2020年02月11日

崔碩栄(2019.4.8)『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)小学館

 オーツが読んだ本です。
 一読してみたら、とてもおもしろい本でした。韓国は国民感情として反日をうたい文句にして固まっている国ですが、その裏の内情を暴露しているような内容だったからです。なぜ韓国がこのような行動を取るのか、それを見事なまでに説明してくれます。
 もっとも、では日韓両国が未来志向で仲良くやって行くにはどうしたらいいかというと、なかなか名案がないわけですが、それはともかく、現状を正しく認識するという点で、本書は価値があるものといえるでしょう。
 第1章「韓国マスコミの反日報道はこうして捏造された」では、韓国のマスコミのさまざまな捏造記事を取り上げています。具体的な日付入り・新聞名入りで書いていますので、こういう記事の有無は簡単に確認できるものと思います。たくさんの事例があがっているので、韓国のマスコミをどうにかしないと、両国関係は改善しないのではないかとさえ思えてきます。
 第2章「なぜ天皇を日王というのか」もおもしろい章でした。韓国でもかつては「天皇」という呼び名が普通に使われていたとのことです。1989年の昭和天皇崩御がきっかけで日王が使われるようになったことが新聞記事の検索結果でズバリわかります。おもしろいのは、韓国が世界に発信するときは「天皇」(Emperor)といっているし、韓国内でも「天皇陛下」と発言しても問題ないとされている人たちがいる(左派政治家)という話です。このことだけでも、わざわざ「日王」と呼ぶようになったことが変であり、韓国内でダブルスタンダードがあるという決定的な証拠になります。
 第3章「慰安婦の隠された真実」も興味深い章でした。1991年までは慰安婦問題は「問題」でも何でもなかったわけですが、そこからおかしな経緯をたどってしまいました。なぜそんなことになったのか、何が問題なのか、冷徹な目で語っています。朝鮮人労働者のために設置された慰安所があったなどという話は、通説を信じている人には驚きの事実でしょう。
 第4章「徴用工の嘘」も優れた記述です。当時朝鮮から日本に密航する人がたくさんいたわけですが、そういう状況を知るだけでも「徴用」などまったく必要もなかったことは明らかです。これも変な経緯をたどり、日韓の間にとげのように刺さったままです。
 第5章「北朝鮮の影」では、日韓関係を悪くさせることで利益を得る国があるという話です。北朝鮮です。もしも北朝鮮が韓国にスパイを送り込んで、日韓関係を悪くさせようとしていると仮定すれば、納得できる話がいろいろあります。日本と韓国が反目し合うようになれば、北朝鮮が韓国に対して優位に立つかもしれないわけです。
 第6章「本当は日本が好きな韓国人」は、いろいろなところに見える「ちょっとしたこと」を通じて、韓国人が本当は日本が好きなのだということを示していきます。日本語の歌がテレビなどのマスコミで歌われることはなくても、カセットテープなどで街角で流されていたなどという話はオーツには初耳でした。韓国人は知らないうちに日本文化に染まっている面があるようです。

 というようなことで、本書は、韓国人にぜひ読んでもらいたい内容であると思います。韓国語版があるのでしょうか。あればぜひ普及に努めてほしいものです。
 もしかして、こういう内容だと韓国で出版禁止になってしまうのでしょうか。そうではないことを切に願っています。

参考記事:
https://www.landerblue.co.jp/46760/


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2020年02月05日

橘玲(2019.7.31)『事実vs本能』集英社

 オーツが読んだ本です。「目を背けたいファクトにも理由はある」という副題が付いています。
 橘玲さんの本を読むのは何冊目かですが、いつもその視線には感心しています。
2016.11.23 橘玲(2016.5)『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』集英社
http://o-tsu.seesaa.net/article/444226367.html
2014.9.28 橘玲(2014.6)『バカが多いのには理由がある』集英社
http://o-tsu.seesaa.net/article/406146199.html
2013.4.30 橘玲(2012.11)『不愉快なことには理由がある』集英社
http://o-tsu.seesaa.net/article/357882772.html
 これら3冊と同様、週刊プレイボーイのコラムをまとめたものがほとんどです。Part 5 はコラムとは別物です。
 元々がコラムですから、長い論考にはならず、短い原稿の集合体といった感じになるわけですが、こういう体裁だからこそ、少しずつ読み進めるのに適していると思います。

 Part 0「ポピュリズムという「知識社会への反乱」」では、PIAAC という調査について述べています。これは PISA の大人版というべきものですが、驚いたことに、日本人のおよそ3分の1は日本語が読めないという結果が出ています。数的思考力もないし、パソコンを使った仕事ができないというのです。しかも、これでも日本人の成績は先進国の1位だということにも驚かされます。今の社会は「知能の格差」にあふれているということです。
 Part 1「この国で「言ってはいけない」こと」では、日本社会が触れたくないと思っている「事実」がさまざまに語られます。マスコミなどではタブーとされるような話が次々に出てきます。女児虐待死事件では、父親は実は血のつながっていない義父だったなどということは、オーツも知りませんでした。それだけがすべてではないけれど、「なぜこの父親はこんなことをするのだろう」という疑問に対して、「ああ、なるほど」と思わせるような説明(の一部)だと思います。いろいろな差別について考えさせるような内容がてんこ盛りです。
 Part 2「私たちのやっかいな習性」では、子どもはほめるとダメになるとか、親がいくら説教してもいじめはなくならないなどのテーマが扱われます。いろいろな内容が書かれますが、それぞれ専門の雑誌に発表された論文に基づいており、単なる印象論とは一線を画すものです。橘氏の文献の読み方に驚かされます。自分の論じていることにピッタリの専門文献を探す(そして読む)ことは、誰でもできることではありません。英語で書かれている場合が多いからです。
 Part 3「「日本人」しか誇るもののないひとたち」では、日本社会の中に厳然として存在するおかしな考え方について言及していきます。靖国神社の宮司が「反天皇」になった理由など、興味深いネタがたくさん詰まっています。ただし、元々コラムであったためか、深く掘り下げるところまではいっておらず、若干物足りなさが残りました。
 Part 4「ニッポンの不思議な出来事」も Part 3 の続きで、女性記者はなぜ「タダで遊べるキャバ嬢」になるのかなどといった、その時代を象徴するようなおかしな出来事をとりあげ、なぜそうなるのか、ユニークな視点で(ある意味では斜め目線で)解釈していきます。
 Part 5「右傾化とアイデンティティ」では、二つの話題を取り上げます。一つは「自民党はリベラル、共産党は保守」という常識を覆す話です。これは世論調査の結果から出てくる考え方であり、大変興味深いものです。こういう視点を持っていると、日本の政治を見る見方が変わってくるように思えます。もう一つは「ネットニュースに棲息するひとたち」で、ヤフーニュースに付く大量のコメントを分類し、一部の人が頻繁に投稿していることを明らかにし、「ネット世論」と言われるものがどういう特性を持っているのかを述べています。
 Part 5 は、コラムと違ってページ数を取って論述していますので、読みがいがありました。
 ちょっと他では目にしないような考察が詰まっていますので、一読するとおもしろいと思います。著者の勝手な解釈ではなく、事実に基づいているところが信頼できると思います。


