2018年09月15日

橋本長道(2018.6.28)『奨励会』マイナビ出版

 オーツが読んだ本です。「将棋プロ棋士への細い道」という副題が付いています。
 奨励会がどういうところか、きちんと描いています。奨励会というのはプロ棋士の養成機関ですが、著者は実際に4年間在籍し、退会したとのことで、奨励会の現実が描かれています。
 オーツがおもしろいと思ったのは、第1章「棋士のコストパフォーマンス」です。獲得賞金額から見ると、将棋の棋士は大した金額ではありません。CMや講演料などが入ればだいぶ変わってくるのでしょうが、そういうことが可能なのはほんの一握りの棋士だけです。プロになるまでの膨大な努力を考えると、コストパフォーマンスは悪いと思います。
 今後の将棋界についても、決して明るくないという著者の意見にはうなずけるものがあります。
 以下の4点を挙げていますが、まったく同意です。
・AIに敗北したことで人々が将棋という競技に興味を失う。
・新聞社の衰退によってスポンサーがいなくなってしまう。
・世界的なゲーム間競争において将棋が敗北する。
・娯楽の多様化によって将棋がかえりみられなくなる。
 どれもが深刻な問題だと思われます。オーツの感覚では「新聞社の衰退」が一番深刻なように思います。一つのタイトル戦を維持するために、新聞社は相当な資金をつぎ込んでいると思いますが、新聞の読者が減りつつある現在、さらに減少する未来において、それだけの資金が出てこないということになりかねません。
 第2章から第3章が記述の中心ですが、こういう(奨励会の)実態を知ると、将棋のプロ棋士を目指すというのは、よほどの才能のある人に限定されるべきだと思います。中途半端な将棋好きが考えるべきことではありません。まあ、オーツの周りで将棋のプロになろうとする人はいないわけですが。
 全体として、将棋界の実態を知るためにはとてもよい1冊だと思いました。


posted by オーツ at 04:58| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。