、朝鮮半島全体にハングルが広がるわけですが、これには日本が大きく関わっています。
 朝鮮半島の苦難の歴史はもっと知られていいことのように思いました。
 本書は新書ですから、手軽に読めます。


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2019年06月06日

山崎潤子(2018.4.13)『10キロやせて永久キープするダイエット』文響社

 オーツが読んだ本です。
 ダイエットの本です。著者自身がダイエットを実行しました。そして成功しています。
 その方法は、くわしくは本書を読むべきですが、毎日自分の体重を記録するとともに、仲間と一緒に励まし合い、自分で反省しつつ長く続けています。
 特にこれといった方法はありません。ダイエットとはそんなものでしょう。
 要は食べる量を減らし、それ以上にカロリーを消費していけば、やせるものです。
 オーツは自らダイエットを行おうとしたことがありませんが、1日から数日間、食べなければ確実に体重が落ちます。何回も経験済みです。食べなければやせられます。食べないことはさほど苦痛でもありません。しかし、それは不健康だと思います。
 やはり、適度に食べ、普通に生活したいものだと思います。
 とはいえ、若干体重が多すぎ(BMI が 25 以上)のオーツとしては、今後、ダイエットが必要になるかもしれません。そんなことも考えて、ちょっと1冊ダイエットの本を読んでみようという気になりました。
 なぜこの本を選んだか。タイトルに引かれたこともありますし、心理学者の海保博之さんが監修しているからということも勘案しました。


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2019年06月04日

ユヴァル・ノア・ハラリ(2018.9.30)『ホモ・デウス』(上・下)河出書房新社

 オーツが読んだ本です。「テクノロジーとサピエンスの未来」という副題が付いています。
 著者がとても博識であるだけでなく、著者の読んだ様々な分野の知識が結びつけられて大きな全体像が描かれる感じです。一言で言うと、人間は昔から言われているところの「神」になったようなものだし、これからますますそうなっていくということです。人類は、科学や技術を発展させることを通じて「神」になるわけです。

第1章 人類が新たに取り組むべきこと
 過去の人類の歴史では、飢饉・疫病・感染症・戦争などの脅威にさらされてきましたが、現在、それらの多くは解決してしまい、多くの人は、死ぬまでに直接経験することがありません。こうして、未来の人類は不死を目指し、あたかも「神」になるかのようです。

第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する

第2章 人新世
 人間が地球を、またそこに住む多くの動物たちを(家畜という形で)支配するようになってきた歴史を展望します。

第3章 人間の輝き
 人間の命はブタの命よりも価値があるのかと問います。人間は意識を持っています。それは脳の中にあるように思えますが、現在では、コンピュータが意識を持つようになりつつあります。動物の一部にも意識があるようです。
 人間が社会を構成しているときに、どんな仕組みが働いているのでしょうか。

第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第4章 物語の語り手
 農業革命によって、人類は農耕で食べていくようになりますが、それと合わせて文字と貨幣を発明し、使うようになり、社会が大きく変わっていきました。

第5章 科学と宗教というおかしな夫婦
 科学は宗教とどう折り合いをつければいいのでしょうか。
 宗教を著者はかなり広いものととらえており、共産主義などもその一種だとしています。現代の人間が信じている「人間至上主義」も、一見科学であるような顔を見せていますが、宗教の教義のようなものだと考えられます。

第6章 現代の契約
 社会は定常的なものではありません。経済がどんどん大きくなるから、利息というものが発生し、さまざまなレベルで契約社会になったのです。

第7章 人間至上主義
 人間の自由意志が最高の権威であり、自分のしていることの意味は自分が考えるべきもので、究極的に自分自身が一番だという考え方が広く認められる社会になって、「神」は不要になってしまいました。芸術も教育もその意味を変えてしまいました。自由主義も社会主義も人間至上主義から発生しています。

第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる

第8章 研究室の時限爆弾
 自由意志というものも、ほんとに自由か疑問があり、脳を各種手段で刺激して感覚や感情を変更してしまう技術が発達中です。そうなると、人生の意味は何かという根本的な疑問がわきます。

第9章 知能と意識の大いなる分離
 コンピュータの発達によって、人間は大きな力を手に入れましたが、一方では、それによって人間が無用な社会が形成されようとしています。生命がアルゴリズムであるなら、Google が自分のことをよく知っている状態では、自分自身に関する判断を自分で行うよりも Google に任せてしまってもいいのではないでしょうか。

第10章 意識の大海
 テクノ人間至上主義とデータ教という新しい宗教が発生しています。テクノ人間至上主義では、テクノロジーを使ってホモ・デウスへの進化を予想します。

第11章 データ教
 データ教、つまりデータ至上主義は、森羅万象がデータの流れからできているという考え方ですが、現在すでに科学界の主流をなしています。政治制度もデータ処理システムとして解釈できます。データ至上主義が世界を征服すれば、ホモ・サピエンスはいらなくなってしまいます。