ラベル:橘玲
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2020年02月01日

橘玲(2019.8.6)『上級国民/下級国民』(小学館新書)小学館

 オーツが読んだ本です。
 日本と世界の社会構造を見渡した本といったところでしょうか。客観的に(統計データなどで)見ると、日本も世界もいろいろな問題を抱えていることがわかります。本書は、それらを記述していくスタイルであり、解決しようとするものではありません。しかし、そういう目を持つことは、長い目で見れば問題解決に結びつくかもしれません。今はまずそういう問題があることを意識することが大事です。

PART 1 「下級国民」の誕生
[1] 平成で起きたこと
 日本経済が相対的に落ち込んで、社会構造が変わってしまいました。
 日本のサラリーマンは会社を憎んでいること、女性の非正規雇用が増えたこと、引きこもりが各地で増大していること、生産性の高い工場さえ閉鎖されていることなどを記述します。
[2] 令和で起きること
 日本は構成員の年齢構成によって若者が冷遇される社会構造になっていること、中高年男性が既得権を持っていてそれが打ち破れないことなどをときます。
PART 2 「モテ」と「非モテ」の分断
[3] 日本のアンダークラス
 日本の下流階級の生活・考え方などを記述します。さまざまな資料を駆使しており、説得力があります。
[4] 「モテ」と「非モテ」の進化論
 男と女では「モテ」の仕組みが異なること、「非モテ」がテロリズムと結びつくことがあることなどを説明します。オーツがおもしろかった点として、現代社会は「事実上の一夫多妻」だという議論でした。十分な金を持っていれば、最初の妻と離婚して、若い女性との結婚を繰り返すことが可能であり、それは事実上の一夫多妻だという話です。
PART 3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断
[5] リベラル化する世界
 現代は、過去と違って、自分の人生を自分で選択する時代になってきたと述べます。これがリベラルな考え方であり、一方では自分の決めたことだから自己責任を伴うということになります。
[6] 「リバタニア」と「ドメスティックス」
 現代は、知識社会化・リベラル化・グローバル化していますが、それは当然であり、世界の潮流として変えられないとしています。そういう中で、新しい下流階級が形成され、とある場所にふきだまるという話です。先進国ではいずれもこのような変化が起きているとのことです。

 というわけで、本書は日本と世界をこう見れば今の状況がとらえられるということを書いています。けっこう当てはまるなあと感心しながら読みました。
 学問とは違うところで、社会を見る「目」を感じました。社会学ではないけれど、社会学に通じるところがあるような感じです。オーツは、読んでいて刺激を受けました。


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2020年01月20日

新井紀子(2018.2.15)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社

 オーツが読んだ本です。
 AI(人工知能)と子供たちの話です。オーツは AI の話に興味があったので、その点からの関心でこの本を読むことにしたのですが、最大の驚きは子供たちの話でした。
 第1章「MARCH に合格――AI はライバル」では、東ロボくんというプロジェクト(AI が東大の入試に合格できるか)を解説します。結論からいうと、AI は、そこそこの能力を獲得し、試験に対してそれなりの解答をするようになったということです。しかし、その裏には科目ごとのさまざまな戦略が立てられ、多数の研究者が集まって、この課題にチャレンジしてきたという事実があります。そのあたりを解説している章です。
 最後に、「AI が仕事を奪う」話が出てきます。
 第2章「桜散る――シンギュラリティはSF」では、さまざまな AI の例を出し、AI が人間の能力を超える地点−シンギュラリティは来ないと断定します。AI には意味がとらえられないからとのことです。
 著者の意見にはオーツも賛成する面があるものの、しかし、これはすべて過去の話です。コンピュータの歴史はたかだか80年程度しかありません。未来は大変に長い(十分に長い)のです。これからさらなる進歩・発展が継続することを考えると、「シンギュラリティは来ない」と断言していいのか、ここには一抹の不安が残ります。ないことの証明ができないことと類似した話です。
 第3章「教科書が読めない――全国読解力調査」では、全国の2万5千人もの人の基礎的読解力を調査しています。AI がどの程度の能力を示しているかを人間と比べて確認しようというのが発端のようです。しかし、そこには驚愕の事実が隠されていました。本書のタイトルにもあるように、3人に1人が簡単な文章が読めないという事実です。どういう問題が出たのか、解答者がどんな人だったのか、正解率がどうだったのか、さまざまなグラフが示されるので、説得力があります。
 こういう話は、まさに驚きの事実なのですが、大学生たちに接してみると、これがさもありなんと思えてくるところが恐いところです。オーツがいろいろなレベルの大学生に接した経験では、このあたりの読解力というか理解力というかで非常に大きな差があると感じます。頭のいい学生たちの場合、次々と新しいことを咀嚼し、自分を変えていくことができるのに対し、そうでない学生たちの場合、新しいことが理解できないし、したがって、知識の獲得も何もできないわけです。長い人生では大差になってしまうと思います。
 第4章「最悪のシナリオ」では、AI が社会に導入されてくると、たくさんの仕事が AI に代替されるだろうという話です。人間側が教科書が読めないレベルであれば、そういう人は社会に役立つようなレベルの仕事ができないだろうと思われます。そういう人はやるべき仕事がなくなってしまいます。人間は AI にできない仕事をするべきですが、能力が低いと、そういう仕事ができないことになるわけです。

 この本は、第3章から第4章だけでも読む価値があると思われます。大変おもしろい本でした。

参考記事:
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=7325


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2020年01月16日

崔基鎬(2014.1.1)『韓国がタブーにする日韓併合の真実』ビジネス社

 オーツが読んだ本です。
 まえがきには、「本書は2003年9月に小社より刊行された『日韓併合の真実』を新書化したものです。」と書いてあります。実際に書かれた時代はかなり前ということになります。
 ちなみに、オーツはこの本が「新書」だとは思いませんでした。実測してみると、横 117mm、縦 175mmほどのサイズです。厚さは 15mm ほどです。ほぼB6サイズ(128mm×182mm)に相当します。普通、新書というと、新書判のサイズ(106mm×173mm)ですが、それよりはずっと大きいということになります。
 第1章「鎖国から開国へ――挑む日本、逃げる朝鮮――」では、徳川300年と李朝500年を対比的に記述しています。李朝がいかにひどい国だったか、詳しく書かれています。人民の疲弊も相当なもので、これでは国として成り立っていないとさえ言えます。
 第2章「大院君VS.閔妃――朝鮮内紛に虎視眈々の欧米列強と日本――」では、19世紀末の朝鮮の内紛を描きます。朝鮮の動きは、独立国のそれではなく、何か困ったことがあると外国に助けを求める傾向にあるようで、しかも、国内で対立勢力があると、それぞれが別の外国に保護を求めたりするわけですから、国内はメチャメチャになります。そのような朝鮮半島の歴史が描かれます。
 第3章「溶解しはじめた李氏朝鮮――クーデター、民衆蜂起、そして清日戦争――」では、李氏朝鮮末期の乱れた朝鮮事情を記述していきます。クーデター、金玉均暗殺、東学党の乱など、さまざまな事件が起こりますが、なぜそうなったのかを知ることが重要です。朝鮮は、国としての判断ができていません。高宗は国王らしさが全然なく、日和見主義で、国として成り立っていないというべきでしょう。
 第4章「露日戦争と李朝終焉――ついに実現した日韓併合――」では、高宗がロシア公使館に逃げ込み執務したなどという信じがたい話が出てきます。国王がこういう行動をするなんて、いやはや、どうしようもありません。朝鮮半島をめぐってロシアと日本が覇権闘争を行い、それが日露戦争につながっていくことになります。その戦争に勝った日本が、日韓併合に踏み切ったのは、ある意味で当然のことだったのかもしれません。
 終章「日韓併合が朝鮮民族を救った――歴史を再検証する時代を迎えて――」では、今日の韓国の繁栄は日韓併合によってもたらされたという歴史観が語られます。19世紀から20世紀前半の朝鮮半島の歴史を見ると、このような考え方がかなり妥当なように思えます。
 ひるがえって、現在の日韓関係を見てみると、まさに混迷しています。なぜこうなっているのか、考えてみると、その裏には朝鮮半島ないし韓国の歴史をどう見るかという、歴史観の問題がありそうです。李氏朝鮮は豊かなきちんとした国だった、それを日本が併合して何もかも奪い去った、韓国はそういう日本を打ち破って新しく出発し、現在に至ったというのが現在の韓国(および多くの韓国人)の歴史観のようです。本書は、そういう見方の真逆の歴史観を示します。
 現在の韓国の宣伝にも似た歴史観を見ていると、正直うんざりします。日韓併合をはじめ、さまざまな事実を知ると、今の韓国の主張がいかに無謀か、よくわかります。
 韓国の中で日韓の歴史をどう見るべきか、もっとさまざまな議論があってもよさそうです。そういうのが封鎖され、反日だけが声高に叫ばれるようになっている現状はまことに残念です。
 隣国と仲良くすることはむずかしいのかもしれませんが、まずは歴史観のすりあわせあたりから行わないと、未来志向の日韓関係なんて成り立たないのかもしれません。
 この本に書かれているようなことが韓国人に広く知られるようになることを切望します。


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2020年01月01日

荻上チキ(2018.7.18)『日本の大問題』ダイヤモンド社

 オーツが読んだ本です。「残酷な日本の未来を変える22の方法」という副題が付いています。
 日本の諸問題を俯瞰し、20代の人でもわかるようにやさしく解説した本ということになります。
第1章 政治――「未成熟」な日本の政治をアップデートするためには――
第2章 経済・福祉――低成長の時代を越えて社会を変えるには――
第3章 外交――世界のなかの「日本」の役割を更新する――
第4章 メディア――現代のメディアは民主主義をいかに変えたか――
第5章 治安――この社会をもっと「安全」にするためには――
第6章 教育――教育の「自由」をつくるには――

 こんなふうに、話題は各分野に広がります。どういう問題があるかという点については、同意できる点も多いし、著者の意見も妥当に思える部分が多々ありました。その意味で、この本を読んだことはよかったと思います。ただし、もう少し突っ込んだ意見を知りたいという感じがしました。なぜそのような問題が生まれ、そうなったのかというような分析です。ここがあまり書かれていないようで、何か上滑り的な印象を覚えました。
 さて、こうして現代の日本の諸問題を俯瞰することができました。
 では、これからこれらの問題を誰がどのように解決していけばいいのでしょうか。これらは、広い意味で「政治」の問題であり、政治の中心として、与党の代表、すなわち内閣総理大臣が解決するべきだということになりそうです。長年の歴史の上に現在があるわけですから、現在のシステムの改造という見方からすれば、相当に大きな大改造がなされるべきだということになりそうです。しかし、問題提起はいいとしても、それらを「問題解決」することができるのでしょうか。よほどの力のある人でも、6種類の問題に全部対応することなんて、到底無理です。となると、優先順位をつけて順次処理していくしかなさそうです。
 現実の問題解決という面を考えると、なかなか大きな問題であり、解決は困難なのかもしれません。こちらの面にはあまり言及されていないように感じました。

参考記事:
https://diamond.jp/articles/-/175802


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2019年12月07日

渡辺正(2018.6.25)『「地球温暖化」狂騒曲』丸善出版

 オーツが読んだ本です。「社会を壊す空騒ぎ」という副題が付いています。
 とてもおもしろい本でした。題名からわかるように、地球温暖化は全然問題ではなく、CO2 削減というのもまったく不要だという話です。
 世の中で一般的に語られている温暖化防止のさまざまな方策が全部ムダであるというのは痛快です。
 この本を信頼するか否かは、書かれている内容をどう判断するかという問題です。著者は、具体的なデータを各所から集め、検討していきます。オーツは、この内容なら十分信頼できると判断しました。
 最近では、COP25 が話題になっています。温暖化対策と称して、世界中の国と地域が集まって討議しています。しかし、本書の記述によれば、こんなのは無意味だということになります。
 先日、オーツが NHK のニュースを見ていたら、笑ってしまいましたが、温暖化の影響で、東京で夏の最高気温が40℃を越える「激暑」になるとか、真冬でも半袖姿でいられるとか、映像化していましたが、そんなのは平均気温が5℃〜10℃くらい上昇したときに起こることであって、今考えられているような、このままだと21世紀末に平均気温が3℃上昇するということを大げさに誇張して示しただけのことです。

