https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE236QY0T20C24A1000000/
(2024年1月23日 15:34 (2024年1月23日 20:17更新))
三つの新幹線が運休になったというニュースです。
このニュースに対し、放送大学の原武史教授がコメントを寄せています。
別の視点 JR東日本は、東北新幹線の代替手段として品川といわきを結ぶ常磐線の特急「ひたち」を、いわきー仙台間は臨時快速にして仙台まで運転すると発表した。しかしこれでは、東京と仙台の間の代替手段にしかならず、東北新幹線の沿線に当たる宇都宮、郡山、福島などは全く代替手段がないことになる。前にも大きな地震があり、東北新幹線がしばらく動かず、東北本線に臨時快速が走ったことがあった。こうした事態が常態化するようであれば、ふだんから東北本線にも特急を走らせておいたほうがよい。分割民営化により在来線から特急をなくし、事実上新幹線でしか移動できないダイヤにしたことの負の側面が、如実にあらわれている。
オーツは、原武史氏のコメントにかなり大きな違和感を持ちました。
第1に、常磐線の特急の走行区間を延長して走らせる案に対して、「東京と仙台の間の代替手段にしかならず、東北新幹線の沿線に当たる宇都宮、郡山、福島などは全く代替手段がない」と批判している点です。まず、東北新幹線は仙台以北から東京方面に移動する客が多いものと想定されます。であれば、常磐線経由であっても、在来線の特急(快速区間を含む)を走らせることでかなりカバーできます。
途中の駅(宇都宮、郡山、福島など)はちょっと不便ですが、「まったく代替手段がない」というのは言い過ぎです。在来線の東北線(宇都宮線)には快速やラピット号を含むいろいろな電車が走っており、非常時にはそれでかなり間に合うものと思われます。また、各地と東京を結ぶ高速バスという手段もあります。新幹線ほど高速・快適ではありませんが、何とか人の行き来はできるでしょう。事故があった際にはしかたがないと思います。
第2に、「ふだんから東北本線にも特急を走らせておいたほうがよい」というコメントが載っていますが、とんでもないことです。事故や災害は、頻発するわけでもなく、新幹線の運休なんて、数年〜数十年に一度くらいではないでしょうか。そんなときに備えて、在来線に毎日特急を走らせるのですか。大変なコストがかかり、そして普段は空気を運ぶことになるわけです。そういうムダな運行形態では赤字が激増するから在来線の特急を廃止したのでしょう。だったら、非常時は別の手段を考えるべきであって、今さら特急を走らせるなんて考えられない発想です。
言い訳みたいに「こうした事態が常態化するようであれば、」と言っていますが、こんなことが常態化するはずはありません。事故の起こる頻度(そして運休期間の長さ)を考慮して最適なストラテジーを考えるべきです。
原武史氏は鉄道ファンだという話です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%AD%A6%E5%8F%B2
それなら鉄道関係にもくわしいはずです。もっと鉄道事業全体を見る中でコメントしていただきたいと思いました。