 著者の広範な知識には驚くばかりです。未来を語りつつ、歴史を始め哲学や芸術などあらゆるものに言及していきます。本書は簡単な要約ができません。全体として、ものの見方のようなことを論じています。メインテーマは人類が今後どうなっていくかですが、現代のコンピュータの発達を中心に置きながら、「その先」を見ようとしています。

 上下2巻に分割されて出版されていますが、内容は事実上連続していますので、1冊にしてもよかったと思います。紙の質を薄くするとかの工夫が必要だったように感じます。(出版社のもうけ主義が感じられます。)
 あとで気がつきましたが、上下合本版も出版されています。

参考記事:
http://imnstir.blogspot.com/2018/09/deus-ex-machina.html
https://imnstir.blogspot.com/2018/09/deus-ex-machina_16.html



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2019年05月20日

升田幸三(2003.8)『名人に香車を引いた男』(中公文庫)中央公論新社

 オーツが読んだ本です。「升田幸三自伝」という副題が付いています。
 オーツが読んだのは、文庫本ですが、その底本は1980年に朝日新聞社から出版されています。
 中身は、1979 年の週刊朝日での30回にわたる連載をまとめたものということになります。子供のころから 昭和33年ころに至るまで、どんな人生を歩んできたかを語っています。
 升田幸三の自伝ということで、将棋好きなオーツとしては一度読んでみたいと思いました。
 まさに波瀾万丈の人生です。オーツが升田幸三の名前を知ったのは 1960 年代の終わりころですから、本書に書かれているかなりの部分は知りませんでした。本書では、子供のころからの無鉄砲な性格がよく書かれています。
 本書は、将棋の技術面の解説よりも、それぞれの対局相手(特に、木村義雄、大山康晴の二人)のことを升田がどう見ていたか、どのようにして闘志を燃やしていたか、そのあたりがくわしく書かれており、大変興味深く読みました。
 陣屋事件がどういう経緯をたどったのかなども、オーツはよく知りませんでした。同世代を生きているのでない限り、あとの時代ではくわしく書かれることはないものでしょう。

 13局の棋譜も載っていますが、それがメインではありません。
 そもそも、棋譜がかなり読みにくいものになっています。約20手分をまとめて1譜として掲載していますが、さすがに20手くらい進むと個々の局面が頭に入り切りません。もう少し小分けにしてもらえないと、本で読んで将棋を追いかけるのはかなり大変です。まあ、棋譜がメインではないですから、指し手の意味がわからなくてもいいのかもしれませんが、せっかく棋譜が載っているなら、盤と駒なしで読んでいける程度の長さにしてもらいたいと思いました。
 いや、これは、オーツが歳を取ってきて、長い棋譜が頭に入らなくなっているせいなのかもしれません。

参考記事:
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-4083.html


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2019年05月15日

藤沢数希(2015.6)『ぼくは愛を証明しようと思う。』幻冬舎

 オーツが読んだ本です。
 小説仕立てです。恋愛工学実践編といった内容でしょうか。もてない男が、とある男性から教えてもらった恋愛工学を応用することによって、Aクラスの女性との恋愛(セックスを含む)を実践するといったスジです。本書の大部分は、ナンパのしかたとその実践というあたりが占めています。
 書かれているナンパの成功確率などは、それなりにもっともらしく思います。また、ナンパに際してどういうことに注意するべきかなどに関する指南書的な性格も持っています。参考になる話がいろいろ盛りだくさんです。(ただし、まあ、ナンパがそんなにうまくいくとも思えないのですが。オーツは経験がないのでわかりません。)
 こんなふうにあけすけに書いてしまったら、周りの人が著者を見る目が変わってしまうように思います。よくぞ書いてくれたという感想を持ちました。
 本書はフィクションですが、ある意味で著者の恋愛観が前面に出てきているようにも思えます。(まあそういう読み方はいけないのでしょうが。)
 では、オーツが若かったら、この本で描かれているようなことを実践するでしょうか。たぶん、そうしないように思います。若いころは金がなかったから本書で描かれるような「遊び」は、やろうとしてもできなかったでしょうねえ。それに、オーツは早めに結婚したので、その後はナンパうんぬんは、ほぼまったく興味がなかったように思います。
 とはいえ、若い男性はこの本を読んでもいいのではないかとも思います。この通りにせよなどということではなくて、本書に描かれているような恋愛観もあるのだということを知っていて損はないと思います。
 オーツは単行本を読みましたが、同内容の文庫本も出ているようです。




