図は終盤戦の1局面です。上手が 123 手目、▽8九角と打ち込んできて、下手玉が詰むや詰まざるやの局面です。
ここは玉が移動する1手ですが、▲6九玉、▲7九玉、▲8九同玉の3択です。
ここでオーツは▲6九玉と逃げたのですが、これが実は大大大悪手でした。こうすると、▽6八銀打、▲同金、▽同銀成、▲同玉、▽6七角成、▲5九玉、▽5八金までの詰みがありました。つまり、この将棋はTさんの勝ちだったわけです。
水匠5によれば、▲6九玉ではなく、▲8九同玉とするのが正解です。▽8八銀打、▲7八玉、▽7七龍、▲6九玉、▽6八銀成、▲同金、▽7九龍、▲5八玉以下、王手は続きますが、下手玉は詰みません。
さらに検討してみると、▲7九玉でも詰まないようです。▽7八銀、▲6八玉、▽6七銀不成、▲5九玉、▽5八銀成、▲同玉、▽6七角成、▲4八玉、▽5八金、▲3九玉という手順で逃れています。
というわけで、▲6九玉は下手が負け、▲同玉か▲7九玉なら下手が勝勢だったということです。
オーツは▲6九玉のときの詰みが見えておらず、むしろ▲同玉のほうが詰みやすそうだと思ったのですが、実は逆だったのでした。
実戦は、▲6九玉に対して、上手が▽7七龍としたために、下手が▲4一角と打って上手の投了となりました。以下、▽5二合、▲同龍、▽7四玉、▲5五龍、▽6三合、▲8五金までの即詰みです。
将棋は終盤戦が極めて大事です。1手で形勢が大逆転することがあります。だから2人の対局者の終盤力で勝敗が決まると言っても過言ではありません。
オーツにもう少し終盤力があれば、3択の玉の逃げ方のそれぞれの詰みの有無を全部読み切って、その上で詰まない逃げ方が選べたはずです。そこまでの終盤力がなかった点は残念です。もう少しこの方面を鍛えないと、将棋が強くなれないように感じます。

