オーツが読んだ本です。「1000手先を読む技術」という副題が付いています。
著者は将棋界では有名人で、日本将棋連盟の棋士会の会長もつとめています。オーツは将棋が趣味なので、将棋の対局の面での活躍ぶりはよく知っていました。
そういう著者が新書1冊で何を語るのか。そのあたりが興味の中心でした。一読したあとの感想では、大したことはなかったかなといった感じでした。
もちろん、将棋の対局についていえば、棋士は集中して読むことに優れていると思います。一つの局面を見ながら何時間も考えられるというのはものすごい集中力です。しかし、それは将棋のある局面を前にして、その後の展開を予測しながら考えるわけで、そういう面で優れているからといって、他の面でもそうだとはいえないし、他の面ではまた別の知識なり考え方なりなんなりが必要とされるものでしょう。
つまり、「長考力」というようなとらえ方(このタイトルは編集者が付けたものではないかと思いますが)がそもそも成り立たないのではないかと思います。
著者の将棋観などの面では興味深いことがいろいろ書いてあるのですが、それは「長考力」で指し示されるものとはずいぶん異なるものだと思います。
オーツは、この本を読んで、半分失望しながら、半分おもしろいと思いました。
将棋を知らない人が読んだら、全然おもしろくないと思うでしょう、たぶん。
2018年12月10日
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