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2019年04月24日

江崎道朗(2018.8.30)『日本占領と「敗戦革命」の危機』(PHP新書)PHP研究所

 オーツが読んだ本です。
 戦後直後の知られざる歴史を語ったものとして興味深く読みました。
 ヴェノナ文書という、1995年に公開された文書があります。それは、第2次世界大戦前から戦中にかけて在米のソ連スパイとソ連本国の秘密通信を傍受し解読したものです。50年経ったので、公開されたのでしょう。これによって、当時の世界情勢、特にソ連がどう動いていたかがくわしくわかるようになってきました。
 その中で一番重要だったことは、日本が終戦を迎えるに当たって、ソ連は「敗戦革命」をねらっていたということです。東ヨーロッパで起こった政変と同様に、敗戦のタイミングで日本を共産主義体制にしてしまおうという目論見でした。実際に、日本共産党はその方向で動いています。野坂参三が中国から帰国し、敗戦革命を実行に移そうとしています。日本を支配下に置いていたGHQの中に、大量のソ連・コミンテルンの工作員が潜り込んでおり、彼らもまたその方向に動きました。何と、日本は共産国になっていたかもしれないのです。
 それを押しとどめたのが昭和天皇と吉田茂などの保守自由主義者だったということです。
 まさに驚きの昭和史です。
 オーツはこんな大事な問題があったことをまったく知りませんでした。
 本書の記述はとてもくわしく、戦前から戦後にかけての世界各国の思惑、その中で日本がどう判断したのかが記述されています。日本の戦後史を知るための貴重な一冊のように思いました。
 目次を以下に示します。どんな内容が書かれているのか、概要がわかると思います。

序 章 「敗戦で平和になった」という誤解
第一章 ルーズヴェルト民主党政権下での対日「敗戦革命」計画
第二章 中国共産党による対日心理戦争
第三章 戦時下での米中結託と野坂参三
第四章 近衛上奏文と徹底抗戦の謎
第五章 停戦交渉から逃げ回ったエリートと重光葵の奮戦
第六章 占領政策という名の日本解体工作
第七章 GHQと日本共産党の蜜月
第八章 昭和天皇の反撃
第九章 仕組まれた経済的窮乏
第十章 敗戦革命を阻止した保守自由主義者たち

 本文が500ページを越える量になります。新書とはいえかなりのボリュームがあります。しかし、内容がおもしろいので読んでしまえると思います。

参考記事:
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52019024.html


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2019年04月20日

八幡和郎(2019.2.10)『捏造だらけの韓国史』ワニブックス

 オーツが読んだ本です。「レーダー照射、徴用工判決、慰安婦問題だけじゃない」という副題が付いています。いや、実は、表紙や奥付を見ると、『レーダー照射、徴用工判決、慰安婦問題だけじゃない 捏造だらけの韓国史』がタイトルであるとするべきなのかもしれません。表紙も奥付もこの順序で(ただし「レーダー〜」のほうがずっと小さく)書いてあります。
 最近の韓国の言動はおかしいことだらけですが、それらをとりまとめて「ほら、韓国の言い分はこんなにおかしいでしょ。彼らは歴史を捏造しているのですよ」というのが本書の内容です。
 著者の主張にいちゃもんを付けるつもりはありませんが、ちょっとというかだいぶ気になったことがありました。著者は韓国の言い分も、それに対する反論(実はこうだという主張)もかなりたくさん書いています。おそらくそれらは正しいのでしょうが、その出典というか、もともとどこに書かれていたのか、そういう情報をまったく書いていません。
 仮に反論の対象となる主張であっても、それがどこに記載されていたのかを明示する必要があるのではないでしょうか。仮にハングルで書いてあって、一般の人が読めなくても、一部の人は読めるはずですから、心ある人なら、原典に遡って、そのような記載を確認すると思います。しかし、出典が一切明示されなければ、そういうことはまったくできません。
 出典をまったく示さないとするなら、そこに書かれた内容は著者が直接経験したことというように読めますが、まさか、数百年前の「事実」を著者が直接体験することはできません。であるなら、なぜこれこれこのように書いたのか、それは何によっているのか、著者は何で確認したかを示す必要があるのではないでしょうか。
 さらにいえば、これこれは日本書紀に書いてあるという言い方もでてきますが、そういう場合は、具体的に、日本書紀のどの部分に出てくるのか、たとえば、岩波日本文学大系の上巻とか下巻とかとともにページ数を示す必要があるのではないでしょうか。著者が参照したものが別のものであれば(たとえば、日本書紀を孫引きした何らかの本によっている場合とか)、それに基づいて出典を示すべきだと思います。
 オーツがそういう出典を疑っているわけではありません。しかし、もしも疑いを持つ人がいたら、その疑いを晴らすのは著者であるべきで、読者にそういう疑いを持たせないように、あらかじめ出典を明示するものなのではないでしょうか。
 書かれている内容に関して、「そんなの常識だよ」といわれるかもしれませんが、常識であっても、そういう常識がない人向けに、細かく出典を示すような書き方が必要なのではないでしょうか。
 そういう意味では、本書では情報の出典が一切示されないことで、読者に対して信頼性に疑問を抱かせるかもしれません。
 読み物としては非常におもしろいのですが、それだけに、もう少し出典を細かく示すようなことがあると、なるほどと感じさせるところが大きくなったのにと思いました。この点、オーツとしてはちょっと残念でした。

