オーツが読んだ本です。小説です。オーツは普段小説の類(フィクション)を読むことはないのですが、著者・橋本長道氏の『奨励会』
2018.9.15 http://o-tsu.seesaa.net/article/461668978.html
という本を読んだときに、著者が奨励会を辞めた後に小説家になっていて、新人賞などを取っていることを知りました。そこで、そういう小説がどんなものか、ちょっと読んでみたくなったのでした。
確かに迫力がありました。
護池・レメディオス・サラという金髪碧眼の日系ブラジル人が主人公です。
サラが将棋を覚え、女流名人を破るまでを描いているのですが、単純に時系列で記述するのでなく、いくつかの時代を往復しながら記述していきます。女流名人との対局が現在とすれば、その合間に過去の回想シーンが挟み込まれるというべきでしょうか。なかなか巧みな描写です。
何といっても、著者に将棋界および将棋に対する深い造詣があるので、描き方が緻密です。登場人物は全て架空の人物で、名前も仮名なのですが、それはそれとして、まるでそんな人物が将棋界に実在するかのように、生き生きと描かれます。登場する人物たちの子供のころの心理というか気持ちの持ちようなどもうまく描かれています。それを見るプロ棋士の目などももっともらしいと思われます。
単行本の表紙には、サラの絵というか写真が掲載されていますが、このモデルさんは誰なのでしょうか。いかにもサラらしいと感じさせます。
今は、文庫化され、表紙は完全な「絵」になっていますが、こちらはやや安っぽく感じます。
Amazon では文庫しか出てこないので、以下にはそれを貼り付けておきます。
2018年10月10日
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