2017年11月12日

朝日新聞 迫る2025ショック取材班(2016.6)『日本で老いて死ぬということ』朝日新聞出版

 オーツが読んだ本です。「2025年、老人「医療・介護」崩壊で何が起こるか」という副題が付いています。
 いかにも新聞記者が取材して記事にしたという感じです。現在の医療・介護の現場の具体的な事例の記述がたくさん出てきます。まるで映画かドラマの1シーンを見ているようです。しかし、だからどうなのか、これからどうあるべきか、どうするのかといった点は掘り下げられていません。
 オーツは、副題で表されるような内容を期待してたのですが、その点では期待外れと言っても差し支えありません。
 高齢化社会がいよいよ進展し、団塊の世代が後期高齢者になり、次々と死ぬ時代がやってくることは必然です。であれば、それに備えて今生きている人たちへの提言なり何なりがもっと必要なのではないでしょうか。
 オーツは、新聞記事の連載を安易に単行本にしてしまったような印象を受けました。
 まあ、自分がこれからどうなっていくのかを先に教えてもらったわけで、その意味では読んでよかったということもいえますが、……。


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2017年11月06日

大高未貴(2017.6)『父の謝罪碑を撤去します』産経新聞出版

 オーツが読んだ本です。「慰安婦問題の原点「吉田清治」長男の独白」という副題が付いています。
 吉田清治といえば、慰安婦問題の出発点となった話をした人物です。自分が済州島に行って、女性たちを狩り出し、強制的に連行したという証言です。その後、この話は嘘であることが知れ渡りましたが、日韓関係の悪化に大きな影響を与えてしまったことは周知の事実です。
 吉田清治は韓国に「謝罪碑」を建てました。
 そして、吉田清治の死後、その長男がこの謝罪碑を撤去しようと検討しました。しかし、大きなものががっちりと地面に固定されているため、撤去は不可能です。そこで、謝罪碑の文面の上から別の文面を貼り付けたというのです。慰霊碑になったというわけです。
 まさに驚きの展開です。
 本書は、その経緯を綿密に記録しています。オーツがおもしろいと思ったのは、韓国の警察が長男を韓国に呼び出そうとしたこと(犯罪でも何でもないのに!)、さらに、p.185 にあるように、誰かが新しい慰霊碑の文面の上にビニールシートをかけて見えないようにしたことです。個人が自分の金を出して行ったことに対し、それが韓国にとって好都合であればそのままにし、不都合であればカバーで覆って見えないようにする。まったく行動に一貫性がないというか、自分たちの勝手な考え方が前面に出ています。
 謝罪碑の撤去だけでは1冊分の内容にならないので、慰安婦問題をめぐっていくつかの論考が追加されていますが、それらを読むと、この問題の闇を感じさせます。どうにも混乱が収まらないし、その責任の大半は韓国政府にあるように思えてきます。このような話は本書の特色ではないように思うので、感想はこれ以上述べません。
 ともあれ、慰安婦問題に関心のある人は一読の価値があると思います。


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2017年09月30日

橘玲(2017.6)『幸福の「資本」論』ダイヤモンド社

 オーツが読んだ本です。「あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」」という副題が付いています。
 なかなかおもしろい本でした。
 三つの資本とは、金融資産(お金のことです)、人的資本(働いてお金を稼ぐ能力です)、社会資本(友人や家族などの人間関係です)のことです。この三つがあるかないかを組み合わせると、八つのパターンができます。三つともある「超充」、二つある「リア充」「旦那」「金持ち」、一つしかない「退職者」「ソロ充」「プア充」、そして三つともない「貧困」です。
 こうして割り切って考えてみると、我々の多様な人生も、八つにパターン化できそうに思えてきます。こういう見方を提示する橘玲氏の「見通しの良さ」には感服します。この見方が絶対正しいとは思わないけれど、こうやって見ると、いろいろな人生があるけれども、その全体像がそれぞれ把握・理解できるように思えます。そこがおもしろいところです。
 こうして、人生のあり方、幸福とは何か、どうすれば幸福になれるかを考えようというのがこの本の趣旨です。
 著者の多様な読書遍歴の一部が明かされます。いろいろなエピソードがちりばめられています。そういうエピソードを八つの人生パターンに当てはめて解釈すると、見事に説明されます。一読すると、腑に落ちる内容でした。
 幸福論とかは、過去にもいろいろ書かれていますが、その多くは文学者によるもののように思います。観念的で、オーツはどうも好きになれません。自分にぴったりくるということもないように感じていました。しかし、この本は自分なりに納得しながら読み進めることができました。「現代の幸福論」とでもいえそうに思います。
 どうせなら、若い人がこういう本を読むといいでしょう。これからの自分の未来を考える手がかりになりそうです。


ラベル:橘玲 幸福 資本
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2017年09月23日

カイザー・ファング(2015.2)『ナンバーセンス』CCCメディアハウス

 オーツが読んだ本です。「ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方」という長い副題が付いています。
 本の扉のところに「大学ランキング、肥満、クーポン、失業率、フットボール、物価……。身近なエピソードを題材に、複雑な統計をやさしく“解きほぐす”。」と書いてあります。副題に「ビッグデータ」とあるので、ネット内の情報などを統計的に分析したものかと思っていました。しかし、実は違っていました。
 確かに、従来いわれている各種指標などのおかしさを指摘する内容なのですが、それは「統計リテラシー」とはずいぶん違うように思います。いわばものの見方、考え方、常識といった内容です。オーツは「統計リテラシー」といえば、統計学的な分析、およびその結果に基づく議論といったことを考えますが、本書の内容は、それとはずいぶん違う感じです。
 一番わかりにくかったのはフットボールの例でした。もともとスポーツには興味がないオーツですが、特にフットボールなんてどうでもよく、そういう人間の場合は、アメリカのフットボールのチームで、コーチがどうこう、GMがどうこうという話が出ても、さっぱりわかりませんでした。
 期待していたほどのことはないといったところでしょうか。
 かなり残念な内容でした。