参考記事:
http://agora-web.jp/archives/2036488.html


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2019年04月16日

鈴木亘(2018.3.20)『経済学者、待機児童ゼロに挑む』新潮社

 オーツが読んだ本です。著者の鈴木亘氏は学習院大学経済学部の教授であり、かつ東京都の(小池知事の)顧問でもあるという立場にいます。どうすれば保育園の入園を待つ待機児童がなくせるかという問題を語っています。
 第1章「我が家の待機児童体験記」では、著者自身の保育経験を述べています。自分の子供の保育園ということで、リアルな現実が綴られます。アメリカでの保育経験も書いてあります。本書の大部分を占める大局的見方と異なり、この章は徹底的に個人の目で書かれており、好印象を持ちました。こういう経験を踏まえて、本書の各種提言が生まれていることがわかります。
 第2章「日本の保育は社会主義?」では、保育のあり方の根本的問題を指摘しています。社会主義だというわけです。指摘されるとまさにその通りです。認可保育料は安すぎるし、保育園の運営費は高すぎるし、自治体が何でも決めてしまって保育園の努力は無視されています。
 第3章「改革を阻むもの」では、保育園の改革の方向ははっきりしているとして、なぜそれが実施できないかを論じています。各種の「既得権」です。保育園を運営する社会福祉法人というあり方にもさまざまな問題があるようです。
 第4章「小池流改革の舞台裏」からは、東京都の顧問として著者が待機児童ゼロに向けて行ったさまざまな提言を示しています。行政をどう動かすといいかといったことまで書いてあり、なかなか興味深い記述でした。
 第5章「総力戦!」では、待機児童をなくすために考えられるいろいろな手を打ちながら、その結果どうなったかを描いています。
 第6章「トップダウンとボトムアップ」では、議会・知事・職員がどういう関係であるのか、意志決定はどうなされるべきかを論じます。東京都が大きな組織であることがわかります。そういう中でどう動き回るといいかを考えます。
 第7章「打つ手はまだある」では、生産緑地、都市公園、小学校、警察署、消防署などを活用して保育園をさらに拡充するアイディアを述べています。オーツは説得力があるように思いました。
 第8章「「待機児童ゼロ」のその先へ」では、今後の保育行政のあり方を論じています。待機児童をなくすことは最終ゴールではなく、保育園はどうあるべきか、もっと広い視野で考えていかないと、どうにも社会の仕組みが保育園をゆがめているように思えてなりません。この章もおもしろいと思いました。

 というようなわけで、保育園に悩むすべての人におすすめしたい好著です。255 ページの単行本ですが、内容は濃いと思います。

参考記事:
https://www.tachibana-akira.com/2018/06/11058


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2019年04月06日

大久保潤・篠原章(2015.1.20)『沖縄の不都合な真実』(新潮社新書)新潮社

 オーツが読んだ本です。
 沖縄問題といえば基地問題です。米軍の普天間基地の辺野古移設をめぐって、いろいろな問題が起こっています。
 マスコミの報道を見ていると、沖縄は一丸となって辺野古への基地移転に反対しているかのように見えますが、本書はそうではないという見方を示しています。沖縄は、なかなか複雑な事情を抱えているようです。そういう「ものごとの裏側」を探り、本書が成り立っています。そういう意味で大変興味深い内容でした。
 各章ごとに内容の概略を示しましょう。

序章 沖縄はこれからどうなるのか
 沖縄の複雑な現状を概観します。「総意」とは何かも議論します。
第1章 普天間問題の何が問題なのか
 普天間をめぐってもさまざまな利権が絡んでいるということです。辺野古移設に関して反対運動があると、政府は沖縄振興予算を増やすという形で国民の税負担が増えることになります。沖縄の基地の借地料の問題もあります。沖縄の米軍基地の年間借地料約811億円が税金から支出されています。
 海兵隊は、辺野古には飲む店がないし、台風のときは高波があり、塩害がひどいので、辺野古移転に積極的ではないとのことです。
 辺野古の埋め立て工事をはじめ、各種工事が行われると、沖縄県の建設業界が潤うという側面もあります。こういうことが地元の選挙などにも影響しているというわけです。
 この第1章は、本書の中で一番おもしろいところでした。普通見過ごされてしまうような話が次々に出てきます。
第2章 高まる基地への依存
 辺野古の人々は基地が移転してくることに賛成です。漁業者には沖縄振興策とは別に多額の保証金が流れるためです。
 キャンプハンセンの名護市への返還に当たって、名護市は継続使用してほしいという要望を出しています。これも借地料収入があるためです。これは、沖縄の各地に見られる現象だそうです。
第3章 「基地がなくなれば豊かになる」という神話
 さまざまな経済的な計算が示されますが、「基地がなくなれば豊かになる」とは一概に言えないようです。
第4章 広がる格差、深まる分断
 沖縄は所得が低く、外部から資本や人口が流入するために、沖縄人は下流化、低辺層化しつつあるという話です。振興策は大企業のみを潤すようです。沖縄には琉球大OBという支配階級があるそうです。沖縄ではマスコミも機能していません。
第5章 「公」による「私」の支配
 さまざまな統計指標を出して、沖縄が抱える問題点を探っていきます。ジニ係数などは全国で最悪レベルだそうです。こうして、公務員が沖縄の富裕層になるという現状が形成されます。
第6章 本土がつくったオキナワイメージ
第7章 「沖縄平和運動」の実態と本質
第8章 異論を封殺する沖縄のジャーナリズム
第9章 「構造的沖縄差別論」の危うさ

