2021年02月16日

正高信男(2000.2.25)『老いはこうしてつくられる』(中公新書)中央公論新社

 オーツが読んだ本です。「こころとからだの加齢変化」という副題が付いています。
 オーツもそろそろ加齢を感じ始めているので、その参考までにこんな本を読んでみようかなと思ったのでした。ところが、実際読み始めてみると、単なるエッセイとかではなくて、きちんと実験などを行い、その結果に基づいて語っていくスタイルで書かれており、オーツの好きな論述スタイルになっていました。
 いろいろおもしろいことを学ぶことができました。20年も前の新書で、現在では「新書」でなくなっていると思いますが、その優れた記述は古くなっていないと思います。
 目次に沿って簡単な内容を紹介します。

はじめに 寝たきり老人の調査から
 BGMを流すことで食べ物の好みが変わる実験をしています。

第1章 脚の衰えとアフォーダンスの知覚
 数メートル先のバーを見て、くぐるかまたぐかを判断する実験をやっています。こうして、自分の身体の知覚がだいたい似たものになるというわけですが、60代になると、臨界値がばらついてきます。

第2章 痛みをどう表現するか
 歳を取ると、痛みの表現の内、オノマトペに関するものが、その指し示す範囲が曖昧になってくるという実験が紹介されています。

第3章 高齢者は感情に乏しいか?
 ビデオを見てどれくらい笑うかという実験をしています。筋電図で笑いの程度を測定します。その結果、高齢者はおかしさが大きく変わっても、笑いはあまり大きく変わらないとい結果になります。

第4章 年寄り扱いのはじまり
 「育児語」の話が出てきます。女性が赤ちゃんなどに接するとき、声が高くなるということです。赤ちゃんは高い声によく反応するとのことです。これを無意識に高齢者にも当てはめてしまって、子供扱いしているというのです。赤ちゃんでもわかるような言葉を成年者が使う「ベビー・トーク」とは別物です。前者は意識的に使用を止めることは困難です。無意識ですから。後者は、使わないようにすることができます。育児語の使用を高齢者自身も感じています。違和感を感じているわけです。しかし、なぜ違和感があるのか、わからないということです。

第5章 将来への悲観が始まるとき
 金銭の時間割引率の調査が行われます。年齢が上がると、時間割引率が下がっていくのですが、70代になると、逆に上がる人が出てきて、結果がばらつきます。

第6章 高齢者心理は誤解されている
 老化すなわち幼児返りという考え方は間違っていると説きます。

 こうやって振り返ってみると、オーツとしては第4章の論述が一番おもしろいと思いました。


posted by オーツ at 05:29| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。