2019年11月17日

武藤正敏(2019.7.26)『文在寅という災厄』悟空出版

 オーツが読んだ本です。表紙には「日韓両国民を不幸にする」と書いてありますが、副題ではないようです。
 著者の武藤正敏氏は、元・駐韓国特命全権大使という方です。韓国語が堪能であることに加えて、長年韓国に関わってきた方ですから、それなりの「韓国を見る目」があると思われます。その武藤氏が文在寅大統領を「厄災」と見るというわけですから、タイトルだけを見ても、いかに現在の文政権がひどいかということを述べた本であることがわかります。
 オーツは、以前にも武藤氏の本を読んだことがありました。
2016.6.12 武藤正敏(2015.5)『日韓対立の真相』悟空出版
    http://o-tsu.seesaa.net/article/438891438.html
信頼できる記述内容だったことを覚えています。武藤氏の新著ということで、本書で現在の韓国をどう見ているかを知りたいと思ったのでした。
 一読したところ、本書の記述内容は、しっかりしています。日韓間でどんな事件があったか、着実に記録しています。その上で、それらのできごとをどのように見るべきかを語っています。そのような「視点」が大変興味深いものでした。最近2〜3年を中心に、韓国をどう見るべきか、わかりやすく提示してくれている良書だと思います。
 目次立ては、あまり意味がありませんが、一応記しておきます。
序 章 日韓を「敵国」として引き裂いた文在寅
 文在寅が日韓を互いに遠ざけるようにしていることを述べます。
第1章 前著『韓国人に生まれなくてよかった』の検証
 オーツはこの前著を読んでいませんが、そこで予言したことが当たってしまったこと、予想以上に韓国の状況がひどくなっていることを述べています。
第2章 対北・対米中外交――孤立する韓国
 韓国の外交を批判的に解説しています。このままでは韓国には暗い未来しか待っていないように思えます。
第3章 民主主義の仮面をかぶった独裁政権
 「独裁」とはずいぶん強い言い方ですが、書かれている内容を読むと、確かに「独裁」と解釈すれば腑に落ちるところがたくさんあります。
第4章 経済と国民生活を破壊する指導者
 韓国内の経済を中心に見ています。実に悲惨な状況のようです。
第5章 日韓関係を崩壊させた無策
 日韓関係を論じます。文在寅の無策ぶりは、日本でもさんざん知れ渡っていますが、それらを踏まえて、文在寅がどんな考え方をしているのかが書かれています。オーツは文在寅の父親が親日派とも受け止められるという指摘がおもしろかったです。日本企業は(いやその他の国の企業も)韓国から逃げ出さざるを得ないでしょう。
第6章 韓国人も日本人も文在寅に「NO」を!
 今後の日韓両国のあり方を論じます。韓国人も文在寅を見限ると予想していますが、早くそうしないと「災厄」がいっそうひどくなりそうで、心配です。

 本書は、研究書ではなく、現在の文在寅政権をこのようにとらえるとわかりやすいという一種の「解釈」を述べた本ですから、末尾には参考文献が挙がっていません。しかし、記述された内容には間違いがないように思います。信頼できると思います。
 本書の内容は、日韓関係を真に心配する人の見方だと思いました。

参考記事:http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-5423.html


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2019年10月30日

橘玲(2019.3.6)『人生は攻略できる』ポプラ社

 オーツが読んだ本です。表紙には「君たちはこれからどう生きるか?」と「お金と仕事と幸せの授業」と書いてありますが、奥付には特に記載がないので、これらは副題ではないように思います。
 本書は若い人向けに書かれた人生の指南書です。内容は、過去の橘玲氏の本と重複しているところが多く、オーツはそれらを読んできたので、あまり多くを学んだ気はしませんでした。とはいえ、橘氏の本を読んだことのない人には、それらのエッセンスが本書に詰め込まれていますので、学ぶところが多い一冊と言えるでしょう。
 人生の基本となる土台を、@お金(金融資本)、A仕事(人的資本)、B愛情・友情(社会資本)に分けて考えることによって、大多数の人に当てはまる生き方の類型を説明するあたりは本当に見事な考え方だと思います。
 オーツ自身が若いころに本書に出会っていたとしたら、人生がかなり変わっていたかもしれません。
 今となってから本書を読むと、納得するところが多く、若かりしオーツ自身に対するアドバイスとして本書のようなことを伝えたい気持ちになります。
 ある意味で、日本の将来を見通した本でもあり、日本がどうなるか、その中で自分はどう生きるかを考える本でもあります。
 シリコンバレーで飛び抜けた高収入をねらうか。いや、オーツにはそこまでの突出した特技があるわけでもないので、それは無謀というべきでしょう。しかし、そこそこの技術はある(若いときはあった)と思うので、それを活かした道に進むことを考えてもよかったかもしれません。
 オーツの人生は、たまたまの積み重ねでこんなことになってしまいましたが、本書を読んで理解し、その上で人生を考えていたら、今のようになっていたかどうか、若干疑わしいように感じました。でも、結局、今のような人生を歩んだ可能性もやはり大きいように思います。
 というわけで、若い人向けの本ではありますが、年配者が読んでもそれなりにおもしろいのではないかと思います。「来し方行く末」を考え直すきっかけになるかもしれません。
 多くの人が、本書のような考え方を常識として持つようになると、日本社会が変わっていくでしょうね。

参考:ブログ内での橘玲氏の著書に関する記事
2019.9.2 橘玲(2019.4.3)『働き方 2.0 vs 4.0』PHP研究所
    http://o-tsu.seesaa.net/article/469521949.html
2018.11.5 橘玲(2018.6.13)『朝日ぎらい』(朝日新書)朝日新聞出版
    http://o-tsu.seesaa.net/article/462564232.html
2018.9.11 橘玲(2016.4.20)『言ってはいけない』(新潮新書)新潮社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/461545096.html
2018.7.8 橘玲(2018.1.20)『80's エイティーズ』太田出版
    http://o-tsu.seesaa.net/article/460405694.html
2018.2.24 橘玲(2017.11)『専業主婦は2億円損をする』マガジンハウス
    http://o-tsu.seesaa.net/article/457130337.html
2017.9.30 橘玲(2017.6)『幸福の「資本」論』ダイヤモンド社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/453836522.html
2017.3.10 橘玲(2017.1)『ダブルマリッジ』文藝春秋
    http://o-tsu.seesaa.net/article/447764821.html
2016.11.23 橘玲(2016.5)『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』集英社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/444226367.html
2015.7.10 橘玲(2015.3)『橘玲の中国私論』ダイヤモンド社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/422093307.html
2014.9.28 橘玲(2014.6)『バカが多いのには理由がある』集英社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/406146199.html
2013.4.30 橘玲(2012.11)『不愉快なことには理由がある』集英社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/357882772.html
2013.4.27 橘玲(2012.10)『臆病者のための裁判入門』(文春新書)文藝春秋社
    http://o-tsu.seesaa.net/article/357398654.html
2012.8.27 橘玲(2012.5)『(日本人)』幻冬舎
    http://o-tsu.seesaa.net/article/288557773.html


ラベル:人生 橘玲
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2019年10月21日

門田隆将(2019.5.30)『新聞という病』産経新聞出版

 オーツが読んだ本です。
 とてもおもしろく読みました。
 本書のメインは、産経新聞の連載「新聞に喝!」および雑誌「正論」に発表したものに加筆したものです。
 著者の門田氏は、新潮社で長く「週刊新潮」の編集に携わった人で、ジャーナリストといっていいでしょう。その著者が今の新聞を「病」と見ているのですから、「おや?」と思ってしまいます。
 しかし、読んでみると、著者の言っていることにうなずけるところが多く、ためになったような感じがしました。いわば、「新聞を見る目」を教えてもらったような気分です。
 「新聞に喝!」から収録したものは、1回分の記事が本の形で3ページ程度の分量しかなく、読んでいくと十分論じ切れないうちに次のトピックに移ってしまうような感じがします。一方、各章末に置かれた「論点」は「正論」の記事が基になったもので、十分な長さがあり、論じ切れているように思います。本書は両方が混じっている形なのがちょっと残念な気がします。
 オーツが共感した部分を数ヶ所引用しておきましょう。
 p.131 「朝日新聞が日本人を貶める目的は一体、何だろうか。私には、それがどうしてもわからないのである。」
 オーツも以前から同様の疑問を持っていましたので、ハタと膝を打ちました。この疑問に対する回答は本書中に出てきます。
 pp.236-237 「朝日には友人も多いので、私はたまに彼らと議論することがある。その時に気づくのは、彼らに「自分たちが日本を貶めている」という意識は全くないことだ。【中略】私が驚くのは、彼らには、日本を貶めている意識はなく、むしろ国家権力に対して厳しい記事を書いていると思い込んでいる点だ。」
 何と、こういうことなのですね。この一言で、朝日新聞の書き方のスタイルが全部わかってしまったような気がします。
 p.204 「自己の主張に都合のいい一方の情報だけを与えて、都合が悪い情報は決して報じない日本の新聞。もはや、そんなものは「新聞」とは呼ばない。」
 まさにその通りです。こうして、新聞は読んでもしかたがないゴミになってしまいます。「マスゴミ」という侮蔑的な言い方は言い得て妙なものです。
 日本の新聞のこれからのあり方を考える上で、とても参考になる本だと思います。

参考記事:
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-5372.html
http://deliciousicecoffee.jp/blog-entry-7585.html


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2019年10月16日

ユヴァル・ノア・ハラリ(2016.9.30)『サピエンス全史』(上・下)河出書房新社

 オーツが読んだ本です。「文明の構造と人類の幸福」という副題がついています。
 上下2巻の大著です。
 歴史書ということになるのでしょうか。書き始めの歴史年表から振るっています。
135億年前 物質とエネルギーが現れる。物理的現象の始まり。
       原子と分子が現れる。化学的現象の始まり。
 45億年前 地球という惑星が形成される。
 38億年前 有機体(生物)が出現する。生物学的現象の始まり。
600万年前 ヒトとチンパンジーの最後の共通の祖先。

というわけで、宇宙の始まりから説き始めます。こうして、ホモ・サピエンスの歴史が始まるわけです。本書は、単なる歴史書を越え、人類が経験してきた歴史を大所高所から眺めていきます。
 主な内容は、認知革命、農業革命、人類の統一、科学革命という四つの部分から成り立ちます。
 認知革命ということでは、人類が他人と力を合わせるようになったことを取り上げます。そのためには「虚構」が必要だったということです。
 農業革命では、それまでの狩猟採集の生活様式を変え、人類が「定住」するようになるわけですが、こうして人類の生活ぶりが激変します。
 人類の統一では、貨幣、帝国、宗教によって多数の人が結びつく様を説明します。
 科学革命では、近代科学がどのように成立し、それが世界をどう変えたかを論じます。ページ数も多く、ここが著者のいいたいことのメインでしょう。最後には「超ホモ・サピエンス」が登場します。こうして『ホモ・デウス』の話につながっていきます。
2019.6.4 http://o-tsu.seesaa.net/article/466204498.html
 それぞれにスケールの大きな話であり、著者は今の人類が生きている有様をいくつかの観点から説き明かしています。オーツは本書を読みながら、著者の力というか全体をながめる視野の広さを感じてしまいました。
 読んでいて本当におもしろかったです。
 こういう本に若かりしころに出会っていたら、人生が変わるほどの影響があったかもしれません。ホモ・サピエンスとはどういうものか、納得できたような気分が味わえます。まるで自分が神になって上空のはるかかなたから地球を眺めているかのような気分です。

参考記事:
http://imnstir.blogspot.com/2018/09/deus-ex-machina.html




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2019年10月12日

本郷和人(2010.11.20)『天皇はなぜ万世一系なのか』(文春新書)文藝春秋

 オーツが読んだ本です。
 タイトルに引かれて読もうと思いました。しかし、天皇論は、第1章から第6章までではまったく触れられず、終章「万世一系の天皇の登場」で議論されます。つまり、タイトルに引かれて読むと、長々と苦痛の章(日本史に関わる内容)を読まされ、その後に期待した内容が20ページほどの分量で語られます。
 手っ取り早く結論を知りたいならば、そんなわけで、20ページほどの終章だけを読んでもいいと思います。
 ただし、著者のいいたいことは天皇のことではなく、日本の歴史の中で、特に中世の武士社会を中心に見ていくと、世襲がどういう捉え方をされたのか、世襲でない(たとえば)下克上はどう見るべきか、才能のある人を取り立てて据えるようなやり方が行われた時期もあり、そうでない時期もあったので、そういうやり方のメリットとデメリットが何か、そのあたりが語られます。本書の記述の中心はそこにあります。
 そういう歴史上のあれこれを踏まえて、明治時代になってから天皇という存在が大きくなったわけですから、天皇のあり方を考える上では、それまでの歴史をおさえる必要があるということになるでしょう。
 とはいえ、本書を手に取る人(の一部)は、オーツのように、タイトルに引かれてでしょうから、そういう人にとっては詐欺のようにも見えるというものです。
 おそらく編集者がタイトルを付けたのでしょうが、若干罪作りなように思いました。
 「血も家も」というのが日本的な考え方であり、「トップが責任を取らない」というやり方を長らく続けてきたのが日本です。まさにその延長上に天皇という存在があると考えられます。

参考記事:http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51992550.html


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2019年09月29日

志賀櫻(2014.12.20)『タックス・イーター』(岩波新書)岩波書店

 オーツが読んだ本です。「消えていく税金」という副題がついています。
 先日オーツが読んだ『タックス・ヘイブン』
2019.9.27 http://o-tsu.seesaa.net/article/470502731.html
の続編といった感じでしょうか。
 タックス・イーターというのは、税金に群がり、税金を自分のために使おうとする人々のことです。
 族議員、官僚、関連業界や企業などがそれに当たります。多くの人は、そういう人々がうごめいていることにも気がつかずに、のほほんと暮らしている場合が大半でしょう。自分の懐が直接傷むのではないから、あまり気にならないのでしょうか。しかし、日本という国をむしばんでいるというのも一面の事実です。誰が、どのように、どんな方法で、税金をむしばんでいるのか。それを本書は克明に書いているともいえます。
 とはいえ、個々の企業に関して固有名詞を出して記述している場合は少なく、そういう場合はいずれもすでに新聞などでさんざん書かれてきた企業などに限られています。まあ、それ以外の、普通に活動している企業の名前を出して書くわけにはいかないだろうとは思いますが、しかし、そういうことでは、どうも抽象的にならざるを得ず、イマイチ記述に具体性がないようにも感じられます。なかなかむずかしい問題であり、書きすぎると名誉毀損だとか何とかいう問題に直結してしまいます。
 目次は以下の通りです。

はじめに
第1章 タックス・イーターの期限
第2章 タックス・イーターが群がるもの
第3章 タックス・イーターとは何か
第4章 終わりなき行政改革――タックス・イーターとの戦い 国内編
第5章 国境を越えて――タックス・イーターとの戦い 国際編
第6章 問題の所在と対策
おわりに

 本書は、税金を通して日本がどういう国であるのか、何をしようとしているのか、その過程でどんな問題が生じているのか、そのあたりを記述したものといえるように思います。


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2019年09月27日

志賀櫻(2013.3.19)『タックス・ヘイブン』(岩波新書)岩波書店

 オーツが読んだ本です。「逃げていく税金」という副題が付いています。
 著者の志賀氏は、税務署長や大蔵省主税局国際租税課長、主計局主計官などを務めた人で、税金のプロです。そういう目でタックス・ヘイブンがどんなところか、描いています。とはいえ、常識と異なり、タックス・ヘイブンは「税金が安い場所」ではなく、マネーロンダリングのために使われる場所なのだそうです。税金をめぐる攻防が展開されるのかと思っていたら、肩すかしを食らった気分です。
 目次は以下の通りです。
第1章 タックス・ヘイブンとは何か
第2章 逃げる富裕層
第3章 逃がす企業
第4章 黒い資金の洗浄装置
第5章 連続して襲来する金融危機
第6章 対抗策の模索
終章 税金は誰のためのものか

 第2章から第3章では、税金をめぐるさまざまな訴訟などを取り上げ、どういう点が争点になり、最終的にどういう結果になったかが書かれます。オーツが過去に聞いたことのある事件も出てきます。このあたりはタックス・ヘイブンに直接関連する話題だと思ったのですが、第4章くらいから、マフィアなどの表に出てこない組織が扱う犯罪資金の話になります。オーツとはまったく縁のない話が続きますので、このあたりでだいぶ読む気がなくなってきました。
 この本はどういう人向けに書かれたのでしょうか。
 著者は国際的な税制にくわしい人なので、何かもう少し一般人の興味を引く話ができそうにも思いますが、ヒミツの話(つまり本には書けないような話)が多いのでしょうか、何か中途半端な記述になっているように思いました。


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2019年09月08日

北村淳(2019.7.12)『シミュレーション日本降伏』(PHP新書)PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「中国から南西諸島を守る「島嶼防衛の鉄則」」という副題がついています。
 序章「日本降伏」では、中国軍が尖閣諸島に侵攻するやり方をシミュレーションで見せてくれます。リアルです。実際こうなりそうです。日本は、中国軍を一度尖閣諸島に上陸させた後、それを奪還する作戦を取りますが、それではうまくいかないというわけです。
 第1章「島嶼奪還という愚策」では、そもそも、戦略として島嶼奪還というのは成り立たないことを論じています。
 第2章「島嶼防衛の鉄則――海岸線に上陸させないこと」では、昔から現在までの各国の防衛戦略を説明し、一度上陸させてから奪還するというようなやり方ではだめであり、海岸線に上陸させないような防衛戦略を立てる必要があることを論じます。説得力があります。
 第3章「自衛隊と人民解放軍の「現実」を比較する」では、双方の軍事力を装備や練度の観点も含めて比較していきます。どうも日本は防衛力に欠けるようです。
 第4章「米軍依存と平和ボケの無限ループ」では、今の日本の(多数の日本人の)考え方の裏に潜む二つの傾向を指摘します。そして、それでは真の防衛にはならないことを解きます。
 第5章「どうすれば「接近阻止」ができるのか」では、海洋戦力を中国軍の三分の二程度には増強する必要があることを論じます。
 このように、今の日本の防衛戦略は欠陥だらけであり、南西諸島はまったく守られてもいない状況であると警告を発しています。
 オーツは、著者の意見に賛同しますが、しかし、だからといって、自衛隊の増強が可能かと考えてみると、それもまたむずかしそうです。適切な解決策がなさそうなのが恐いところです。
 日本の防衛力などを考える上では、とても有意義な一冊ではないでしょうか。


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2019年09月06日

河尻定(2018.2.8)『鉄道ふしぎ探検隊』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版社

 オーツが読んだ本です。
 本書は、日経電子版で連載中のコラム「東京ふしぎ探検隊」に加筆・修正してまとめられたものです。
 第1章「新幹線のヒミツ」
 「東北〜東海道」はつながるはずだった、東海道新幹線が品川で折り返せない理由、東京駅の中央線ホームがなぜ高いなど、豆知識が並んでいる感じです。
 第2章「東西、関東……境界線はどこ?」
 富士急は関東の鉄道か、山梨と静岡は関東なのか、JRの境界はどこか、北関東は「宇都宮県」になる府県統合案があった、町田駅はかつて神奈川県だった、東京と千葉・埼玉の境界をめぐる紛争など、地理的な問題がまとめられています。
 第3章「歴史を変えた? かもしれない幻の計画」
 富士山に登山鉄道、井の頭線の吉祥寺からの延伸構想、西武鉄道の幻の奥多摩開発、夢の島に空港計画があったなど、残された資料で昔の計画を追いかけています。
 第4章「五輪と鉄道」
 1940年の東京五輪計画に合わせて、さまざまな鉄道計画があったことが書かれます。五輪で消えた町名がいろいろあるという話も出てきます。
 第5章「東京、鉄道の謎」
 山手線の読み方、池袋駅の発展、列車種別の話、私鉄遊園地がその後どうなったかなどの話題を述べます。

 全体として、気楽に読める読み物といった感じになっています。
 だから何なのかなどといった疑問を感じるのでなく、「へえ、こんなことがあったのだ」といいつつ楽しんで読めればそれでいいのではないでしょうか。
 新書サイズですから、オーツはカバンに入れておいて、ちょっとしたヒマができたときなどに少しずつ読み進めていました。


ラベル:河尻定 地理 鉄道
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2019年09月04日

高山正之(2017.5.31)『中国と韓国は息を吐くように嘘をつく』徳間書店

 オーツが読んだ本です。
 本書は、月刊誌「正論」巻頭のコラム「折節の記」(2015.3-2017.5)をまとめたものであり、短いエッセイの集合体の形になっています。その意味で読みやすい長さだと思います。
 ただし、いろいろなことを論じているので、書名は、必ずしも本書の内容を反映しているものではありません。その意味では、本の題名を見かけて読む気になったオーツのような人間にとっては、ちょっと「あれ?」と思うような内容になっていました。
 まあ、エッセイ集のタイトルは付け方がむずかしいわけですが、……。
 全体は5章にまとめられていますし、それぞれの章のタイトルも付けられてはいますが、章自体が内容的にまとまりがあるのかと言えば、そんなことはあまりなく、27本のバラバラのコラムを並べたものといったところです。
 とはいえ、1本1本のコラムはおもしろいと思うし、著者の高山氏の見方が強く出ていますから、読んでいてすっきりするような気分にもなります。
 各コラムのタイトルが内容をよく表しているので、どんな内容が書かれているか、目次を見ればよくわかります。
 オーツがおもしろかったもの2本を挙げるとすれば以下のものでしょう。
・オリンピックとノーベル賞は白人のためにつくられた(p.98)
・真珠湾で安倍晋三は二度と日本を騙してはいけないと誓った(p.236)


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2019年09月02日

橘玲(2019.4.3)『働き方 2.0 vs 4.0』PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「不条理な会社人生から自由になれる」という副題がついています。
 人間の働き方を考えるといった内容の本です。特に、日本の年功序列・終身雇用に基づいた会社とそこで働く人に焦点を当てています。日本語で書かれているから、日本人向けになるのはある意味で当然のことです。
 日本のサラリーマンの働き方は、世界標準から大きく離れています。しかし、終身雇用・年功序列の制度が社会にしっかりと組み込まれてしまっているため、それを大きく変えることはなかなか困難です。「既得権」を持つ側がそのような「変革」を拒むからです。その結果、日本と世界の間のさまざまな矛盾が浮かんできます。
 現地採用と本社採用による給与の違いなどというのは国籍による差別でしかありません。
 本書では、こうすればいいというような単純な処方箋は提示されません。実際、なかなか困難でしょう。ゆっくりとしか変われないし、そうしているうちに世界の流れからは完全に1周遅れになってしまうのです。しかし、それが日本(および日本人全体)の選択であれば、誰かがそれを変えることはできません。
 本書は、働き方を考えるいいきっかけになると思いますが、一方では日本の現状がどうしようもない段階であることが実感されて、いかにも希望がないようにも思えてきます。
 たとえば、今の子供たちが社会に出るころ(10年後)、どのような働き方をすすめればいいのでしょうか。今のような「会社」がそのころも残っているのでしょうか。
 いろいろなことを考えさせてくれる良書だと思います。
 とはいえ、橘玲氏の過去の本を読んで来た人なら、特段新しいことが書かれているようには思えないともいえます。


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2019年08月29日

ダグラス・マレー(2018.12.27)『西洋の自死』東洋経済新報社

 オーツが読んだ本です。「移民・アイデンティティ・イスラム」という副題がついています。
 ヨーロッパは、大量の移民・難民の流入によって自ら死に向かっているということを述べています。イギリス、オランダ、フランス、ドイツなど、それぞれの具体的な移民政策が述べられます。なぜ、このような外国人歓迎の西洋の考え方が問題か。
 第1に、移民の数の多さです。数百人〜数千人くらいなら、何とか扱えるかもしれませんが、数万人から数百万人ともなると、普通の国では扱えません。大量の移民の流入によって、その国が疲弊してしまうのです。
 第2に、移民の多くはイスラム教徒です。イスラム教は、宗教という側面もありますが、キリスト教や西洋の政治体制とは大きく違った面があります。たとえば、アラーの神を侮辱するようなことがあれば、イスラム教の指導者がイスラム教徒に「誰それを殺せ」と命令し、実際、当該人物が殺されてしまうという事件が起こっています。このように、イスラム教徒は危険な一面を持つのですが、そういう人物が大量に西洋社会に入り込んでしまったわけです。大変なことになるわけです。最近の西洋のテロなどは目に見える問題として世界中から注目されています。さらに、目に見えない問題として、女性への強姦事件が極めて多数起こっているとのことです。加害者は外国人の若者である場合が多数です。
 こうして、大量の異人種が入り込んでしまった西洋は、もう今までの社会とは異なるものになってしまったともいえます。
 オーツの考えでは、ヨーロッパは国境をなくす(域内の人は他国へも自由に移動できるようにする)ことを目指しているようです。しかし、それによって、外国人移民・難民もまた移動の自由があるように考えられ、そう扱われてきました。その結果、ヨーロッパ各国に多数の移民・難民が存在する形になってしまったのです。
 この話はヨーロッパだけの問題ではありません。次なる問題として、日本も移民・難民の問題をどう扱うかということをめぐって、重大な危機が訪れようとしています。日本のこれからのあり方を議論する上でも、ヨーロッパの経験してきたことを先例として尊重するべきでしょう。移民によって多様な文化がもたらされるというようなプラス面もあるのですが、表だって語られない大きなマイナス面があるわけです。そういう議論が行われ、その結果としてこういう経緯を経て、ヨーロッパの現状があるわけです。日本は、ヨーロッパと違う面がいろいろあります。日本語を話す人々が多数集住していて、外国人が少ないこと、貧しい外国から相当な距離があること、ヨーロッパのような共同体意識ないし政治体制がなく、周りの国々から独立していることなどが日本の特徴です。それを活かしつつ、移民・難民問題を考えていきたいものです。
 そういう移民・難民を考える上で大きな手がかりになるのが本書です。

 本書は、本文全体で 512 ページほどあり、オーツはとりあえず 320 ページほどを読んだ段階で、中断しました。結構長いです。
 読みながら、ヨーロッパの苦悩がひしひしと感じられました。



参考記事:
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=7578
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2019年08月25日

高山正之・阿比留瑠比(2019.2.10)『マスメディアの罪と罰』ワニブックス

 オーツが読んだ本です。産経新聞社に関係する二人の対談という形で書かれています。おそらく実際に対談が行われたのでしょうが、それにしても日付を含めた細かい話を(二人とも)よく覚えていられるものだと感心します。おそらく手元にメモなどを用意して対談したのでしょうね。オーツなどは、そういう話はすぐあやふやになってしまいがちです。
 本書の内容は、マスメディア批判ですが、特に、朝日新聞を取り上げて、どんな事件を引き起こしてきたか、それがわかったあとでどうしたか(どうなったか)を論じています。マッカーサーのころにまで(さらにはもっと古くまで)さかのぼって、朝日新聞が何を書き、何を主張してきたか、克明に書いています。新聞の紙面に書いたことだけでなく、取材の過程で、朝日新聞がいろいろな「悪事」をやらかしてきたことが述べられます。
 その内容の具体例は本書を読んでほしいところですが、まあとにかくすごい話が次々と出てきます。
 こういう新聞社が日本にあること自体が不思議です。早く潰れてほしいものだと思います。しかし、本書中でも出てきますが、朝日新聞は大変な規模の不動産を所有しているので、それだけでも生き残っていけるのだそうです。
 ということは、今後も害悪を垂れ流し続けるということですね。いやはや現状が今後も継続するということですか。何だか、いたたまれない気分になってきます。



参考記事:
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-5217.html
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2019年07月21日

倉山満・はすみとしこ(2018.6.9)『面白いけど笑ってはいけない!』ビジネス社

 オーツが読んだ本です。副題が二つ付いていて、一つはカッコ付きで「(国民の敵はここにいる)」です。もう一つは「日本をダメにしたパヨクの正しいdisり方」です。
 左翼系(パヨクと呼んでいます)の論説を滅多斬りにする主張が並んでいます。
 第1章がマスコミ・出版、第2章がパヨク有名人、第3章が政党・政治家、第4章が国際、第5章が学者、第6章がモノホン・パヨク、第7章が公明党というわけで、節ごとに具体的な個人名などが挙げられていて、その主張のどこがおかしいか、順次取り上げて論じていくスタイルで書かれています。
 全体としてなかなかおもしろい本でした。書いてあることはもっともだと感じます。ただし、副題に「disり方」とあるように、正面から論じるというよりは、著者二人の対談形式で少し斜めの方向から突っ込みを入れるスタイルになっています。こういう書き方は、オーツの好みに合いませんが、多くの人にはこういう論じ方のほうが受け入れられるのでしょうか。
 249ページの本ですが、そんなに頁数をかけなくても同じことが書けるように感じました。つまり、やや冗長なところがあるという印象です。
 とはいえ、書いてある中身はしっかりしていますから、気軽にいろいろな人におすすめできる本だと思います。
 それにしても、本書で取り上げられる人々・団体がたくさんあって、ある意味では、こういう論説が日本国内の多数派のように感じられます。そういう中で、著者二人がそれに異を唱えている態度は立派です。左翼系の人々はこういう本にどう反発するのでしょうか。そういう立場の意見も聞いてみたいものです。

参考記事:
http://ponko69.blog118.fc2.com/blog-entry-4867.html


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2019年07月01日

八幡和郎(2018.1.1)『韓国と日本がわかる最強の韓国史』(扶桑社新書)扶桑社

 オーツが読んだ本です。
 先日読んだ宇山卓栄氏の本
http://o-tsu.seesaa.net/article/467362982.html
に引き続き、韓国史の本を読んだことになります。
 韓国と北朝鮮を含めて(さらにやや満州に踏み込んだ地域も含めて)朝鮮半島の歴史を描いています。
 オーツが読んで一番興味を持ったのは、韓国の歴史をたどると、時の皇帝なり王なりが回りの国を考慮しすぎて、ある意味でその判断が迷走し、結果的におかしな事件を引き起こしてきたということです。
 韓国を見ていると、歴代大統領が退職後に自殺したり投獄されたり散々ですし、最近の日韓関係に関連しておかしな判断がなされている状況があるわけですが、それは、何も過去70年の韓国の歴史であるだけでなく、ずっと昔からそうだったということです。
 本書の中にはそんな歴史が縷々綴られています。
 ということは、日韓関係を改善するなどということは、一筋縄ではいかないということを意味します。安易に日韓関係の改善を模索するのでなく、丁寧に無視するような態度が必要なのかもしれません。

参考記事:http://agora-web.jp/archives/2031483.html


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2019年06月22日

宇山卓栄(2018.11.1)『朝鮮属国史』(扶桑社新書)扶桑社

 オーツが読んだ本です。「中国が支配した2000年」という副題が付いています。
 朝鮮の歴史が書かれています。オーツの場合、そういうテーマに絞って書かれた本を読んだことはたぶんないと思います。いや数十年前に読んだかもしれませんが、すっかり忘れています。
 朝鮮半島には、真の意味での独立国はなかったということがわかります。ずっと中国の属国という位置づけだったからです。中国の属国というのは、つまり中国に隷属する国ということであり、独立国というのとはだいぶ異なります。李氏朝鮮などはその典型であり、中国に毎年様々な貢ぎ物をしてきました。その中には「美女」(人数は不明ですが、3千人という推定がなされています)も含まれるとのことです。そういうことを続けてきた結果、民衆の生活レベルは低く、支配者層には(また民衆にも)公益とか公共という考え方がなくなってしまいました。朝鮮の歴史を知ると、この地域では政治や社会がまともに機能した歴史がありません。
 日韓関係を中心に現在の韓国の行動を見ていると、常識に欠けるとんでもない国のように見えます。なぜそんな行動をするのでしょうか。その原因の一つは韓国が(というよりは朝鮮民族が)2000年にわたって中国に隷属してきたことにあるといえるかもしれません。
 オーツがおもしろいと思ったことの一つに、ハングル制定が中国への反逆とされたことがあります(第6章)。独自の文字を持つことは、その裏にさまざまな事情を抱えていたのですね。明にはハングルが文字ではなく発音記号だと説明したとのことです。ハングルは女子供の文字とされ、両班たちは漢字を使い続けました。諺文(おんもん)という呼び名は「卑俗な文字」という意味です。その後、後世(19世紀後半)になって、朝鮮半島全体にハングルが広がるわけですが、これには日本が大きく関わっています。
 朝鮮半島の苦難の歴史はもっと知られていいことのように思いました。
 本書は新書ですから、手軽に読めます。


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2019年06月06日

山崎潤子(2018.4.13)『10キロやせて永久キープするダイエット』文響社

 オーツが読んだ本です。
 ダイエットの本です。著者自身がダイエットを実行しました。そして成功しています。
 その方法は、くわしくは本書を読むべきですが、毎日自分の体重を記録するとともに、仲間と一緒に励まし合い、自分で反省しつつ長く続けています。
 特にこれといった方法はありません。ダイエットとはそんなものでしょう。
 要は食べる量を減らし、それ以上にカロリーを消費していけば、やせるものです。
 オーツは自らダイエットを行おうとしたことがありませんが、1日から数日間、食べなければ確実に体重が落ちます。何回も経験済みです。食べなければやせられます。食べないことはさほど苦痛でもありません。しかし、それは不健康だと思います。
 やはり、適度に食べ、普通に生活したいものだと思います。
 とはいえ、若干体重が多すぎ(BMI が 25 以上)のオーツとしては、今後、ダイエットが必要になるかもしれません。そんなことも考えて、ちょっと1冊ダイエットの本を読んでみようという気になりました。
 なぜこの本を選んだか。タイトルに引かれたこともありますし、心理学者の海保博之さんが監修しているからということも勘案しました。


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2019年06月04日

ユヴァル・ノア・ハラリ(2018.9.30)『ホモ・デウス』(上・下)河出書房新社

 オーツが読んだ本です。「テクノロジーとサピエンスの未来」という副題が付いています。
 著者がとても博識であるだけでなく、著者の読んだ様々な分野の知識が結びつけられて大きな全体像が描かれる感じです。一言で言うと、人間は昔から言われているところの「神」になったようなものだし、これからますますそうなっていくということです。人類は、科学や技術を発展させることを通じて「神」になるわけです。

第1章 人類が新たに取り組むべきこと
 過去の人類の歴史では、飢饉・疫病・感染症・戦争などの脅威にさらされてきましたが、現在、それらの多くは解決してしまい、多くの人は、死ぬまでに直接経験することがありません。こうして、未来の人類は不死を目指し、あたかも「神」になるかのようです。

第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する

第2章 人新世
 人間が地球を、またそこに住む多くの動物たちを(家畜という形で)支配するようになってきた歴史を展望します。

第3章 人間の輝き
 人間の命はブタの命よりも価値があるのかと問います。人間は意識を持っています。それは脳の中にあるように思えますが、現在では、コンピュータが意識を持つようになりつつあります。動物の一部にも意識があるようです。
 人間が社会を構成しているときに、どんな仕組みが働いているのでしょうか。

第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える

第4章 物語の語り手
 農業革命によって、人類は農耕で食べていくようになりますが、それと合わせて文字と貨幣を発明し、使うようになり、社会が大きく変わっていきました。

第5章 科学と宗教というおかしな夫婦
 科学は宗教とどう折り合いをつければいいのでしょうか。
 宗教を著者はかなり広いものととらえており、共産主義などもその一種だとしています。現代の人間が信じている「人間至上主義」も、一見科学であるような顔を見せていますが、宗教の教義のようなものだと考えられます。

第6章 現代の契約
 社会は定常的なものではありません。経済がどんどん大きくなるから、利息というものが発生し、さまざまなレベルで契約社会になったのです。

第7章 人間至上主義
 人間の自由意志が最高の権威であり、自分のしていることの意味は自分が考えるべきもので、究極的に自分自身が一番だという考え方が広く認められる社会になって、「神」は不要になってしまいました。芸術も教育もその意味を変えてしまいました。自由主義も社会主義も人間至上主義から発生しています。

第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる

第8章 研究室の時限爆弾
 自由意志というものも、ほんとに自由か疑問があり、脳を各種手段で刺激して感覚や感情を変更してしまう技術が発達中です。そうなると、人生の意味は何かという根本的な疑問がわきます。

第9章 知能と意識の大いなる分離
 コンピュータの発達によって、人間は大きな力を手に入れましたが、一方では、それによって人間が無用な社会が形成されようとしています。生命がアルゴリズムであるなら、Google が自分のことをよく知っている状態では、自分自身に関する判断を自分で行うよりも Google に任せてしまってもいいのではないでしょうか。

第10章 意識の大海
 テクノ人間至上主義とデータ教という新しい宗教が発生しています。テクノ人間至上主義では、テクノロジーを使ってホモ・デウスへの進化を予想します。

第11章 データ教
 データ教、つまりデータ至上主義は、森羅万象がデータの流れからできているという考え方ですが、現在すでに科学界の主流をなしています。政治制度もデータ処理システムとして解釈できます。データ至上主義が世界を征服すれば、ホモ・サピエンスはいらなくなってしまいます。

 著者の広範な知識には驚くばかりです。未来を語りつつ、歴史を始め哲学や芸術などあらゆるものに言及していきます。本書は簡単な要約ができません。全体として、ものの見方のようなことを論じています。メインテーマは人類が今後どうなっていくかですが、現代のコンピュータの発達を中心に置きながら、「その先」を見ようとしています。

 上下2巻に分割されて出版されていますが、内容は事実上連続していますので、1冊にしてもよかったと思います。紙の質を薄くするとかの工夫が必要だったように感じます。(出版社のもうけ主義が感じられます。)
 あとで気がつきましたが、上下合本版も出版されています。

参考記事:
http://imnstir.blogspot.com/2018/09/deus-ex-machina.html
https://imnstir.blogspot.com/2018/09/deus-ex-machina_16.html



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2019年05月20日

升田幸三(2003.8)『名人に香車を引いた男』(中公文庫)中央公論新社

 オーツが読んだ本です。「升田幸三自伝」という副題が付いています。
 オーツが読んだのは、文庫本ですが、その底本は1980年に朝日新聞社から出版されています。
 中身は、1979 年の週刊朝日での30回にわたる連載をまとめたものということになります。子供のころから 昭和33年ころに至るまで、どんな人生を歩んできたかを語っています。
 升田幸三の自伝ということで、将棋好きなオーツとしては一度読んでみたいと思いました。
 まさに波瀾万丈の人生です。オーツが升田幸三の名前を知ったのは 1960 年代の終わりころですから、本書に書かれているかなりの部分は知りませんでした。本書では、子供のころからの無鉄砲な性格がよく書かれています。
 本書は、将棋の技術面の解説よりも、それぞれの対局相手(特に、木村義雄、大山康晴の二人)のことを升田がどう見ていたか、どのようにして闘志を燃やしていたか、そのあたりがくわしく書かれており、大変興味深く読みました。
 陣屋事件がどういう経緯をたどったのかなども、オーツはよく知りませんでした。同世代を生きているのでない限り、あとの時代ではくわしく書かれることはないものでしょう。

 13局の棋譜も載っていますが、それがメインではありません。
 そもそも、棋譜がかなり読みにくいものになっています。約20手分をまとめて1譜として掲載していますが、さすがに20手くらい進むと個々の局面が頭に入り切りません。もう少し小分けにしてもらえないと、本で読んで将棋を追いかけるのはかなり大変です。まあ、棋譜がメインではないですから、指し手の意味がわからなくてもいいのかもしれませんが、せっかく棋譜が載っているなら、盤と駒なしで読んでいける程度の長さにしてもらいたいと思いました。
 いや、これは、オーツが歳を取ってきて、長い棋譜が頭に入らなくなっているせいなのかもしれません。

参考記事:
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-4083.html


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2019年05月15日

藤沢数希(2015.6)『ぼくは愛を証明しようと思う。』幻冬舎

 オーツが読んだ本です。
 小説仕立てです。恋愛工学実践編といった内容でしょうか。もてない男が、とある男性から教えてもらった恋愛工学を応用することによって、Aクラスの女性との恋愛(セックスを含む)を実践するといったスジです。本書の大部分は、ナンパのしかたとその実践というあたりが占めています。
 書かれているナンパの成功確率などは、それなりにもっともらしく思います。また、ナンパに際してどういうことに注意するべきかなどに関する指南書的な性格も持っています。参考になる話がいろいろ盛りだくさんです。(ただし、まあ、ナンパがそんなにうまくいくとも思えないのですが。オーツは経験がないのでわかりません。)
 こんなふうにあけすけに書いてしまったら、周りの人が著者を見る目が変わってしまうように思います。よくぞ書いてくれたという感想を持ちました。
 本書はフィクションですが、ある意味で著者の恋愛観が前面に出てきているようにも思えます。(まあそういう読み方はいけないのでしょうが。)
 では、オーツが若かったら、この本で描かれているようなことを実践するでしょうか。たぶん、そうしないように思います。若いころは金がなかったから本書で描かれるような「遊び」は、やろうとしてもできなかったでしょうねえ。それに、オーツは早めに結婚したので、その後はナンパうんぬんは、ほぼまったく興味がなかったように思います。
 とはいえ、若い男性はこの本を読んでもいいのではないかとも思います。この通りにせよなどということではなくて、本書に描かれているような恋愛観もあるのだということを知っていて損はないと思います。
 オーツは単行本を読みましたが、同内容の文庫本も出ているようです。




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