 というわけで、本書は、新書ながら情報が盛りだくさんで、沖縄問題を考える上で大きな手がかりとなる一書です。
 本書を読み終えて、沖縄問題(特に基地問題)の裏にあるさまざまな問題がみんな絡んでいて、実に複雑であることがわかります。そういうことを知らずに、辺野古への基地移設問題を論じてみても、本質にはせまれないように思いました。

参考記事:
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=5700


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2019年04月02日

オギ・オーガス, サイ・ガダム(2012.2.20)『性欲の科学』阪急コミュニケーションズ

 オーツが読んだ本です。
 「なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか」という副題が付いています。この副題は、キャッチーではありますが、この本の内容をうまく表しているわけではありません。出版社の販売戦略でこんな副題が付けられたのではないでしょうか。本書の内容のごく一部を表しているにすぎません。
 原題は「A Billion Wicked Thoughts ―― What the World's Largest Experiment Reveals About Human Desire」というものです。「10億人の邪悪な考え――世界最大の実験は人間の欲望に関して何を明らかにしたか」くらいに訳せるでしょうか。訳書の題名とは似ても似つかぬものです。
 性に関する調査では、過去、質問調査法でデータが集められてきたと思います。はっきりいえば、それくらいしか方法は思いつかないものでしょう。他にどんなデータが取れるでしょうか。データの取りようがないから質問調査が用いられてきたということでしょう。
 本書は、ネットの検索時にユーザーが入力した検索語を利用しています。検索サイトと連携して初めて明らかになるビッグデータです。ユーザーは複数の検索語を入力しますから、それらを分析することによって、単語間の関連もわかりますし、同一ユーザーが何回も検索語を入力していくとき、どんな語を入力していくかというデータも取れます。こうして集められた膨大なデータを分析して、性に関して人々が何を検索しようとしているかがわかり、さらには人々の性行動のいろいろな側面もわかってくるのです。
 本書中に出てくる例は、英語(日本語訳付き)です。オーツにとってはこういう英語の単語はなじみがなく、そこは隔靴掻痒の感がありました。日本人が果たして同じような検索をしているのかどうかもぜひ知りたいところです。しかし、それはそれとして、人々の欲望が端的に表れた「検索語」をデータとして分析するという手法そのものが大変興味深いものでした。
 目次は以下のようなものです。

第1章 大まじめにオンラインポルノを研究する
  ――性科学と「セクシュアル・キュー」
第2章 熟女人気と体のパーツの好みに関する考察
  ――男の「目」を惹きつけるキュー
第3章 お尻や乳房など体ばかりに注目するのはなぜか
  ――男性の性的欲望
第4章 セックスする前に脳が男を品定めする
  ――女性の性的欲望
第5章 強くて支配的な大金持ちとちょいワルが好き
  ――女の「心」を捉えるキューその@ヒーロー
第6章 自分の性的魅力で男たちを惹きつけたい
  ――女の「心」を捉えるキューそのAヒロイン
第7章 ストレートの男と違うところは3つだけ
  ――ゲイの男を惹きつけるキュー
第8章 求む、背が高くてお尻がカッコいい男
  ――女の「目」を惹きつけるキュー
第9章 浮気妻と素人娘は競争原理と本物志向の表れ
  ――男の「心」を捉えるキュー
第10章 「支配」と「服従」あなたはどっちがお好き?
  ――男女両方の「心」を捉えるキュー
第11章 そして欲望はイリュージョンを生み新たな次元へ
  ――セクシュアル・キューの創造力

 各章ともに興味深い実例がたくさん詰まっています。ゲイやレズビアンの場合もたくさん言及されていて、人間のすべての性行動をカバーしている内容です。
 オーツが初めて知ったようなことがたくさんありました。しかし、それらをまとめながら記述していくと、かなりの分量になりそうなので、ここでは止めておきます。
 本書は、本文だけで370ページを越え、細かい文字による注が39ページもあります。読み終わるまでかなり時間がかかりました。
 一読した後、「性欲の科学」という題名が内容をよく表していると思いました。

参考記事:
https://www.tachibana-akira.com/2019/02/11487


posted by オーツ at 03:09| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月01日

山本一成(2017.5.10)『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』ダイヤモンド社

 オーツが読んだ本です。「最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質」という長い副題が付いています。
 将棋や囲碁でコンピュータが人間を打ち負かす事態が続いています。どんな考え方でプログラムが計算しているのか、それを解き明かした本です。
 著者の山本一成氏は、将棋ソフト「ポナンザ」の開発者として有名です。そして、自らプログラムを書いて強力な「人工知能=AI」に育てたわけです。その過程を描いた本ですから、本書を読むことで、コンピュータ側の考え方がよくわかります。将棋の話がメインですが、囲碁の話も出てきますので、どちらに興味のある人も読みやすいでしょう。
 基本的な話は、副題にもある「機械学習・深層学習・強化学習」です。将棋に強い人がソフトにどう指せばいいかを教えるのではダメなのですね。ソフト自体が学んでいく方法が必要だったというわけです。まさにコンピュータならではの話です。
 オーツは本書を読むことで、コンピュータ将棋のいろいろな側面が理解できて、大変おもしろく思いました。もうプログラマがどうこうする時代ではないのです。コンピュータが自分で学ぶことで、「科学」すら超え、人間や宇宙のようなものさえ超えていこうとしているようです。なぜそのようにとらえられるのか、そのあたりの解説が本書の記述の中心です。
 一般の解説本と違うのは、著者が自ら将棋の最強ソフトの開発をしているという点です。実際の開発過程のすべてを経験した上での記述は信頼感があります。
 オーツの個人的願望では、もう少しコンピュータ寄りの内容にしてもよかったのではないかと思いますが、それだと専門書になってしまって、部数がさばけなくなるのでしょうね。
 第1章「将棋の機械学習――プログラマからの卒業」では、機械学習を中心に将棋ソフトの変遷を論じています。中でも、チェス・将棋・囲碁のむずかしさが局面数の多さではないという話などは、初めて知りました。
 第2章「黒魔術とディープラーニング――科学からの卒業」では、機械学習の先にある深層学習の解説がなされます。人工知能が人間の知能を超えるということの意味がわかります。
 第3章「囲碁と強化学習――天才からの卒業」では、人工知能の成長が人間を超えていく事態を描いています。将棋と同じことがいろいろな側面で起こるというわけです。アルファ碁は囲碁の最強のソフトですが、それが強くなった理由がモンテカルロ法だったというのは知りませんでした。画像処理のような考え方で強くなっているとのことです。
 第4章「倫理観と人工知能――人間からの卒業」では、人工知能が知性を獲得するとはどういうことか、これから人工知能がどう発展していくかが述べられます。確かに、人工知能は人間社会を変えるだけの力を持っていると思わされます。
 巻末付録として、アルファ碁と囲碁の話を中心とした対談を収録しています。


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2019年02月20日

河合雅司(2018.5.16)『未来の年表2』(講談社現代新書)講談社

 オーツが読んだ本です。「人口減少日本であなたに起きること」という副題がついています。
 『未来の年表』
2018.9.7 http://o-tsu.seesaa.net/article/461527374.html
の続編です。
 少子高齢化社会になっていくに連れて、個人の周りで何が起きるか、具体的に書いてあります。各種の統計の数値を利用しながら書いてありますので、書いてあることは間違いではなさそうです。単なる印象論ではないと思います。
 記述はかなり悲観的です。現状を未来に延長して考えています。そしてそう考えるしかないのですが、実際は違います。そういう身の回りの変化に対して「対策」が行われるからです。たとえば、最初に出てくる「伴侶に先立たれると、自宅が凶器と化す」では、高齢者にとって自宅内の階段や風呂場が危険だ(転倒したり溺死したりが多い)と書いてあります。それはその通りでしょう。しかし、そう考えるから、たとえば階段に手すりを設置したりするわけです。人によっては、風呂場に子供に対する緊急通知手段が設置してあるという場合もあるかもしれません。そのような変化は本書の視野に入っていません。
 しかたがないといえばしかたがありませんが、オーツは人間には環境への対応力があるものだと考えています。本書に書かれているようなことにはならない可能性が高いと感じてしまいました。
 今後、人口が減ることは確実ですし、それによってさまざまな変化が起こってくるでしょう。しかし、それに適応しつつ、さらにはそれを乗り越えつつ、豊かな社会を求めて努力が継続していくのではないかと考えています。
 というようなわけで、本書はあまり参考にならないと感じましたが、意外なところにも少子高齢化社会の影響が出てくるものだという指摘は有意義だと思いました。