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2017年09月21日

池田信夫(2015.1)『資本主義の正体』PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「マルクスで読み解くグローバル経済の歴史」という副題が付いています。
 注(参考文献)、人名索引、事項索引が付いており、本格的な学術書という体裁です。実際、なかなか歯ごたえがありました。
 マルクスの考え方を読み直し、読み解き、それに基づいて世界の歴史を考えるというスタイルで記述され、どこかの分野の専門書というよりも、著者の世界観みたいなものを感じました。
 イギリスが世界の大国になったのは、産業革命よりも奴隷貿易が寄与した部分が大きかったとか、中国は、大盗賊がとっかえひっかえ王朝を始めた国であるとか、インドが繊維産業から農産物の生産にシフトしていった状況とか、オーツの知らない話がいろいろと出てきて、世界史をとらえ直すような感覚になりました。
 日本型資本主義はもう終わりだという第8章もおもしろく読みました。こういう意識を政治家が持っているかいないかで日本という国をどういう形に作っていくのかが大きく変わってくるでしょう。
 いろいろと考えさせられる本でした。

参考記事:
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51923274.html


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2017年08月21日

吉田伸夫(2017.2)『宇宙に「終わり」はあるのか』(ブルーバックス)講談社

 オーツが読んだ本です。「最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで」という副題が付いています。
 副題のほうが本書の内容を端的にあらわしているようです。宇宙の始まりのビッグバンから宇宙の終わりまでの壮大な話が展開されます。
 宇宙の「終わり」とは何か。それは、すべての物質がなくなってしまうことです。最終的に宇宙がそうなるにしても、そんな長い先のことは考えることもできません。人間の一生はあまりにも短いということになります。考えてみれば、人類の誕生から今までだってあっという間だし、地球ができあがってから今までだって、いや、宇宙が誕生してから今までだって、宇宙の今後の歴史全体と比べればほんの一瞬のできごとに過ぎません。
 科学的な宇宙論が描く、今考えられている宇宙の全体の話が語られます。何か、夢を見ているような気分になります。
 そんな観点から見ると、人間なんてホントにちっぽけなものだというふうに思えてきます。
 本書は、全体にわかりやすいと思いますが、少しは天文学や物理学の知識があったほうが読みやすいと思います。まあ、高校レベルの知識で十分ですが。



参考記事:
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49416
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2017年08月19日

石平(2017.2)『トランプvs.中国は歴史の必然である』産経新聞出版

 オーツが読んだ本です。「近現代史で読み解く米中衝突」という副題が付いています。
 トランプ大統領と中国は対立するだろう。なぜならば、清朝以来の中国の伝統的な考え方があり、それが中国共産党の習近平まで引き継がれているからだという趣旨の本です。
 評論家の書いた本ですから、なぜそう考えるかということの根拠は、ほとんど書かれていません。しかし、そう考えれば、ほら、あれもこれもつじつまが合ってくるでしょ、ということで、著者の石氏の解釈を開陳してみせる本です。
 そういう解釈が正しいのかどうか、オーツにはわかりません。しかし、開陳された解釈は、それはそれでつじつまが合っているので、読んでいると、米中関係がわかったような気がしてきます。
 問題は、このような見方でいいのかどうか、何ともわからないという点です。
 序章「攻守を逆転させたトランプ」では、就任直後にいきなり台湾の総統と電話会談をしてみせるなど、最近のトランプ大統領の行動を描きます。
 第1章「アメリカの中国幻想 清朝−国共内戦」では、近代史を扱います。アメリカは商人としてアジアにやってきたのであって、中国を「侵略」(植民地化)したことがありません。しかし、アメリカは毛沢東に甘い期待を持ち、結局裏切られてしまったわけです。そんな歴史を描きます。
 第2章「騙され続けたアメリカ 毛沢東−胡錦濤」では、毛沢東が反米路線に転じたこと、中国が朝鮮戦争に参加した理由、中華帝国の復活をねらう毛沢東の考え方、毛沢東の考え方も中華思想で読み解けることなどを論じます。
 第3章「本性を剥き出しにした中華帝国 ケ小平−習近平」では、中国が海洋進出を強めるねらいや、アメリカとの関係などを論じます。
 第4章「アメリカ帝国の逆襲 習近平vs.オバマ」では、最近のアメリカと中国の対立の経緯などを論じます。
 第5章「米中衝突で日本が危ない」では、米中の衝突でアジアは戦国時代になり、中でも日本こそが米中衝突のテストに使われるとしています。
 このように、清朝から習近平までのさまざまな米中関係を基礎として、石氏流の解釈で歴史をながめています。本書を読むと、米中関係という軸で二大大国の歴史がわかったような気になります。
 オーツは、かなり納得感を持ちながら本書を読みました。石氏は中国生まれでその後日本に帰化した人です。そういう中国にルーツのある人の「視点」は、不透明な中国をパシッと切って中身を見せてくれるようなものです。
 とはいうものの、読後感としては、何か当たり前のことを述べているような気がしました。石氏のオリジナルな考え方もあるのでしょうが、どうもどこかで目にしたような議論が展開されるように感じました。おもしろい読み物と考えれば、これでいいのでしょう。