序章 東京都「LED電球」の茶番劇
 東京都の節電策であり、4.4 万トンの CO2 削減が可能になるはずの施策ですが、節電量を計算すると、東京都の総電力使用量の 0.1% にしかなりません。この程度の節電ではほぼ無意味です。また、電気代が23億円浮くのはいいことですが、この23億円はどうなるのでしょうか。何かを買うことに回せば、それは必ず CO2 が出ることにつながるわけです。
 というわけで、これはまったくの机上の空論であるという結論になります。
1章 二酸化炭素――命の気体
 過去数百年にわたって CO2 の濃度が増えてきたことは事実です。しかし、それは、植物に対して大変な恩恵を与えているのであって、植物に寄生して生きているすべての動物にも望ましいことです。農業生産も向上しています。5億年とか、もっと長い時間を取ると、CO2 濃度はむしろ下がっています。
2章 地球の気温――まだ闇の中
 IPCC の報告書でも触れられている気温の上昇ですが、これもはっきりとはわかっていないという話です。上昇がいわれるのは、1905年からの百年間で約1℃上昇したという事実です。1975年からの気温の急上昇にしても、100年間で 1.5 ℃でしかありません。しかし、気温の上昇ということ自体、明確ではありません。一般に気温は都市部で測定されているため、都市化(都市における人口の集中)による影響が大きいのではないかと考えられます。最近は都市部以外での気温の計測データも蓄積されつつありますが、それによると、気温の上昇は見られないようです。
 そんなわけで、「温暖化」を主張する組織のデータでは気温値を「加工」してグラフ化しているのですが、これは科学的に厳密なものではなく、かなり問題があるようです。
 たくさんのグラフを引用しつつ、気温の上昇ということ自体がおかしいということを述べています。
3章 地球の異変――誇大妄想
 台風の巨大化とか、被害の甚大化とか、異常気象がいわれています。島国が水没化するというのもその一種でしょう。しかし、そういうもののすべてが誇大妄想だという話です。出てくる話は多岐にわたり、氷河の衰退や海水の酸性化などにも触れられています。そして、この章でも大量のグラフを示しつつ、特に問題はないということを述べています。
4章 温暖化対策――軽挙妄動
 CO2 削減は、お金がかかるばかりで、効果はほとんどないという話です。省エネもムダ、温暖化対策をする組織も不要、日本は年3兆円をドブに捨てている、というような話が並びます。パリ協定も実効ゼロと切り捨てています。日本の場合は、2030 年段階で、80兆円を使って、気温上昇に対する抑制効果は 0.001 ℃以下と推定されます。化石資源はまだまだ十分あるので、それを使っているうちに、新しいエネルギー源(核融合とか?)が見つかるだろうという話です。
5章 再生可能エネルギー――一理百害
 再エネの推進は、補助金による格差拡大、景観破壊、豪雨の被害拡大、食品や飼料の価格上昇など、マイナス面が多いという話です。
6章 学界と役所とメディア――自縄自縛
 IPCC は温暖化を叫び続ける必要がある組織です。なぜならばそれが設立の趣旨だからです。科学者も、温暖化を支持すれば研究費がもらえるし、論文が書けるけれど、そうでないという趣旨では研究費は出ないとのことです。そういう研究者の生態を描いています。メディアも「温暖化」という危機をあおる話には飛びつきますが、その反対方向の記事は(価値がないとみなされ)載りません。
終章 環狂時代――善意の暴走
 豊洲の「ベンゼン100倍」騒ぎも、福島の受難の話もそうですが、人間は、大したことない問題を大げさに騒ぐ傾向があります。その根本には、人工物は恐いという信念のようなものがあるようです。
 温暖化問題も同様です。大騒ぎするほどの問題ではないのですが、騒ぐ人の声ばかりが増幅される状況になっているという話です。

 さて、本書の内容はこういうことだと思いますが、では、なぜ COP25 で190ヵ国以上の国と地域が集まって、議論しているのでしょうか。こんなに多くの人がダマされているのでしょうか。
 こういう点を片目で見ながら、いろいろな情報を集めてみたいと思います。

参考記事
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58217


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2019年12月01日

鈴置高史(2018.10.20)『米韓同盟消滅』(新潮新書)新潮社

 オーツが読んだ本です。
 1年前に刊行された本ですが、昨今の韓国による GSOMIA 破棄問題に関連して、ちょっと(というか、だいぶ)刺激的なタイトルに引かれて読んでみようと思いました。
 第1章 離婚する米韓
 米朝首脳会談が行われましたが、それによって米韓同盟が壊れてしまったという話です。そのような傾向は20世紀末からすでに始まっており、韓国人は北を信頼する傾向が強く、反米派がかなりいるとのことです。北朝鮮はすでに核兵器を持っていますから、韓国が北との統一を考えるならば、韓国が核兵器を持つことにもつながってきます。
 第2章 「外交自爆」は朴槿恵政権から始まった
 韓国は、米中を操るという妄想を持つようになり、二股外交を心がけるようになりましたが、これによって、アメリカから見放され始めたということです。このような考え方は、歴史的にも古くからあったようで、韓国は中国の属国だったし、明(漢民族)清(満州民族)交代に際しても、二股外交という方針だったとのことです。アメリカは、そういう韓国の裏切りを察知し、警告をし続けてきたという話です。
 第3章 中二病にかかった韓国人
 韓国は国民国家として未熟です。それをいくつかの側面から記述しています。特に、法治国家といえない対応が問題になりそうです。
 第4章 「妄想外交」は止まらない
 韓国はまるで儒教社会に後戻りしているかのようだとしています。韓国人自身が韓国を嫌っています。

 というようなわけで、1年前の本であるにもかかわらず、昨今の韓国の行動を予言しているかのような内容です。オーツは、韓国を理解するためには有用な本であるように思いました。
 日本としては、そういう韓国とどう付き合うか(あるいは付き合わないか)を考え、決めていく必要があります。

参考記事:
https://shinjukuacc.com/20190302-01/


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2019年11月21日

本間龍(2018.7.10)『ブラックボランティア』(角川新書)角川書店

 オーツが読んだ本です。
 内容を簡単にいうと、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会は、11万人のボランティアを募集して、それらをタダで使おうとしている。交通費も宿泊費も出さない。外国語学部などの学生たち(通訳ができる)を動員して、暑い夏に1日8時間のペースで10日間以上働かせようとしている。熱中症で倒れるボランティアも出るのではないか。これは問題だということです。
 組織委員会は収支の予算を明らかにしておらず、出向で働いている電通などの社員には高給を支払っているようです。にもかかわらず、ボランティアには一切何も支払おうとしません。
 公共性のあるイベントであれば、無償ということも考えられないわけではありませんが、オリンピックは、協賛企業などから6000億円もの資金が集まり、世界中のテレビ局から放映権収入があります。国と東京都の税金もつぎ込まれるわけです。今のオリンピックは明らかに商業的なイベントです。そういう場合に、11万人のボランティアに何も支払わないというのはおかしいという話です。ざっと支払総額を計算しても110億円程度だということですから、このレベルであれば十分支払えます。
 この議論には納得できます。
 新聞社は、一切問題視していません。なぜなら、自らが(全国紙5紙とも)オリンピックのスポンサーになっているからです。わずかに東京新聞だけがこのような「ボランティア」のおかしさを記事にしている程度です。東京新聞はスポンサーではないから書けるのでしょうね。
 というわけで、とてつもなく大きな「搾取」が行われようとしています。オーツは闇の深さを感じました。普通に考えて、働く人々にはせめてアルバイト代(と交通費、必要なら宿泊費)を出すべきでしょう。

参考記事:
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56714


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2019年11月17日

武藤正敏(2019.7.26)『文在寅という災厄』悟空出版

 オーツが読んだ本です。表紙には「日韓両国民を不幸にする」と書いてありますが、副題ではないようです。
 著者の武藤正敏氏は、元・駐韓国特命全権大使という方です。韓国語が堪能であることに加えて、長年韓国に関わってきた方ですから、それなりの「韓国を見る目」があると思われます。その武藤氏が文在寅大統領を「厄災」と見るというわけですから、タイトルだけを見ても、いかに現在の文政権がひどいかということを述べた本であることがわかります。
 オーツは、以前にも武藤氏の本を読んだことがありました。
2016.6.12 武藤正敏(2015.5)『日韓対立の真相』悟空出版
    http://o-tsu.seesaa.net/article/438891438.html
信頼できる記述内容だったことを覚えています。武藤氏の新著ということで、本書で現在の韓国をどう見ているかを知りたいと思ったのでした。
 一読したところ、本書の記述内容は、しっかりしています。日韓間でどんな事件があったか、着実に記録しています。その上で、それらのできごとをどのように見るべきかを語っています。そのような「視点」が大変興味深いものでした。最近2〜3年を中心に、韓国をどう見るべきか、わかりやすく提示してくれている良書だと思います。
 目次立ては、あまり意味がありませんが、一応記しておきます。
序 章 日韓を「敵国」として引き裂いた文在寅
 文在寅が日韓を互いに遠ざけるようにしていることを述べます。
第1章 前著『韓国人に生まれなくてよかった』の検証
 オーツはこの前著を読んでいませんが、そこで予言したことが当たってしまったこと、予想以上に韓国の状況がひどくなっていることを述べています。
第2章 対北・対米中外交――孤立する韓国
 韓国の外交を批判的に解説しています。このままでは韓国には暗い未来しか待っていないように思えます。
第3章 民主主義の仮面をかぶった独裁政権
 「独裁」とはずいぶん強い言い方ですが、書かれている内容を読むと、確かに「独裁」と解釈すれば腑に落ちるところがたくさんあります。
第4章 経済と国民生活を破壊する指導者
 韓国内の経済を中心に見ています。実に悲惨な状況のようです。
第5章 日韓関係を崩壊させた無策
 日韓関係を論じます。文在寅の無策ぶりは、日本でもさんざん知れ渡っていますが、それらを踏まえて、文在寅がどんな考え方をしているのかが書かれています。オーツは文在寅の父親が親日派とも受け止められるという指摘がおもしろかったです。日本企業は(いやその他の国の企業も)韓国から逃げ出さざるを得ないでしょう。
第6章 韓国人も日本人も文在寅に「NO」を!
 今後の日韓両国のあり方を論じます。韓国人も文在寅を見限ると予想していますが、早くそうしないと「災厄」がいっそうひどくなりそうで、心配です。

 本書は、研究書ではなく、現在の文在寅政権をこのようにとらえるとわかりやすいという一種の「解釈」を述べた本ですから、末尾には参考文献が挙がっていません。しかし、記述された内容には間違いがないように思います。信頼できると思います。
 本書の内容は、日韓関係を真に心配する人の見方だと思いました。

参考記事:http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-5423.html


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2019年10月30日

橘玲(2019.3.6)『人生は攻略できる』ポプラ社

 オーツが読んだ本です。表紙には「君たちはこれからどう生きるか?」と「お金と仕事と幸せの授業」と書いてありますが、奥付には特に記載がないので、これらは副題ではないように思います。
 本書は若い人向けに書かれた人生の指南書です。内容は、過去の橘玲氏の本と重複しているところが多く、オーツはそれらを読んできたので、あまり多くを学んだ気はしませんでした。とはいえ、橘氏の本を読んだことのない人には、それらのエッセンスが本書に詰め込まれていますので、学ぶところが多い一冊と言えるでしょう。
 人生の基本となる土台を、@お金(金融資本)、A仕事(人的資本)、B愛情・友情(社会資本)に分けて考えることによって、大多数の人に当てはまる生き方の類型を説明するあたりは本当に見事な考え方だと思います。
 オーツ自身が若いころに本書に出会っていたとしたら、人生がかなり変わっていたかもしれません。
 今となってから本書を読むと、納得するところが多く、若かりしオーツ自身に対するアドバイスとして本書のようなことを伝えたい気持ちになります。
 ある意味で、日本の将来を見通した本でもあり、日本がどうなるか、その中で自分はどう生きるかを考える本でもあります。
 シリコンバレーで飛び抜けた高収入をねらうか。いや、オーツにはそこまでの突出した特技があるわけでもないので、それは無謀というべきでしょう。しかし、そこそこの技術はある(若いときはあった)と思うので、それを活かした道に進むことを考えてもよかったかもしれません。
 オーツの人生は、たまたまの積み重ねでこんなことになってしまいましたが、本書を読んで理解し、その上で人生を考えていたら、今のようになっていたかどうか、若干疑わしいように感じました。でも、結局、今のような人生を歩んだ可能性もやはり大きいように思います。
 というわけで、若い人向けの本ではありますが、年配者が読んでもそれなりにおもしろいのではないかと思います。「来し方行く末」を考え直すきっかけになるかもしれません。
 多くの人が、本書のような考え方を常識として持つようになると、日本社会が変わっていくでしょうね。

参考:ブログ内での橘玲氏の著書に関する記事
2019.9.2 橘玲(2019.4.3)『働き方 2.0 vs 4.0』PHP研究所
    http://o-tsu.seesaa.net/article/469521949.html
2018.11.5 橘玲(2018.6.13)『朝日ぎらい』(朝日新書)朝日新聞出版
    http://o-tsu.seesaa.net/article/462564232.html
2018.9.11 橘玲(2016.4.20)『言ってはいけない』(新潮新書)新潮社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/461545096.html
2018.7.8 橘玲(2018.1.20)『80's エイティーズ』太田出版
    http://o-tsu.seesaa.net/article/460405694.html
2018.2.24 橘玲(2017.11)『専業主婦は2億円損をする』マガジンハウス
    http://o-tsu.seesaa.net/article/457130337.html
2017.9.30 橘玲(2017.6)『幸福の「資本」論』ダイヤモンド社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/453836522.html
2017.3.10 橘玲(2017.1)『ダブルマリッジ』文藝春秋
    http://o-tsu.seesaa.net/article/447764821.html
2016.11.23 橘玲(2016.5)『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』集英社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/444226367.html
2015.7.10 橘玲(2015.3)『橘玲の中国私論』ダイヤモンド社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/422093307.html
2014.9.28 橘玲(2014.6)『バカが多いのには理由がある』集英社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/406146199.html
2013.4.30 橘玲(2012.11)『不愉快なことには理由がある』集英社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/357882772.html
2013.4.27 橘玲(2012.10)『臆病者のための裁判入門』(文春新書)文藝春秋社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/357398654.html
2012.8.27 橘玲(2012.5)『(日本人)』幻冬舎
    http://o-tsu.seesaa.net/article/288557773.html


ラベル:橘玲 人生
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2019年10月21日

門田隆将(2019.5.30)『新聞という病』産経新聞出版

 オーツが読んだ本です。
 とてもおもしろく読みました。
 本書のメインは、産経新聞の連載「新聞に喝!」および雑誌「正論」に発表したものに加筆したものです。
 著者の門田氏は、新潮社で長く「週刊新潮」の編集に携わった人で、ジャーナリストといっていいでしょう。その著者が今の新聞を「病」と見ているのですから、「おや?」と思ってしまいます。
 しかし、読んでみると、著者の言っていることにうなずけるところが多く、ためになったような感じがしました。いわば、「新聞を見る目」を教えてもらったような気分です。
 「新聞に喝!」から収録したものは、1回分の記事が本の形で3ページ程度の分量しかなく、読んでいくと十分論じ切れないうちに次のトピックに移ってしまうような感じがします。一方、各章末に置かれた「論点」は「正論」の記事が基になったもので、十分な長さがあり、論じ切れているように思います。本書は両方が混じっている形なのがちょっと残念な気がします。
 オーツが共感した部分を数ヶ所引用しておきましょう。
 p.131 「朝日新聞が日本人を貶める目的は一体、何だろうか。私には、それがどうしてもわからないのである。」
 オーツも以前から同様の疑問を持っていましたので、ハタと膝を打ちました。この疑問に対する回答は本書中に出てきます。
 pp.236-237 「朝日には友人も多いので、私はたまに彼らと議論することがある。その時に気づくのは、彼らに「自分たちが日本を貶めている」という意識は全くないことだ。【中略】私が驚くのは、彼らには、日本を貶めている意識はなく、むしろ国家権力に対して厳しい記事を書いていると思い込んでいる点だ。」
 何と、こういうことなのですね。この一言で、朝日新聞の書き方のスタイルが全部わかってしまったような気がします。
 p.204 「自己の主張に都合のいい一方の情報だけを与えて、都合が悪い情報は決して報じない日本の新聞。もはや、そんなものは「新聞」とは呼ばない。」
 まさにその通りです。こうして、新聞は読んでもしかたがないゴミになってしまいます。「マスゴミ」という侮蔑的な言い方は言い得て妙なものです。
 日本の新聞のこれからのあり方を考える上で、とても参考になる本だと思います。

参考記事:
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-5372.html
http://deliciousicecoffee.jp/blog-entry-7585.html


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2019年10月16日

ユヴァル・ノア・ハラリ(2016.9.30)『サピエンス全史』(上・下)河出書房新社

 オーツが読んだ本です。「文明の構造と人類の幸福」という副題がついています。
 上下2巻の大著です。
 歴史書ということになるのでしょうか。書き始めの歴史年表から振るっています。
135億年前 物質とエネルギーが現れる。物理的現象の始まり。
       原子と分子が現れる。化学的現象の始まり。
 45億年前 地球という惑星が形成される。
 38億年前 有機体(生物)が出現する。生物学的現象の始まり。
600万年前 ヒトとチンパンジーの最後の共通の祖先。

というわけで、宇宙の始まりから説き始めます。こうして、ホモ・サピエンスの歴史が始まるわけです。本書は、単なる歴史書を越え、人類が経験してきた歴史を大所高所から眺めていきます。
 主な内容は、認知革命、農業革命、人類の統一、科学革命という四つの部分から成り立ちます。
 認知革命ということでは、人類が他人と力を合わせるようになったことを取り上げます。そのためには「虚構」が必要だったということです。
 農業革命では、それまでの狩猟採集の生活様式を変え、人類が「定住」するようになるわけですが、こうして人類の生活ぶりが激変します。
 人類の統一では、貨幣、帝国、宗教によって多数の人が結びつく様を説明します。
 科学革命では、近代科学がどのように成立し、それが世界をどう変えたかを論じます。ページ数も多く、ここが著者のいいたいことのメインでしょう。最後には「超ホモ・サピエンス」が登場します。こうして『ホモ・デウス』の話につながっていきます。
2019.6.4 http://o-tsu.seesaa.net/article/466204498.html
 それぞれにスケールの大きな話であり、著者は今の人類が生きている有様をいくつかの観点から説き明かしています。オーツは本書を読みながら、著者の力というか全体をながめる視野の広さを感じてしまいました。
 読んでいて本当におもしろかったです。
 こういう本に若かりしころに出会っていたら、人生が変わるほどの影響があったかもしれません。ホモ・サピエンスとはどういうものか、納得できたような気分が味わえます。まるで自分が神になって上空のはるかかなたから地球を眺めているかのような気分です。

参考記事:
http://imnstir.blogspot.com/2018/09/deus-ex-machina.html




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2019年10月12日

本郷和人(2010.11.20)『天皇はなぜ万世一系なのか』(文春新書)文藝春秋

 オーツが読んだ本です。
 タイトルに引かれて読もうと思いました。しかし、天皇論は、第1章から第6章までではまったく触れられず、終章「万世一系の天皇の登場」で議論されます。つまり、タイトルに引かれて読むと、長々と苦痛の章(日本史に関わる内容)を読まされ、その後に期待した内容が20ページほどの分量で語られます。
 手っ取り早く結論を知りたいならば、そんなわけで、20ページほどの終章だけを読んでもいいと思います。
 ただし、著者のいいたいことは天皇のことではなく、日本の歴史の中で、特に中世の武士社会を中心に見ていくと、世襲がどういう捉え方をされたのか、世襲でない(たとえば)下克上はどう見るべきか、才能のある人を取り立てて据えるようなやり方が行われた時期もあり、そうでない時期もあったので、そういうやり方のメリットとデメリットが何か、そのあたりが語られます。本書の記述の中心はそこにあります。
 そういう歴史上のあれこれを踏まえて、明治時代になってから天皇という存在が大きくなったわけですから、天皇のあり方を考える上では、それまでの歴史をおさえる必要があるということになるでしょう。
 とはいえ、本書を手に取る人(の一部)は、オーツのように、タイトルに引かれてでしょうから、そういう人にとっては詐欺のようにも見えるというものです。
 おそらく編集者がタイトルを付けたのでしょうが、若干罪作りなように思いました。
 「血も家も」というのが日本的な考え方であり、「トップが責任を取らない」というやり方を長らく続けてきたのが日本です。まさにその延長上に天皇という存在があると考えられます。

参考記事:http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51992550.html


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2019年09月29日

志賀櫻(2014.12.20)『タックス・イーター』(岩波新書)岩波書店

 オーツが読んだ本です。「消えていく税金」という副題がついています。
 先日オーツが読んだ『タックス・ヘイブン』
2019.9.27 http://o-tsu.seesaa.net/article/470502731.html
の続編といった感じでしょうか。
 タックス・イーターというのは、税金に群がり、税金を自分のために使おうとする人々のことです。
 族議員、官僚、関連業界や企業などがそれに当たります。多くの人は、そういう人々がうごめいていることにも気がつかずに、のほほんと暮らしている場合が大半でしょう。自分の懐が直接傷むのではないから、あまり気にならないのでしょうか。しかし、日本という国をむしばんでいるというのも一面の事実です。誰が、どのように、どんな方法で、税金をむしばんでいるのか。それを本書は克明に書いているともいえます。
 とはいえ、個々の企業に関して固有名詞を出して記述している場合は少なく、そういう場合はいずれもすでに新聞などでさんざん書かれてきた企業などに限られています。まあ、それ以外の、普通に活動している企業の名前を出して書くわけにはいかないだろうとは思いますが、しかし、そういうことでは、どうも抽象的にならざるを得ず、イマイチ記述に具体性がないようにも感じられます。なかなかむずかしい問題であり、書きすぎると名誉毀損だとか何とかいう問題に直結してしまいます。
 目次は以下の通りです。

はじめに
第1章 タックス・イーターの期限
第2章 タックス・イーターが群がるもの
第3章 タックス・イーターとは何か
第4章 終わりなき行政改革――タックス・イーターとの戦い 国内編
第5章 国境を越えて――タックス・イーターとの戦い 国際編
第6章 問題の所在と対策
おわりに

 本書は、税金を通して日本がどういう国であるのか、何をしようとしているのか、その過程でどんな問題が生じているのか、そのあたりを記述したものといえるように思います。


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2019年09月27日

志賀櫻(2013.3.19)『タックス・ヘイブン』(岩波新書)岩波書店

 オーツが読んだ本です。「逃げていく税金」という副題が付いています。
 著者の志賀氏は、税務署長や大蔵省主税局国際租税課長、主計局主計官などを務めた人で、税金のプロです。そういう目でタックス・ヘイブンがどんなところか、描いています。とはいえ、常識と異なり、タックス・ヘイブンは「税金が安い場所」ではなく、マネーロンダリングのために使われる場所なのだそうです。税金をめぐる攻防が展開されるのかと思っていたら、肩すかしを食らった気分です。
 目次は以下の通りです。
第1章 タックス・ヘイブンとは何か
第2章 逃げる富裕層
第3章 逃がす企業
第4章 黒い資金の洗浄装置
第5章 連続して襲来する金融危機
第6章 対抗策の模索
終章 税金は誰のためのものか

 第2章から第3章では、税金をめぐるさまざまな訴訟などを取り上げ、どういう点が争点になり、最終的にどういう結果になったかが書かれます。オーツが過去に聞いたことのある事件も出てきます。このあたりはタックス・ヘイブンに直接関連する話題だと思ったのですが、第4章くらいから、マフィアなどの表に出てこない組織が扱う犯罪資金の話になります。オーツとはまったく縁のない話が続きますので、このあたりでだいぶ読む気がなくなってきました。
 この本はどういう人向けに書かれたのでしょうか。
 著者は国際的な税制にくわしい人なので、何かもう少し一般人の興味を引く話ができそうにも思いますが、ヒミツの話(つまり本には書けないような話)が多いのでしょうか、何か中途半端な記述になっているように思いました。


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2019年09月08日

北村淳(2019.7.12)『シミュレーション日本降伏』(PHP新書)PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」」という副題がついています。
 序章「日本降伏」では、中国軍が尖閣諸島に侵攻するやり方をシミュレーションで見せてくれます。リアルです。実際こうなりそうです。日本は、中国軍を一度尖閣諸島に上陸させた後、それを奪還する作戦を取りますが、それではうまくいかないというわけです。
 第1章「島嶼奪還という愚策」では、そもそも、戦略として島嶼奪還というのは成り立たないことを論じています。
 第2章「島嶼防衛の鉄則――海岸線に上陸させないこと」では、昔から現在までの各国の防衛戦略を説明し、一度上陸させてから奪還するというようなやり方ではだめであり、海岸線に上陸させないような防衛戦略を立てる必要があることを論じます。説得力があります。
 第3章「自衛隊と人民解放軍の「現実」を比較する」では、双方の軍事力を装備や練度の観点も含めて比較していきます。どうも日本は防衛力に欠けるようです。
 第4章「米軍依存と平和ボケの無限ループ」では、今の日本の(多数の日本人の)考え方の裏に潜む二つの傾向を指摘します。そして、それでは真の防衛にはならないことを解きます。
 第5章「どうすれば「接近阻止」ができるのか」では、海洋戦力を中国軍の三分の二程度には増強する必要があることを論じます。
 このように、今の日本の防衛戦略は欠陥だらけであり、南西諸島はまったく守られてもいない状況であると警告を発しています。
 オーツは、著者の意見に賛同しますが、しかし、だからといって、自衛隊の増強が可能かと考えてみると、それもまたむずかしそうです。適切な解決策がなさそうなのが恐いところです。
 日本の防衛力などを考える上では、とても有意義な一冊ではないでしょうか。


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2019年09月06日

河尻定(2018.2.8)『鉄道ふしぎ探検隊』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版社

 オーツが読んだ本です。
 本書は、日経電子版で連載中のコラム「東京ふしぎ探検隊」に加筆・修正してまとめられたものです。
 第1章「新幹線のヒミツ」
 「東北〜東海道」はつながるはずだった、東海道新幹線が品川で折り返せない理由、東京駅の中央線ホームがなぜ高いなど、豆知識が並んでいる感じです。
 第2章「東西、関東……境界線はどこ?」
 富士急は関東の鉄道か、山梨と静岡は関東なのか、JRの境界はどこか、北関東は「宇都宮県」になる府県統合案があった、町田駅はかつて神奈川県だった、東京と千葉・埼玉の境界をめぐる紛争など、地理的な問題がまとめられています。
 第3章「歴史を変えた? かもしれない幻の計画」
 富士山に登山鉄道、井の頭線の吉祥寺からの延伸構想、西武鉄道の幻の奥多摩開発、夢の島に空港計画があったなど、残された資料で昔の計画を追いかけています。
 第4章「五輪と鉄道」
 1940年の東京五輪計画に合わせて、さまざまな鉄道計画があったことが書かれます。五輪で消えた町名がいろいろあるという話も出てきます。
 第5章「東京、鉄道の謎」
 山手線の読み方、池袋駅の発展、列車種別の話、私鉄遊園地がその後どうなったかなどの話題を述べます。

 全体として、気楽に読める読み物といった感じになっています。
 だから何なのかなどといった疑問を感じるのでなく、「へえ、こんなことがあったのだ」といいつつ楽しんで読めればそれでいいのではないでしょうか。
 新書サイズですから、オーツはカバンに入れておいて、ちょっとしたヒマができたときなどに少しずつ読み進めていました。


ラベル:河尻定 鉄道 地理
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2019年09月04日

高山正之(2017.5.31)『中国と韓国は息を吐くように嘘をつく』徳間書店

 オーツが読んだ本です。
 本書は、月刊誌「正論」巻頭のコラム「折節の記」(2015.3-2017.5)をまとめたものであり、短いエッセイの集合体の形になっています。その意味で読みやすい長さだと思います。
 ただし、いろいろなことを論じているので、書名は、必ずしも本書の内容を反映しているものではありません。その意味では、本の題名を見かけて読む気になったオーツのような人間にとっては、ちょっと「あれ?」と思うような内容になっていました。
 まあ、エッセイ集のタイトルは付け方がむずかしいわけですが、……。
 全体は5章にまとめられていますし、それぞれの章のタイトルも付けられてはいますが、章自体が内容的にまとまりがあるのかと言えば、そんなことはあまりなく、27本のバラバラのコラムを並べたものといったところです。
 とはいえ、1本1本のコラムはおもしろいと思うし、著者の高山氏の見方が強く出ていますから、読んでいてすっきりするような気分にもなります。
 各コラムのタイトルが内容をよく表しているので、どんな内容が書かれているか、目次を見ればよくわかります。
 オーツがおもしろかったもの2本を挙げるとすれば以下のものでしょう。
・オリンピックとノーベル賞は白人のためにつくられた(p.98)
・真珠湾で安倍晋三は二度と日本を騙してはいけないと誓った(p.236)


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2019年09月02日

橘玲(2019.4.3)『働き方 2.0 vs 4.0』PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「不条理な会社人生から自由になれる」という副題がついています。
 人間の働き方を考えるといった内容の本です。特に、日本の年功序列・終身雇用に基づいた会社とそこで働く人に焦点を当てています。日本語で書かれているから、日本人向けになるのはある意味で当然のことです。
 日本のサラリーマンの働き方は、世界標準から大きく離れています。しかし、終身雇用・年功序列の制度が社会にしっかりと組み込まれてしまっているため、それを大きく変えることはなかなか困難です。「既得権」を持つ側がそのような「変革」を拒むからです。その結果、日本と世界の間のさまざまな矛盾が浮かんできます。
 現地採用と本社採用による給与の違いなどというのは国籍による差別でしかありません。
 本書では、こうすればいいというような単純な処方箋は提示されません。実際、なかなか困難でしょう。ゆっくりとしか変われないし、そうしているうちに世界の流れからは完全に1周遅れになってしまうのです。しかし、それが日本(および日本人全体)の選択であれば、誰かがそれを変えることはできません。
 本書は、働き方を考えるいいきっかけになると思いますが、一方では日本の現状がどうしようもない段階であることが実感されて、いかにも希望がないようにも思えてきます。
 たとえば、今の子供たちが社会に出るころ(10年後)、どのような働き方をすすめればいいのでしょうか。今のような「会社」がそのころも残っているのでしょうか。
 いろいろなことを考えさせてくれる良書だと思います。
 とはいえ、橘玲氏の過去の本を読んで来た人なら、特段新しいことが書かれているようには思えないともいえます。


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