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2019年01月26日

池田信夫(2018.7.30)『丸山眞男と戦後日本の国体』白水社

 オーツが読んだ本です。
 256ページの本文に8ページの索引がついています。
 記述の中心テーマは戦後の日本が国の形をどのようなものとしてきたかを示すことです。それを丸山真男がいろいろ書いた論説文から読み解いていきます。丸山真男は戦後の日本に大きな影響を与えた政治思想家です。東大法学部教授という研究者であるとともに、1950年代まで日本の論壇をリードしてきた人物でもあります。本書は、丸山の著作物を読み解きながら当時の日本がどのような政治状況にあったのかを述べていきます。
 丸山真男の著作を解説しながら、池田氏が戦後の日本を(さらにはそれとの対比で戦前の日本を)どう見ているかが語られます。丸山の考え方は時代(年齢?)とともに変遷している面があります。しかし、それと対比すれば、現在時点での池田氏の「見方」はぶれていないので、一貫していてわかりやすいように思います。
 憲法をどう考えるか、日米安保条約はどんな性格を持っているかなど、日本に住むものとして心得ておくべき内容が語られますので、特に若い人には有意義な1冊と言えます。
 大日本帝国憲法が定める国のあり方(天皇主権)を基準にすると、日本国憲法はそこに定められた改正手続きに基づいて作られたものでないことが明らかです。国民主権はどこから出てきたのでしょうか。1945.8.15 の時点で「革命」があったのでしょうか。この問題をどう考えるかというのも、わかっているようで実はわかっていないものであり、なかなかむずかしいものです。
 本書は、けっこう長くて詳しいので、オーツは1冊読み終わるまで、ちょっと飽きてきたような気がしています。全体として固い本なので、読み通すのはそれなりの努力が必要です。
 こんなにページ数をとって戦後の日本を解説しなくても、30ページくらいで手短かにまとめてくれた方が、いろいろな人が簡単に読めて便利なのではないかと感じました。まあ、こういうテーマに興味がない人は30ページに圧縮してもどうせ読まないでしょうが、……。

参考記事:http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52016627.html


posted by オーツ at 05:15| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月20日

植村俊亮(2018.11.5)『入門データベース Database Primer』オーム社

 オーツが読んだ本です。
 オーツはデータベースに関してほとんど素人同然なので、ちょっと知識を得るために、「入門書」を読んでみてもいいと思いました。そこで手にしたのが本書です。
 では、一読したあとにデータベースについてわかるようになったか。残念ながらそうはなりませんでした。
 実際に運用されているデータベースは相当に複雑なものであり、さまざまな技術が組み合わされて設計されています。一般の人がデータベースを利用するとすると、アプリケーションユーザとしてでしょう。向こう側でどんな設計がなされているかは二の次、三の次であり、自分がパソコン(あるいはネット)に向かってどんなデータを入れ、どんな命令を入れたらどんなことが検索され表示されるのかといった形でデータベースに向き合います。やや簡単に言えば、SQL言語とはどんなもので、どんな形で何を指定するのかがわかれば、データベースを使うことができそうです。
 本書は、そういう意味の入門書ではありません。
 SQL言語で指定されたものが、データベースの中でどんなふうに実現されるのかといったあたりがメインです。したがって、具体的なデータを扱うということよりも、データベースの中の構造・仕組みを記述することに記述の主眼があります。関係表はどんな形になっているのか(具体的な記述というよりも概念的な説明がなされます)、正規形とは何か、そのような関係表に対してどんな操作ができるのか、関係表をどのようにコンピュータの内部で実現するのか、主記憶や外部記憶にどのようにデータを格納し、どのように(キーを)検索するのか、複数のトランザクションが発生したときに安全にデータベースを更新するためにはどうしたらいいか、といった話題を扱います。
 本書は、データベースがどういったもので、どんな仕組みで動作しているのかを知るためには役立つように思います。しかし、そういった知識はどんな人に有用なのでしょうか。対象読者という面で、オーツはよくわかりませんでした。理工系の学生か大学院生あたりを想定しているような感じです。これからデータベースを自分で設計し運用している人向けの入門書ではないでしょうか。
 オーツは、すべて具体的にパソコンの前で(あるいはネットに接続して)これこれを入力するとこうなるといった説明がないと、どうにも納得がいきません。そのようなアプリケーションユーザ向けの入門書を期待していたので、本書を読んだあとも、データベースが使えるようになるわけでもなく、どうにも中途半端な読後感になってしまいました。
 本書は読者を選ぶような気がします。

 とりあえず、一読した段階ですが、以下の点に違和感がありました。もしかしてミスプリかもしれません。

(1)p.38 の図 3.21
 下段の上から2行目ですが、「1 2 2」とあるところは「1 1 2」ではないでしょうか。

(2)p.67 図 4.7
 所在地の例として「国語、数学」があがっていますが、違和感があります。
 元の図を書き直す過程で、直すべきところが直されないままに残っているのではないかと思われます。
 p.68 図 4.8 も同じです。

