オーツが読んだ本です。
タイトルに引かれて読んでみる気になりました。
本書は5章構成です。
1章 「物理学」の時間――物理学者は時間をどう扱ってきたのか――
2章 時間の「はじまり」――それは宇宙のはじまり――
3章 時間の「おわり」――宇宙に終わりは訪れるのか――
4章 時間の「道具」――時計が人々の生活を変えた――
5章 身の回りの時間――1日はいつも24時間か――
本のタイトルから見ると、時間というものを物理学でどうとらえているかを論じたものということになるかと思います。しかし、本質的にその内容は第1章で示されます。それでも、時間を時間としてとらえるというよりは、空間なり宇宙なりをどうとらえるかという視点から時間を論じています。
有り体に言えば、本のタイトルに示される内容を知りたい場合、第1章だけを読めば十分ではないかと思います。
第2章と第3章は、どちらかといえば宇宙論であり、時間と無関係ではないものの、時間の本質とは若干論点がずれているように思います。
第4章は時計の話で、第5章は心理的な時間まで話を広げていますので、時間そのものを物理学的にとらえる話とはだいぶ違ったものになっています。
というわけで、時間について知りたいと思って本書全体を読むと、ちょっと肩すかしを食らったような気分になりました。
本書のタイトルに引かれて読もうと思った人は、答えを知るために第1章の40ページほどを読めばそれで十分でしょう。
本書では数式が徹底的に避けられています。「文系でもよくわかる」ためには数式を一切出さないという方針で執筆されたのでしょう。本書を通してたった1箇所だけ数式が現れます。p.101 に「F=ma」(F が力、m が質量、a が加速度)というのがあります。これは、数式といえば数式ですが、単なるかけ算ですから、あまり数式らしくないものですし、これを省いて文章中に説明を盛り込んでも理解できるところです。数式を省けば「文系でもよくわかる」のでしょうか。オーツはこの執筆方針がかなり疑問に思えます。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック

