ある晩、オーツは 19:00 からサントリーホールで行われたロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートを聞きに行きました。
指揮者はラハフ・シャニです。オーツは初めて聞きました。この人の指揮のスタイルはちょっと変わっています。普通の指揮では、オーケストラの各メンバーの演奏のタイミングを揃えるためにリズムをきちんと示したりするものですが、この人は、曲の流れというか、それぞれの雰囲気のようなものを示すことが多く、あまり正確にリズムを指示しているようには見えませんでした。まあ、コンサートのステージは普段の練習の結果を見せるものであって、稽古場などでは指揮者が細かな指示を出したりするものですが、その部分は聴衆にはまったく見えない(聞こえない、わからない)ものですから、オーケストラと指揮者が相互に意思疎通できていれば、どんな指揮のスタイルでもかまわないわけです。オーツは多くの指揮者と指揮のスタイルが違うなと思っただけです。
オーツの座席は、1階10列13番でした。かなり前方でステージに向かってやや左側です。このあたりがベストな位置でしょう。指揮者は第1バイオリン(コンサートマスター)の方を向くことが多いので、この座席からは指揮者の表情などがよく見えるのでした。
1曲目は、モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲 K.492 でした。軽やかなメロディーがとても心地よく感じます。
2曲目は、ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 二長調 Op.61 でした。バイオリンのソロは庄司紗矢香さんという日本人でした。庄司さんは、東京生まれで、3歳でイタリアのシエナに移住、音楽を学び、14歳でヨーロッパデビューという国際人です。
協奏曲のバイオリニストはしばしば派手な色のドレスで登場し、黒一色のオーケストラの中で花が咲いたような感じになることが多いのですが、この日の庄司さんはシンプルな白い服で、オーケストラの中に溶け込むような感じになりました。
演奏自体はとてもすばらしいもので、協奏曲ですからバイオリンが活躍する部分もしっかり組み込まれており、そういうところはとてもいい響きでした。
演奏が終わった後、聴衆の盛んな拍手に応えて、庄司さんがアンコール曲を弾きました。オーツが聞いたことのない曲でした。この曲がとてもよかったと思います。左手でピチカートをしながら、右手は普通のボウイングで演奏し、あたかもバイオリンが2台で演奏しているような仕上がりになっていました。右手によるピチカートはごく普通のことですが、左手によるピチカートというのはオーツは初めて聞きました。こんな演奏もあるのですね。
休憩20分を挟んで、3曲目は、ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98 でした。
ブラームスの交響曲ですから、オーケストラは最大編成で臨んだものと思われます。
曲としては、管楽器(ホルンやファゴットなど)が活躍しますが、管楽器はどうも響きが強く、荒々しくなってしまいます。弦楽器は柔らかさが正面に出るので、オーツは弦楽器が好みです。
とはいえ、やはりきちっと演奏されると、たっぷりごちそうを食べた気分になりました。
最後に、オーケストラによるアンコール曲が2曲もあり、大サービスでした。
プログラムの末尾にオーケストラのメンバーリストが載っていましたが、日本人らしき名前はまったく見当たりませんでした。今はちょっと珍しいように思います。世界にはいろいろなオーケストラがありますが、たいてい一人くらいは日本人らしき名前の人がいるものです。
21:15 にはすべて終わって、会場を後にしました。
チケット代 19,000 円はちと高いかなと思いました。外国からオーケストラを呼ぶと、どうしても航空運賃やホテル代などの費用がかさむので、その分チケット代が高くなってしまうのはわかるのですが、1回のコンサートということを考えると、プチ贅沢のようなものかと思います。
2025年07月08日
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