(3)p.116 l.-12 同義語
 p.119 l.3 には「同意語」があります。両者は同じものを指しているようですので、どちらかに統一するべきでしょう。

(4)p.131 l.6 呼
 同じデータを2回呼んだら→同じデータを2回読んだら
ではないかと思いました。


posted by オーツ at 02:24| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月23日

吉田洋一・西平重喜(1956)『世論調査』(岩波新書)岩波書店

 オーツが読んだ本です。60年以上も前に出版された本です。Amazon で中古本を 108 円で買いました。
 こういう古い本を読むのも楽しいものです。世論調査に関して、当時の常識のようなこと(さらには新しい知識など)が書かれているわけですが、今、それらが古くなったかと言えば、そんなことはありません。正しいことは今でも正しいことだと思います。そういう意味で、ちょっと古典を読んでいるかのような雰囲気になりました。
 もちろん、記述の一部は古くなっています。たとえば、p.3 には昭和29年の乱闘国会の話が書いてあり、「ここに乱闘国会というのは、ことわるまでもなく、第19国会のことである。【中略】騒ぎになったことは人のよく記憶するところであろう。」などと出てきますが、オーツはまったく知りません。オーツが生まれた後のことではありますが、ニュースなどが理解できる年齢ではなかったためでしょう。
 しかし、基本的なことは今でも大事なことです。そんなことから、けっこう楽しく読めました。
 先日、オーツは西平氏の講演を聴きましたが、1924 年生まれということで、もう94歳におなりですが、しっかりした声で、明解なお話をしていました。頭脳明晰でした。すばらしいことです。オーツは94歳までこういう講演ができる状態を保っている自信がありません。(そもそも講演を頼まれることはなさそうですが。)
 本書の中には、国立国語研究所の敬語調査の話なども出てきます。西平氏は当時統計数理研究所の研究員であったし、この調査は国立国語研究所と統計数理研究所との共同調査だったわけですから、当然といえば当然でしょうが、何といえばいいのでしょうか、若かりし西平氏と会話しているような感じでした。
 この本はそういう本といえばいいでしょう。


posted by オーツ at 05:06| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月19日

有馬哲夫(2018.9.13)『原爆』(新潮新書)新潮社

 オーツが読んだ本です。「私たちは何も知らなかった」という副題がついています。
 とてもおもしろい本です。オーツも知らなかった原爆に関する事実が満載です。目からウロコが落ちるというのはこういうことをいうのでしょう。著者の有馬氏は、米英の原爆に関する大量の資料を読み込んで、この本を書いたとのことです。史実に基づいて書かれたという点でも大変興味深い内容です。

T 原爆は誰がなぜ作ったのか
 オーツは常識的に「アメリカが作った」と思っていました。たいていの人がそう思うのではないでしょうか。違います。アメリカだけでなく、イギリスとカナダも加わって3ヵ国が共同で作ったのです。

U 原爆は誰がなぜ使用したのか
 オーツは常識的に「アメリカが戦争終結を早めるために使用した」と思っていました。違います。
 そもそも、原爆を日本で爆発させる場合でも、離島のケース、軍事工場のケース、大都市のケースがあり、そのどれにするかが議論されていたのです。さらに、その場合でも、事前に警告を与えるケースと無警告のケースがあり、(軍人でない)一般人の命を考えたら、警告を与える選択肢も十分あったと思います。しかし、結果的に、無警告で大都市を爆撃したわけです。
 なぜそんな使用形態になったのか。
 トルーマンを初めとするアメリカ側の考え方、チャーチルを初めとするイギリスの考え方がそれぞれあり、2ヵ国の中でも、個人間に考え方の違いがありました。そういう状況の中で、原爆の開発費が高くつきすぎ、何としても戦争中に原爆を使わざるを得ないと考えるようになったわけです。トルーマンは、真珠湾攻撃に対する懲罰として無警告投下を選択したということです。このあたりの記述は、源資料を綿密に読み込んだために明らかになった話です。トルーマンが自己弁護的な日記を残したことも納得がいきました。

V 原爆は誰がなぜ拡散させてしまったのか
 開発段階から原爆の国際管理のことを考慮していたのに、実際は核が拡散してしまいました。これについてもトルーマンの責任が大きいようです。

 全体の記述は、大変興味深く、一気に読んでしまいました。
 原爆がどういうものであったか、日本人はつい被害者の立場で見てしまいがちですが、英米側の視点で見てみると、それとはまったく違う側面が浮かんでくるものです。
 「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」ということばも、本当にこれでいいのか、大いに疑問に思いました。
 本書の末尾には207個もの註がついています。本文中で述べたことがどの文献によっているのかを明記してあります。英語で書かれた文献が大部分です。このような大量の註は、本書の記述が信頼できるものであることを示しています。

参考記事:
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52019689.html


ラベル:有馬哲夫 原爆
posted by オーツ at 04:59| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする