2020年01月20日

新井紀子(2018.2.15)『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社

 オーツが読んだ本です。
 AI(人工知能)と子供たちの話です。オーツは AI の話に興味があったので、その点からの関心でこの本を読むことにしたのですが、最大の驚きは子供たちの話でした。
 第1章「MARCH に合格――AI はライバル」では、東ロボくんというプロジェクト(AI が東大の入試に合格できるか)を解説します。結論からいうと、AI は、そこそこの能力を獲得し、試験に対してそれなりの解答をするようになったということです。しかし、その裏には科目ごとのさまざまな戦略が立てられ、多数の研究者が集まって、この課題にチャレンジしてきたという事実があります。そのあたりを解説している章です。
 最後に、「AI が仕事を奪う」話が出てきます。
 第2章「桜散る――シンギュラリティはSF」では、さまざまな AI の例を出し、AI が人間の能力を超える地点−シンギュラリティは来ないと断定します。AI には意味がとらえられないからとのことです。
 著者の意見にはオーツも賛成する面があるものの、しかし、これはすべて過去の話です。コンピュータの歴史はたかだか80年程度しかありません。未来は大変に長い(十分に長い)のです。これからさらなる進歩・発展が継続することを考えると、「シンギュラリティは来ない」と断言していいのか、ここには一抹の不安が残ります。ないことの証明ができないことと類似した話です。
 第3章「教科書が読めない――全国読解力調査」では、全国の2万5千人もの人の基礎的読解力を調査しています。AI がどの程度の能力を示しているかを人間と比べて確認しようというのが発端のようです。しかし、そこには驚愕の事実が隠されていました。本書のタイトルにもあるように、3人に1人が簡単な文章が読めないという事実です。どういう問題が出たのか、解答者がどんな人だったのか、正解率がどうだったのか、さまざまなグラフが示されるので、説得力があります。
 こういう話は、まさに驚きの事実なのですが、大学生たちに接してみると、これがさもありなんと思えてくるところが恐いところです。オーツがいろいろなレベルの大学生に接した経験では、このあたりの読解力というか理解力というかで非常に大きな差があると感じます。頭のいい学生たちの場合、次々と新しいことを咀嚼し、自分を変えていくことができるのに対し、そうでない学生たちの場合、新しいことが理解できないし、したがって、知識の獲得も何もできないわけです。長い人生では大差になってしまうと思います。
 第4章「最悪のシナリオ」では、AI が社会に導入されてくると、たくさんの仕事が AI に代替されるだろうという話です。人間側が教科書が読めないレベルであれば、そういう人は社会に役立つようなレベルの仕事ができないだろうと思われます。そういう人はやるべき仕事がなくなってしまいます。人間は AI にできない仕事をするべきですが、能力が低いと、そういう仕事ができないことになるわけです。

 この本は、第3章から第4章だけでも読む価値があると思われます。大変おもしろい本でした。

参考記事:
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=7325


posted by オーツ at 04:36| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。