2020年02月01日

橘玲(2019.8.6)『上級国民/下級国民』(小学館新書)小学館

 オーツが読んだ本です。
 日本と世界の社会構造を見渡した本といったところでしょうか。客観的に(統計データなどで)見ると、日本も世界もいろいろな問題を抱えていることがわかります。本書は、それらを記述していくスタイルであり、解決しようとするものではありません。しかし、そういう目を持つことは、長い目で見れば問題解決に結びつくかもしれません。今はまずそういう問題があることを意識することが大事です。

PART 1 「下級国民」の誕生
[1] 平成で起きたこと
 日本経済が相対的に落ち込んで、社会構造が変わってしまいました。
 日本のサラリーマンは会社を憎んでいること、女性の非正規雇用が増えたこと、引きこもりが各地で増大していること、生産性の高い工場さえ閉鎖されていることなどを記述します。
[2] 令和で起きること
 日本は構成員の年齢構成によって若者が冷遇される社会構造になっていること、中高年男性が既得権を持っていてそれが打ち破れないことなどをときます。
PART 2 「モテ」と「非モテ」の分断
[3] 日本のアンダークラス
 日本の下流階級の生活・考え方などを記述します。さまざまな資料を駆使しており、説得力があります。
[4] 「モテ」と「非モテ」の進化論
 男と女では「モテ」の仕組みが異なること、「非モテ」がテロリズムと結びつくことがあることなどを説明します。オーツがおもしろかった点として、現代社会は「事実上の一夫多妻」だという議論でした。十分な金を持っていれば、最初の妻と離婚して、若い女性との結婚を繰り返すことが可能であり、それは事実上の一夫多妻だという話です。
PART 3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断
[5] リベラル化する世界
 現代は、過去と違って、自分の人生を自分で選択する時代になってきたと述べます。これがリベラルな考え方であり、一方では自分の決めたことだから自己責任を伴うということになります。
[6] 「リバタニア」と「ドメスティックス」
 現代は、知識社会化・リベラル化・グローバル化していますが、それは当然であり、世界の潮流として変えられないとしています。そういう中で、新しい下流階級が形成され、とある場所にふきだまるという話です。先進国ではいずれもこのような変化が起きているとのことです。

 というわけで、本書は日本と世界をこう見れば今の状況がとらえられるということを書いています。けっこう当てはまるなあと感心しながら読みました。
 学問とは違うところで、社会を見る「目」を感じました。社会学ではないけれど、社会学に通じるところがあるような感じです。オーツは、読んでいて刺激を受けました。


posted by オーツ at 05:55| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近読みました。「言ってはいけない」よりは読みにくかったです。なかなかシビアな展開ですよね。でも確かに世の中には超えられない格差があります。揺るぎない格差を感じます。
(=^・^=)
Posted by dalichoko at 2020年08月05日 13:25


dalichokoさん

橘氏の本を読むと、何というか、ホンネを語っているような感覚ですね。
あまり口にしないような話題でも、ズバリ話題にしてしまいます。そして、各種の文献を調べた上で、科学的根拠を示しながら議論を展開するスタイルがオーツの好みです。
Posted by オーツ at 2020年08月06日 04:48
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