参考記事:
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=6672


ラベル:石平 中国 歴史
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2017年08月07日

クリスチャン・ラダー(2016.8)『ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実』ダイヤモンド社

 オーツが読んだ本です。「ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?」という副題が付いています。
 著者のラダー氏は、アメリカにある「Okキューピッド」という出会いサイトの創始者です。出会いサイトですから、若い人を中心にたくさんの人が登録し、アクセスしています。その出会いサイトのデータを基に、どんな人がどんな人にメッセージを送るのか、その分析を書いています。
 いわゆるビッグデータの分析といっていいでしょう。
 結果は驚くべきものです。
 いくつものおもしろい分析結果が載っていますが、その中からほんのいくつかを紹介しましょう。
 pp.35-46 には「ウッダーソンの法則」が多数の図とともに説明されています。各年代の女性が「最も魅力的」と思う男性の年齢を調べると、だいたい同年齢を挙げる傾向にあります。20代の若い女性は少し年齢が上の男性を魅力的と思い、40歳くらいから上の世代の女性は少し年齢が下の男性を魅力的だと思っています。一方、男性から見ると、どの年齢層の男性も20代前半の若い女性を魅力的と考えています。ただし、実際に男性が女性を検索したデータから見ると、男性はほぼ自分の年齢と同じ女性を検索しているというわけです。男性が実際にメッセージを送った女性の年齢を見ても、同世代の(あるいはやや若い)女性となっています。オーツは、こんなデータを見たことがありませんでした。まさに「残酷な現実」です。
 pp.61-77 では、ツイッターと OEC (Oxford English Corpus) でどんな言葉が使われるのかを調べています。OEC を標準と考えると、ツイッターの特徴(どんな単語がツイッターでよく使われるのか)がわかります。pp.62-63 によれば、rt, love, more, today, twitter, ……だそうです。納得です。さらに、Okキューピッドのデータを基に、キーを押した回数と送信メッセージの長さの分析もしています。こうしてコピペの実態がわかってきます。コピペして異性にメッセージを送ることは意味があるのでしょうか。そんな分析もされています。
 pp.92-100 では、一時的に(7時間だけ)プロフィールから写真を削除する「実験」をしています。すると、新しい相手と会話を始める頻度がその時間だけぐっと下がったということです。外見の重要さがうかがい知れます。
 p.102 から人種の話が出てきます。アメリカでは絶対に口にされない(できない)話題です。人種を、アジア人、黒人、ラテン系、白人の4種類に分けると、Okキューピッドで男性が女性を評価する際、どの人種の男性からも黒人女性が低く評価されていることがわかります。まさに衝撃的事実です。Okキューピッドの人種構成を見ると、p.109 によれば、アジア人 6%、黒人 7%、ラテン系 8%、白人 80%です。白人が圧倒的に多いわけですが、各人種がたった数%しかいなくても、実数にすれば相当な数になるわけで、こんな分析が可能になるということです。一方、p.114 では、女性が男性を評価するときは、同じ人種を高く評価し、また白人を高く評価するという結果が出ています。
 p.122 からは、美しい人がトクをする傾向は、加速しているとのことです。
 p.162 からは、自己紹介の文章の中で、人種ごとにどんな単語を多く使うかという集計結果が出てきます。全体としてはジップの法則に従うことを確認したあと、人種ごとの集計結果が示されますが、はっきりと人種間の違いが認められます。
 まだまだありますが、このくらいにしておきましょう。本書は多数のグラフや表を示しながら、データに基づいて議論を進める態度で一貫しています。大変おもしろい本でした。
 いろいろな人に読んでもらいたいと思いました。



参考記事:
http://www.tachibana-akira.com/2017/07/7658
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2017年07月24日

伊藤祐靖(2016.7)『国のために死ねるか』(文春新書)文藝春秋

 オーツが読んだ本です。「自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動」という副題が付いています。
 題名がすごいと思います。そして、著者は自衛隊の「特殊部隊」を作った人ですから、この題名に偽りはありません。
 内容は、まさに題名が物語るものです。死と隣り合わせで生きてきた人の言葉であり、重すぎる手記です。
 北朝鮮の不審船に対する海上警備行動で、緊迫した砲撃、さらには臨検を行うシーンは、読んでいて思わず引き込まれます。こんな経験をしてきたからこそ、自衛隊の中に特殊部隊を作ることになったときに白羽の矢が向けられたのでしょう。それにしても、臨検の実態を描くと、いやはやすさまじい話です。死と隣り合わせとはどういうことか、わかります。
 ミンダナオ島で出会ったラレイン(仮名)という女性の話もまたすさまじいものでした。水中格闘の実際を読んでいると、まるでオーツがそのような格闘を行っているかのようで、息苦しくなってきました。それ以外にも、ナイフの(戦闘場面での)使い方など、さまざまな話題に触れられるのですが、生々しい描写であり、死を覚悟した格闘・戦闘とはこういうものかと思いました。
 本書を読み終わったとき、オーツは本当にすごい人がいるものだと思いました。まさに戦闘のプロというべきでしょう。
 こういう人がいるから日本の平和が守られているのだという感覚になりました。
 こういう本を読むと、中国偽装漁船の海上保安庁の巡視艇に対する体当たり攻撃が思い出されます。民主党政権時代でしたが、その船長は日本でさばかれることもなく、釈放されたのですからねえ。何という対応なのでしょう。この事件では、おかしな対応をすることによって、国益をひどく損ねたように思います。


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2017年07月21日

鈴木紀之(2017.5)『すごい進化』(中公新書)中央公論社

 オーツが読んだ本です。「「一見すると不合理」の謎を解く」という副題が付いています。
 進化の話の中で興味深い例をいろいろ出して、進化のおもしろさをときます。
 進化によって、動植物がとても細かいところまで発達してきたことは、まさに驚きに値します。動植物がこんなにも精巧にできているという事実だけでもすばらしいことですが、なぜそうなったのかが説明できるというのは、さらに興味をかき立てられます。
 もっとも、そういう説明が正しいのか否か。そこはなかなか断定しにくいことでしょう。今は正しいとされている説明も、数十年後さらには数百年後、全然別の説明がなされているかもしれません。
 取り上げられている話の中でオーツが一番興味を持ったのは、性がなぜ存在するかを説いた部分でした。有性生殖はなぜ無性生殖に「勝った」のでしょうか。p.174 以降に説明がありますが、有性生殖と無性生殖が混在する条件で考えると、多数のメスと少数のオスが生まれ、オスが自分の遺伝子を残す確率が高くなるという意味で有利になる(メスを選び放題になる)のでオスが増えていき、半数までになるという説です。巧みな説明だと思いました。
 本書は、気楽に読める楽しい本だと思います。

参考記事:
http://agora-web.jp/archives/2026535.html


ラベル:鈴木紀之 進化
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2017年07月14日

昭文社(2017)『街の達人 7000 でっか字 東京23区 便利地図』昭文社

 オーツが自宅で愛用している地図です。
 数年おきに買い換えています。手元にある地図の奥付で見てみると、2008 年、2013 年、2017 年発行です。その前から買っていたように思いますが、2008 年以前のものは、今は手元にありません。もしかすると、それ以前のものは1万分の1の地図だったような気もしています。
 数年経つと、いろいろ町の風景が変わるものです。オーツの自宅の近くにある「南長崎はらっぱ公園」ですが、2017 年版はそのまま掲載されていますが、2013 年版では「西椎名町公園」となっています。こんなことを通じて、オーツは 2013 年版がやや古くなったと感じて、最新版を購入する気になったのでした。
 こういう地図を毎年のように改訂していくのは大変なことでしょう。細かい現地調査を繰り返すしかありません。昭文社はそれだけの手間をかけていると思います。すごい努力です。その成果を 2,300 円(+消費税)で入手できることはすばらしいことです。
 そして、東京の大部分を 1:7000 の細かさで描き出している点もありがたいことです。オーツは、歳を取ってきて、細かい文字が見えにくくなってきているのですが、この縮尺だとまあまあ見える大きさです。こういう点も含めて、よく考えられている地図だと思います。
 最近、ネット上の地図が一般化して、こういう紙の地図が売れなくなっているという話ですが、オーツは、今でも、紙の地図にはそれなりのメリットがあると信じています。これからも数年おきに買い換えるだろうと思います。ただし、当然ですが、改訂版が発行され続ける限りです。


ラベル:昭文社 地図 東京
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2017年06月24日

渡辺惣樹(2017.1)『戦争を始めるのは誰か』(文春新書)文藝春秋

 オーツが読んだ本です。「歴史修正主義の真実」という副題が付いています。
 タイトルに引かれて読み始めたのですが、実際読み始めると、326ページもあって、読み終えるのが大変でした。中身は歴史学の本でした。第一次世界大戦の終わりあたりから記述が始まり、第二次世界大戦の始まる直前までを描きます。
 歴史はむずかしいものです。現在は、第二次大戦が終わった後であり、ドイツや日本が負けたことが事実です。また、アメリカやイギリス、フランス、ソビエト連邦などが勝ったことも明らかです。その場合、勝った側から見た歴史が語られるようになります。日本やドイツは侵略者だったということです。しかし、本当にそうでしょうか。本書は、対象となる期間の資料を丹念に読み解き、日本やドイツが勝手に戦争を始めたというような単純な理解ではいけないことを述べていきます。むしろ、チャーチルやルーズベルトが好戦的だったし、ある意味では彼らが戦争を始めたとさえ言えるのではないかと考えられます。しかし、戦争後は、戦争に勝った側からの歴史観が敗戦国に押しつけられます。こうして、日本やドイツは一方的に断罪されたりするわけです。こういう歴史家を釈明史観主義者(アポロジスト)と読んでいます。そうでない見方が歴史修正主義です。
 世の中は釈明史観主義者ばかりになっています。戦勝国から見る方が戦後の流れなどがわかりやすいのはその通りです。しかし、戦前のことを見るときは、その後の戦争とその結果は無視して(知らないことにして)戦前の事実を淡々と集め、それを見ることで戦前史を語るべきでしょう。そうすることで新しい側面が見えてくるものです。その意味で、本書は、戦前の歴史を新たな視点から捉え、描き出しています。
 ただし、タイトルに反して、記述内容は学問的にしっかりしていますので、読み進めるのはかなり大変でした。読んだ後には、著者の見方が理解できるようになり、世界史が違って見えてきます。その点でおもしろいと思います。

参考記事:
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51994050.html


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2017年06月18日

常見陽平(2017.4)『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)祥伝社

 オーツが読んだ本です。
 タイトルに引かれて読んでみました。
 第1章「日本人は、どれくらい残業しているのか?」では、いろいろな統計資料などを駆使して、残業時間を把握しています。サービス残業などもあったりして、なかなか難しい問題ですが、日本人は残業が多いようです。まあオーツの実感としてもそうです。ドイツに観光旅行で行ったときに、夕方になるといろいろなお店が閉まってしまったりしました。従業員はしっかり休んでいます。そういうのに比べると、日本はサービスが行き届いており、24時間営業だったりします。こういうことでは残業も多くなりそうです。
 第2章「なぜ、残業はなくならないのか?」では、残業の発生メカニズムを論じます。企業としても、人件費の節約という効果があり、従業員にしても手取りの増加という効果があります。
 第3章「私と残業」は、著者が会社勤めをしていたときの個人的残業経験です。リアルな話です。企業とはこういうものなのでしょう。オーツは経験がないので、わかりませんが。
 第4章「電通過労自死事件とは何だったのか?」では、最近の世間をわかせた事件を取り上げて解説しています。オーツは「電通鬼十則」というのがあることを知らなかったので、こういう企業風土に驚きました。博報堂も出てきますが、勤務状態は同様なのかもしれません。
 第5章「「働き方改革」の虚実」では、最近の政治課題の一つを取り上げ、「働き方改革」の持つ問題点を指摘しています。
 第6章「働きすぎ社会の処方箋」では、どうしたら働きすぎを抑えることができるかを論じていますが、ここまでの記述を読んでくると、この部分はなかなか受け入れられないように思えてきます。
 本書は、全般的におもしろかったですが、今の日本のあり方を描く点ではよかったものの、ではどうするべきかという話はイマイチのようです。社会の変革につながる話なので、むずかしいのは当然ですが、オーツはもう少し筋を通すような、ドラスティックな改革の方向性を論じるほうがいいのではないかと思いました。理想はこうだと進むべき道を示し、そこを目指して社会が変わっていくようにすることが大事ではないでしょうか。

参考記事:
http://agora-web.jp/archives/2025261.html


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2017年05月27日

リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット(2016.11)『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』東洋経済新報社

 オーツが読んだ本です。「100年時代の人生戦略」という副題が付いています。
 まもなく、たいていの人は100歳まで生きることになるので、そういう状況でどう生きていったらいいかを論じた本です。今までは、教育→仕事→引退という3段階の生き方が主流でしたが、これからは、もっと多段階になるということです。仕事をいろいろ変わりながら勤務してみたり、新しい仕事のために教育を受け直したり、といったことが増えていきます。そうしなければ、単に「引退」段階が長くなるわけですが、それでは年金が持ちません。
 高齢化が進んだときに、雇用がどうなるのか、お金以外の見えない「資産」をどう考えるかをはじめとして、未来の社会を展望した話が出てきて、おもしろく読めました。
 とはいえ、どうもアメリカに住んでいる人を対象にした本のように感じました。日本人もアメリカ人と並行して(いやアメリカ以上に)高齢化が進んでいますので、同様の変化が訪れるはずですが、それを論じているわけではありません。日本人の場合、アメリカ人と変わらないのか、オーツは心配になりました。やはり、日本人は日本人として生きることが普通ですから、そういう視点で書かれた本が必要なのではないでしょうか。訳書でなく、新しい本の書き手が現れることを期待したいところです。
 そんなわけで、全体として、この本はよく書かれているとは思うものの、どこか現実的ではないように思えてきて、あまりのめり込めませんでした。
 そして、400ページは長すぎるように思いました。もう少し端的な書き方で短くしてもらえるとありがたいと思います。


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2017年05月12日

藤沢数希(2017.2)『損する結婚 儲かる離婚』(新潮新書)新潮社

 オーツが読んだ本の中で、トップ5に入るくらいの痛快な本でした。
 これから結婚する若い人にぜひ読んでもらいたいものです。
 日本の結婚制度がどうなっているか、離婚するときにどんな問題が起こるかを知ってから結婚するべきだと思いますが、オーツはそんなことも知らずに勢いで結婚してしまいました。オーツの場合、妻とは40年近く連れ添ってきて、離婚をしていないのですから、結果的によかったといえます。多くの夫婦はそんなものでしょう。しかし、そうはならなかった夫婦もいます。そんなことを考えると、こういう本を事前に読んでおくのも意味があるように思います。
 本書の重要ポイントは、高所得者が離婚しようとするとき、配偶者に多額の現金を取られてしまうことがあり、それが日本の司法によって妥当とみなされているということです。
 こんなことは、今までどの本にも書かれていなかったのではないでしょうか。しかし、現実の離婚裁判では、こういうことが現実に起こっており、むしろそれが当たり前ということです。
 このことから、考えられるテーマは広がっていきます。高所得の女性が結婚前に気をつけるべきこととか、女性にとって、定収入の男性と結婚するべきか、それとも高収入な男性の愛人になるべきかとか、おもしろい話題が出てきます。もちろん、それらの回答は本書中に解説されています。
 というわけで、今まで知られてこなかったことを知って、結婚自体を捉え直そうという気持ちになりました。その意味では、衝撃的な本といえると思います。
 オーツが本書の内容を知った後、40年前にタイムスリップしたら、果たして今の妻と結婚に踏み切ったでしょうか。なんともわかりません。オーツは結婚というものは勢いでするものだ、くらいに考えていましたから、その意味では、今から40年前にタイムスリップしても、同じ状況ならば同じく今の妻と結婚するでしょう。しかし、結婚が背負う大きなリスクを考えると、若干躊躇するかもしれません。それがいいことなのか、不都合なことなのか、わかりません。人生は1回きりですし……。


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2017年05月03日

小川洋(2016.12)『消えゆく「限界大学」』白水社

 オーツが読んだ本です。「私立大学定員割れの構造」という副題が付いています。
 今の日本では、少子化が進む一方、大学が多すぎて、つぶれる大学が出てくるだろうと考えられますが、本書はその実態を描くものです。著者の小川氏は、長年高校教育に関わってきており、その後大学の教員になった人です。ですから、高校からの視点と大学からの視点の両方を持ち合わせている人ということになります。この問題を論じるのに最適な人材といえそうです。
 第1章「試練に立たされる弱小私大」では、すでに消えた大学の実名をあげ、また、これから消える大学を紹介しています。定員割れを起こしている大学が危ないというわけです。
 第2章「どのような大学が定員割れを起こしているか」では、最初に定員割れの定義を述べています。定員充足率90%未満の大学です。そして、どういう大学がそれに該当するかを探っていきます。1986年から2005年までの第2次ベビーブームの臨時定員が設定された時期に設立された大学が定員割れを起こしている例が多いとのことです。また短大が改組されて四年制大学になったものも定員割れが多いということです。
 第3章「混乱のゴールデンセブン」とその後」では、ゴールデンセブン(1986年から1992年までの7年間)のときのできごとを記述しています。受験ブームが起き、莫大な臨時収入があった時期です。ベビーブームのために各大学が臨時定員を設けたりしたわけですが、それ以上に受験生が増えたため、受験料収入などで大学側が潤った時期ということになります。しかし、その影響は長期化し、既設大学が拡張戦略をとり、女子大学も新学部を開設したりしました。短期大学も潤ったわけですが、その後、波が引いてしまいます。
 第4章「短期大学とは何か」では、日本における短期大学の歴史を述べます。短期大学は4年制の大学とずいぶん異なっており、旧専門学校が改組されてできあがったもので、研究志向はほとんどなく、女性がたくさん在籍していました。その後、日本企業の性格が変わり、事務補助職の需要がなくなり、短期大学の志願者が急減します。そこで、短期大学を改組して4年制大学にしようという動きが出てきます。
 第5章「短大以上・大学未満」では、短期大学が四大化してどうなったかを描きます。新しい大学がたくさん誕生したのですが、地方に小さい定員で開設された例が多く、その多くが定員割れを起こしているという状況です。こうして「限界大学」が大量に出現することになったわけです。
 第6章「新たな大学像」では、いくつかの具体的な大学名を挙げ、大幅な体制刷新を図った例を述べます。
 第7章「弱小私大と高校」では、高校側にも事情があって、多様化校といわれるレベルの低い高校でも、卒業生が出るので、それを押し込む大学が求められるというわけです。定員割れを起こしている大学は、そんな高校生でも受け入れざるを得ません。こうして、大学教育が崩壊していきます。
 第8章「弱小私大の生き残る条件」では、弱小私大が今後どうすればいいか、いくつかの提言をまとめています。入学前教育や初年次教育の充実、ターゲットを絞った学生募集、短大文化の清算など、もっともな提言が並びます。実際にそうしている大学の具体例をあげていますので、弱小私大にとっては大いに参考になるでしょう。
 第9章「「限界大学」の明日」では、破綻が現実化する今後の動きを述べます。

 本書は図表がたくさん使われています。つまりデータに基づいた議論が行われています。その意味で、信頼性が高いものになっていると思います。これからの日本の大学のあるべき姿を描いていると言ってもいいでしょう。タイトルは過激ですが、しっかりした記述が行われています。定員割れを起こしている大学は大いに参考になるでしょうし、そうでない大学でも、将来像などを考える上で大いに参考になるものと思います。
 それにしても、大学は変わりました。昔はどう見ても安泰であり、その上にあぐらをかいているような大学が多かったのですが、今はそんなことではやっていけなくなっているのでしょうね。

参考記事:
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13633770T00C17A3MY7000/


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2017年04月23日

有馬哲夫(2015.7)『歴史とプロパガンダ』PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「日米開戦から占領政策、尖閣問題まで」という副題が付いています。
 まえがきの数ページを読むだけで引き込まれてしまいます。中国や韓国、ロシアは自国民に対してプロパガンダを行っており、それだけでこれらの国が信ずるに値しないと断定しています。
 何か、すっきりした気分です。
 歴史とプロパガンダは別物なのですが、現在は、プロパガンダが強すぎて、それがあたかも正しい歴史のように思わされてしまうことが問題です。本書は、そのようなプロパガンダを排して、丹念に文献資料を読み解き、(本書中に154個もの注で出典を示しています)それに基づいて日本が関わる歴史を客観的に描き出しています。オーツの知らないことが多かったので、その意味で大変おもしろく読みました。
・第1章 偽りのリメンバー・パールハーバー ◎機密解除文書が明らかにした日米開戦の深層
 真珠湾攻撃に関して、不意打ち説があるわけですが、それは間違いで、アメリカ側は日本が宣戦布告をしないままにどこかを奇襲攻撃することはわかっていたということです。ただし、それが真珠湾であることは予想できなかったというわけです。こういう話は、何に基づいて主張するかが大事なところで、それなしではプロパガンダになってしまう恐れがあります。著者は膨大な文献を調べ、その結果、この結論に至ったということがわかります。
・第2章 スキャンダラスなヤルタ会談 ◎かくもいいかげんだったローズヴェルト
 ヤルタ会談のいい加減さを暴いています。日本が北方領土を失うに至ったのもヤルタ会談が原因かもしれません。
・第3章 原爆投下は必要なかった ◎作られたアメリカの公式見解
 タイトルが内容を端的にあらわしています。
・第4章 占領軍のブラックな心理的占領 ◎メディアと教育がターゲットだった
 占領軍が日本国民をいかに扱ったかを克明に描きます。プロパガンダとはどういうものか、その明確な実例が示されます。
・第5章 国家誕生と同時に始まった中国の侵略 ◎日本を非難する資格があるか
 中国のおぞましい歴史の実態を語ります。チベット、インドシナ、ミャンマー、朝鮮戦争などの経緯がわかります。
・第6章 米中・日中国交正常化と尖閣列島 ◎歴史的事実よりもプロパガンダ
 キッシンジャー・周恩来などの主張や会談での発言などを踏まえ、尖閣列島の問題がどのように始まり、どのようになってきたかを述べます。なるほど、これがプロパガンダです。

 というわけで、現代史を知る上でとてもおもしろい本でした。たくさんの事実の裏にあるたくさんの糸(事象間の関連、因果を含む)が複雑に絡まって現代史があるわけですが、それをうまく切り分けないと、歴史が見えなくなってしまいます。本書は、現代の大国の動きを見る一つの視点を与えてくれたような感じでした。一読すると、現代史がすっきり理解できたような気分になります。

参考記事:
http://agora-web.jp/archives/1649888.html


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2017年04月07日

倉山満(2016.11)『国際法で読み解く世界史の真実』(PHP新書)PHP研究所

 オーツが読んだ本です。新書とはいえ、本文が300ページを超えますから、それなりに読み応えがあります。
 オーツは国際法に関する知識はゼロですから、とてもおもしろく読めました。戦争を中心とした世界史に興味がある人ならば、読んで損はないと思います。
 第1章 国際法で読む国別「傾向と対策」
 日本、アメリカ、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、イギリス、ドイツ、フランスを取り上げて、国際法の観点から見てそれぞれがどんな国かを論じます。最近の出来事を知っている人間からすると、腑に落ちることばかりということになります。こんな非常識な国々が共存しているのが現代社会ということになりますから、その中で生き抜いていくことは大変なことです。
 第2章 武器使用マニュアルとしての「用語集」
 国際法、慣習と条約、国家、主権、排他的支配、交戦団体、大国・小国、味方・敵・中立・同盟、戦争と平和(戦時と平時)、侵略・自衛・制裁、復仇、違法、外交官といった用語について解説しています。これらを理解することで国際法とはどんなものか、具体的に理解が進みます。
 第3章 国際法はいかに成立し、進化したか
 ヨーロッパを中心に発達してきた国際法ですが、世界史の中で起こったさまざまな事件とそれに対する対策として考えられてきた国際法ということで解説されます。日本はその中では例外的な国家であることがわかります。
 第4章 国際法を使いこなした明治日本、破壊したウィルソン
 日清戦争から日英同盟、日露戦争、第一次世界大戦、国際連盟までを描きます。国際法の観点から見てみると、各国の行動がきれいに整理されます。今まで世界史として覚えてきたバラバラな事実が組み合わされて全体として理解できるような気分でした。
 第5章 満州事変とナチス・ドイツを一緒くたにする愚
 満州事変から日本が中国大陸での紛争に巻き込まれていくようすを描きます。また、ヒトラーを中心とした欧米の歴史を描きます。
 満州事変はやはり「事変」であり、戦争ととらえることは問題があります。国際法の観点からはこれは明らかです。オーツは(特に根拠なく)戦争だと思っていたので、新鮮な気分で読むことができました。
 第6章 「戦争がない世界」は夢か欺瞞か
 日独伊三国同盟から日米開戦を描きます。

 というわけで、全体に国際法と世界史の関わりを大きな視野から論じた内容になっています。国際法は誤解されている面が強いと思います。政治家などは、そういう誤解を解き、正しい判断ができるようになっていないと日本の国益を損ないます。過去を振り返ると、そんなケースがいろいろありました。そんなことを考えるときの物差しとなってくれるのが本書です。


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2017年04月03日

江崎道朗(2016.9)『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)祥伝社

 オーツが読んだ本です。
 扉のところには、以下のような文言が書いてあります。
 アメリカの保守派の中には、東京裁判史観に疑問を持つグループが三つある。ソ連・中国の膨張主義に対抗するためには、日本の軍事行動は容認されるべきだったとする派。東京裁判自体が、実定国際法に反しているとする派。そして、ルーズヴェルト政権の内部に入り込んでいたソ連のスパイが対日戦争を誘導したとし、戦争の責任はソ連とルーズヴェルトにあるとする派の三つである。とりわけ1995年の「ヴェノナ文書」の公開によって、第三の勢力が確実に強まっている。
 こうした実態が日本で報じられることはないが、我々はアメリカの実情を、正確に理解すべきであろう。

 この文言を読んで、オーツはこの本を読むことにしました。こんなことは知らなかったし、この見方がおもしろいと思ったからです。
 いざ、読み始めてみると、オーツの知らないことだらけで、一気に1冊を読んでしまいました。これは東京裁判がどういうものかを知るためには大変いい本だと思います。
 日本にも保守派がいますが、そういう人たちは本書に書かれているような見方をしているのでしょう。そういう見方が正しいかどうかは、今後さらに考える必要がありますが、まずは、保守派の考え方を知っておいてもいいと思います。オーツは、そういうのを全然知らなかったので、本書をおもしろく読んだわけです。
 アメリカの中にもいくつかの考え方があるというのもおもしろかったです。日本から見ていると、何となくアメリカは一枚岩のように見えるものです。そうではないのですね。
 目次にしたがって概略を述べておきましょう。
第1章 対日政策で対立する二つのグループ――「ウィーク・ジャパン派」と「ストロング・ジャパン派」
 ウィーク・ジャパン派は、アジアの戦争を引き起こしているのは日本なのだから、日本を弱くすればアジアの平和は保たれると考えます。民主党に多い考え方です。戦争前のアメリカでは、こちらの考え方のほうが強かったでしょうか。ストロング・ジャパン派は、悪いのは中国国民党政権とソ連で、アジアの平和を維持するためには日本に経済制裁を加えるべきではないという考え方です。共和党に多い考え方です。
 オーツは、そもそもそういう二つの考え方があったということ自体を知らなかったので、大変おもしろく読みました。
第2章 葬られた「告発」――「第一次」近現代史見直しの挫折
 アメリカの中枢部にソ連のスパイが入り込んでいて、それを告発した人までいたのに、結果的にそれは無視された形になりました。
第3章 ついに公開された「ヴェノナ文書」――その衝撃と、歴史的意義とは
 「ヴェノナ文書」は、ソ連・コミンテルンのスパイたちの交信記録です。1940-1944 年にかけて、アメリカが暗号電文を傍受したものですが、それが 1995 年に公開されたのです。これによって、ソ連のスパイが当時どのように暗躍していたのか、明らかになってしまいました。したがって、それに基づいて戦前〜戦中の状況が手に取るようにわかるわけです。
第4章 アメリカ共産党の「トロイの木馬」作戦――コミンテルンの巧妙な戦略転換とアメリカの変質
 アメリカ共産党が政権内部などにスパイを送り込み、アメリカを動かそうとしてきました。その状況を具体的に述べています。
第5章 コミンテルンに乗っ取られたマスコミ――「反ファシズム」で新聞・出版を恫喝
 コミンテルンはマスコミの内部にも工作していました。
第6章 日米開戦へと誘導したスパイたち――目的はひとつ「ソ連を守るため」
 スパイたちの活動によって、アメリカの世論が反日親中になっていくようすを記述しています。
第7章 変わりつつあるアメリカの歴史観――現職大統領によるヤルタ協定否定の意義とは
 ヤルタ密約は間違いだったとブッシュ大統領(子)が認めたという話で、これまた驚きです。ヤルタ密約の後ろにもソ連のスパイがいたし、結果的にヤルタ密約が中国共産党の台頭を招いたわけです。
第8章 いまも続く共産主義勢力の暗躍――オバマ大統領、なぞの言動の秘密
 オバマ大統領の謎について語っています。

 というわけで、内容は大変おもしろいのですが、オーツは一読して、この内容をどこまで信じていいのか、わからなくなりました。もしも、これが本当なら、日米関係が変わってしまうくらいのインパクトがあります。
 なかなかそうはならないと思いますが、であれば、本当であっても、公的には否定される考え方ということになります。
 ともあれ、本書を自分で読んでみるほうがいいと思います。おもしろいことは確実です。


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2017年04月01日

赤尾由美(2016.8)『民進党(笑)。』(ワニブックスPLUS新書)ワニブックス

 オーツが読んだ本です。「さようなら、日本を守る気がない反日政党」という副題が付いています。
 民進党について書かれた本です。といっても、タイトルに「(笑)」が付いているように、大上段から正面切って批判するというよりも、日常目線で茶化しつつ、民進党のおかしいところを笑い飛ばすといったスタンスで書かれています。
 全体に、とても読みやすいのですが、一方では、具体的な数字などが出てくるわけではないので、著者の主観的な印象論というようにも受け止められます。
 著者はアカオアルミという会社の社長ですが、それよりも大日本愛国党総裁・赤尾敏氏の姪というほうが「ああ、そういう人」とわかってもらえるかもしれません。今の若い人には「赤尾敏って誰?」といわれそうですが……。
 本書中にも、赤尾敏氏の話がちらちらと出てきますが、何かとても人間味あふれる人のようで、選挙のときの雰囲気とはずいぶん違う印象を持ちました。
 目次は以下の通りです。
第1章 参議院議員選挙でくだされた審判――懲りない面々の懲りない「国民との約束」(笑)――
第2章 民主党→民進党でも中身はダメなまま――国のためになら死ねるという覚悟はないの(笑)?――
第3章 民進党よ、なんでも反対では未来がない!――YouTubeで「我が伯父」の演説を見てね(笑)――
第4章 民進党のだらしなさに救われた自民党――アメリカの属国のままでは幸せは訪れない、かも(笑)――
第5章 民進党に日本を変えるヒント教えます――アベノミクスはグローバル化大好き(笑)――
 オーツはどうにも民進党が好きになれませんが、そんな人間がこの本を読むと、随所で相づちを打ちながら「同感!」と言いつつ読んでいくことになります。
 民進党の現状をうまくまとめている良書だと思います。しかもやさしく書いてあります。

参考記事:
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3150.html


posted by オーツ at 02:49| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする