2025年03月25日

飛車落ちの指導将棋でプロの指し手の特徴を見る

 オーツは江古田の将棋道場でプロ棋士のM先生に飛車落ちで教えてもらうことになりました。
 すらすらと下手の右四間飛車の定跡形に進みました。

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 図は 39 手目で上手が▽6三金と金が6二から上がった局面です。ここは下手が十分に準備した局面です。そろそろ仕掛ける時期かと思って、オーツは決断しました。
 図から▲4五歩、▽同歩、▲同桂、▽同桂、▲2二角成、▽同金、▲4五銀、▽4四歩と進みました。

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 これは飛車落ちのかなり典型的な仕掛け方です。上手も策を弄することなく、自然な対応です。下手の力を見極めようとしているかのようです。
 さて、この局面で▲5六銀と引くようでは、仕掛けた意味がありません。以前、S先生との指導将棋で、この局面では▲同銀と食いついていくものだと教わりました。そこで、オーツはその言葉通りに攻めてみました。▲同銀、▽同銀、▲5六桂、▽4五桂、▲4四桂、▽同銀直、▲7五歩、▽同歩、▲7四歩と進みました。

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 ここまでの攻めは、下手としてもまあまあでしょう。水匠5の判定では、このあたりで下手が勝勢となっています。
 ▲7四歩を上手が素直に▽同金と取ることは、下手のいいなりになるということですから、上手としては考えにくい手です。実際、▲4一角、▽6四金、▲7四歩で桂取りになり、下手が好調です。
 上手の反撃の手段はいくつか考えられます。水匠5は▽3七角がいいとしています。しかし、下手は▲4六歩という桂取りの手があり、上手としても大変だと思います。
 M先生は▽7六桂として、下手陣に嫌味をつけてきました。オーツは、▲同銀、▽同歩と桂を食いちぎり、取った桂を▲7五桂と打って、▽6四金、▲3一角、▽5三銀打と攻めました。

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 この局面では、下手側に指したい手がいくつもあります。▲2二角成と金を取る手も大きいです。オーツは、▲7三歩成、▽同玉と桂を取りましたが、水匠5が推奨する手順は、▲8三銀、▽6二玉、▲7三歩成、▽同玉です。こうすれば、単に▲7三歩成とするよりも(8三に銀が打ってあるだけ)下手が手得していることになります。
 水匠5は、もう一つ、▲4五飛と切る手もあるとしています。▽同銀ならば▲5三角成として下手が勝勢です。だから、上手は▽同銀とせずに▽4二歩と受けますが、それなら、▲4四飛と銀を取って、飛車と銀桂の2枚替えが実現します。そこで▽3二金と角取りに金が寄れば、▲3四飛で飛車が活躍しそうです。これはオーツがまったく考えなかった手順です。
 ▲7三歩成、▽同玉以下は、▲5六桂、▽3二金、▲5三角成、▽同銀、▲6四桂、▽同玉、▲4五飛、▽5五角と進みました。

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 この局面でオーツは攻め方がわからなくなりました。いろいろ考えて、▲6三銀と打ちました。これでも下手が勝勢ですが、水匠5によれば▲8三銀が圧倒的な高評価になっています。どちらも次に▲7四金で詰みをねらっていますが、上手が▽4四銀と逃げ道を空けたとき、▲6三銀では次の下手の攻めがはっきりしないのに対して、▲8三銀としてあれば、▲6三金、▽7五玉、▲8七桂、▽8六玉、▲7五銀、▽8五玉、▲7四銀引不成で上手玉が詰んでしまうのです。つまり、▲6三銀は金を打つスペースを自分でじゃましているということなのです。上手は▽4四銀でなく、▽6二銀と逃げ道を空ける方がベターですが、▲7四金、▽5三玉、▲6四銀から角を取り、▲5六桂という手があるので、上手玉は寄っていました。
 オーツの▲6三銀に対して、上手は▽8二桂と守りました。▲8三銀打、▽4四銀と進みました。

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 ここで、オーツは▲5六桂としました。それでも下手が勝勢なので、いいのですが、水匠5は▲5五飛と角を取る手があると指摘しています。この手はオーツがまったく考えませんでした。
 ▲5五飛に対して、▽同玉は▲7三角からの簡単な詰みです。▽同歩は▲5四金、▽7五玉、▲6四角の詰みです。したがって、▽同銀とするしかありませんが、▲4五桂と退路を封鎖すれば、上手は適当な受けがありません。
 実戦は、▲5六桂打、▽5三玉、▲4四桂、▽同角、▲6二銀不成、▽4三玉、▲5三銀打、▽3三銀打、▲6三桂成、▽3一金と進みました。

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 ここでオーツは▲5二銀不成と攻めたのですが、この手が悪手でした。
 水匠5は、▲4四銀成、▽同銀、▲同飛、▽同玉に▲5三角がよいとしています。オーツは、この寄せ方も読んでいましたが、上手が▽4五玉と上がると上手玉が寄らなくなると思っていました。実際は、▲5六金、▽3六玉、▲2六角成で詰んでいました。▽4五玉と上がる手がなければ、▽3三玉と下に逃げる手しかなく、それなら▲4四金と打って、のちに▲3一角成と金を取る手もあるので、下手が勝ちだったと思います。
 ▲5二銀不成以下は、▽3二玉、▲4三金、▽2一玉、▲4四金、▽同銀、▲同飛と進みました。

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 この局面で、上手は▽7五桂と怪しげな桂打ちをしてきました。8七に駒を打ち込む手が見えます。上手が▽8七角とすれば、下手は6九に玉が下がれなくなり、一気に危なくなります。しかし、今はまだ一手の余裕があります。
 オーツは、ここは攻める手だと考え、▲4一銀成と行きました。▽2二金、▲4二飛成、▽3三角、▲3一成銀、▽1二玉、▲2一銀、▽1三玉、▲4六角、▽2四歩、▲3三龍、▽同金と進みました。

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 ここまでは、ずっと下手が優勢を維持してきたように思います。
 しかし、ここでオーツが間違えました。108手目に▲5一角と打ったのですが、これが大悪手でした。上手が▽4九飛と打ちましたが、これが詰めろ角取りの手になってしまいました。水匠5によれば、この局面で形勢は互角だとのことですが、飛車落ちの手合いで形勢が互角では、下手は勝てないものです。大駒落ちでは、下手がずっと優勢を維持して押し切って勝つという形にしなければなりません。
 水匠5によれば、▲5一角に代わって、▲3二成銀、▽同金、▲同銀不成がよかったとのことです。以下、▽3三金、▲4一角、▽3二金、▲同角成、▽2三銀、▲3一馬、▽2二銀、▲7五馬という手順で上手の桂馬を外して下手が勝つとのことです。
 実戦は、▲5一角、▽4九飛、▲6九金、▽8七金打、▲6八玉、▽7七歩成、▲同桂、▽7六歩と進みました。

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 ここで下手のオーツは▲5九金引としましたが、これが敗着となりました。ここでの正解は▲3三角成でした。この手は対局直後にM先生から指摘されたものですが、水匠5も同じ指摘をしました。▽7七歩成に▲同馬と取れば、▽4六飛成に▲2三金、▽同玉、▲3二銀不成、▽1三玉、▲8七馬でまだもつれたかもしれません。しかし、オーツにはこの順が見えていませんでした。
 ▲5九金以下は、▽7七歩成、▲5八玉、▽4六飛成でオーツの投了となりました。総手数119手でした。
 オーツがずっと勝勢を維持していたのに、最後に悪手を指して自滅しました。
 それにしてもプロ棋士の強さはすごいものです。ずっと敗勢だったのに、その中でも最善手を選び、指し続ける根性があります。そして、下手のちょっとしたスキを突いて、あっという間に勝勢にしてしまう優れた感覚があります。読みの力であり、これが棋力というものでしょう。
 オーツは、指し手そのものよりも、そういう対局に臨む姿勢のようなもので別格感を感じました。とてもいい勉強になりました。
 プロ棋士に飛車落ちで勝つのは、アマチュアにとって大変なことです。
posted by オーツ at 05:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 将棋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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