オーツが読んだ本です。390ページほどの分量があり、かなりの大作です。
著者の李氏には『反日種族主義』という著書があり、オーツも読んだことがあります。
2020.9.18 http://o-tsu.seesaa.net/article/477451470.html
本書はそれに続くものです。20章以上の多様な論考からなります。いろいろな人の論文を集めた論文集ともいえます。内容は、前著に対する韓国国内からの反論に対して、再度反論するものです。データや根拠を示しつつ、それに従って議論する態度には好感が持てます。このような本が韓国で出版され、読まれているのはすばらしいことだと思います。いかにも言論の自由があるということだと思いました。しかし、巻末の久保田るり子氏の解説によれば、韓国内で前著の著者たちは裁判を起こされているという話です。慰安婦・徴用工などに対する名誉毀損だという主張です。オーツが読んだ限りでは、前著も全然問題ではないと思います。しかし、韓国の司法は異常ですから、どんな判決が出されるか、心配です。
そういう状況の中で、本書を出版した著者たちには、尊敬の念を抱きます。学者・研究者とはこうあるべきでしょう。
大変読み応えがある1冊でした。
本書の目次を以下に示しておきます。
プロローグ:幻想の国(李栄薫)
第1編 日本軍慰安婦
1 慰安婦強制連行説に対する再批判(李栄薫)
2 慰安婦運動の暴力的心性(李栄薫)
3 彼女たちは果たして手ぶらで帰ったのか?(李栄薫)
第2編 戦時動員
4 日本に行ったらみな強制動員なのか?(李宇衍)
5 日本での労働、報酬、そして日常(李宇衍)
6 働いても賃金が貰えなかったという嘘(李宇衍)
7 強制動員賠償を請求した原告たちの行跡(朱益鍾)
8 きびがらで作った家――大法院の判決(朱益鍾)
9 陸軍特別志願兵制の内と外(鄭安基)
第3編 独島
10 幻想の島(李栄薫)
11 于山島の消滅(李栄薫)
12 石島=独島説は強引な主張(李栄薫)
13 独島編入と独島密約(李栄薫)
第4編 土地・林野調査
14 土地収奪説に再度反論する(李栄薫)
15 事実と逆である林野収奪論(李宇衍)
第5編 植民地近代化
16 韓国史において近代はどのように出発したのか(李栄薫)
17 高宗の習慣性播遷と国家意識(金容三)
18 西洋近代文明の拡散という大枠で捉えねば(金洛年)
19 「制度と政策を通した収奪」? 姿を変えた収奪論に過ぎない(金洛年)
20 朝鮮人の開発のない植民地開発?(朱益鍾)
21 日帝時代における生活水準の変動(車明洙)
特別寄稿:作られた中国の反日感情(朴尚厚)
エピローグ:悪い風俗、浅薄な文化、国家意識(李栄薫)
解説 自由人の精神 久保田るり子
2021年01月22日
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