2018年06月03日

頻度

 とあるところで、「頻度」ということばを見かけました。
 「生起頻度」という複合語でしたが、頻度(回数)の生データではなく、パーセンテージに直してある数値でした。オーツは、こういうものならば「生起比率」のほうが望ましいのではないかと思いました。
 その方は、国語辞典を示し、

> ひん-ど 【頻度】
> (1)ある事の繰り返される度合。「出現する―が高い」
> (2)統計学で,度数のこと。頻数。

という説明から、オーツは(2)の意味(だけ)を考えているが、自分は(1)の意味で使っているという話でした。
 オーツは驚きました。自分では、比率の意味で「頻度」という言い方をすることはまったくないと思っていました。頻度=度数 と考えていました。
 その方は、「度」が「完成度」のような語では程度を表し、「2度」「3度」では回数を表すので、理屈のうえではどちらの解釈もあり得るということでした。「高度」は「高さの度合い」、「純度」は「純粋の度合い」だから、「頻度」は「頻繁の度合い」と考えるほうが自然な発想のようだというわけです。
 学研の国語大辞典で「頻度」を引くと、以下のような記述でした。
〔ものごとが〕くりかえして起こる度合い。出現度。フリクエンシー。「頻度が高い」 用例:タイプライターの文字盤が、使用漢字の頻度に応じて適当に配列されているかどうか…〈四三・四・九・毎日夕〉

 語釈の中に「度合い」が出てきますので、比率を頻度といってもいいように思えます。
 学研漢和大字典の「頻度」を引くと、以下のような記述がありました。
《日本語での特別な意味》物ごとがくり返しておこる度合い。出現度。

 国語大辞典と同様の語釈ですが、初めにある《日本語での特別な意味》という注記が気になりました。もともとの中国語にはこのような意味がなく、日本語の中でこういう意味が発生したということを物語っているようです。
 ちょっと若い人が集まる場があったので、オーツは「頻度」の意味を聞いてみました。度数、回数という意味だけの人と、それに加えて程度、比率という意味もある人と、手を挙げてもらったところ、半々でした。決着が付きません。
 頻度は frequency の訳語でもあるわけです。frequency の意味を小学館の「プログレッシブ英和中辞典(第4版)」で見てみると、四つの意味に小区分され、以下のような記述がありました。
1 [U](…が)しばしば起こること, (…の)頻発((of ...)) the frequency of earthquakes [crimes]地震[犯罪]の頻発 with increasing frequency ますますひんぱんに.
2 頻度, 度数, 回数;脈拍数.
3 [U][C]《物理学》頻度;振動数;(電波などの)周波数(記号:F) high [low] frequency 高[低]周波.
4 《数学》度数;《統計学》頻度, 度数.

 1 は頻度とは無関係ですが、2,3,4 には「頻度」が出てきます。どれも度数とか回数のような意味であり、比率の意味はないようです。
 オーツの「頻度」に関する感覚は、数学ないし統計学に親しんでいるためというよりは、「frequency=頻度」という考え方あたりから来ているように思いました。

 この問題は、もう少しデータを集めて考えてみたいところです。
2018.6.6 追記
 98 さんからのコメントを受け、smoking frequency について別の記事を書きました。
http://o-tsu.seesaa.net/article/459826392.html
よろしければご参照ください。

2018.6.7 追記
 さらに、「頻度」がどういう意味で使われているかを調べてみました。
 その結果を
http://o-tsu.seesaa.net/article/459847080.html
に書きました。
 よろしければご参照ください。
ラベル:頻度 frequency
posted by オーツ at 03:02| Comment(5) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Google Ngram Viewerではワイルドカードを使えるのですが、例えば“the frequency is very *”を指定して調べると次のようになります。

https://books.google.com/ngrams/graph?content=the+frequency+is+very+*&year_start=1800&year_end=2000&corpus=15&smoothing=3&share=&direct_url=t2%3B%2Cthe%20frequency%20is%20very%20%2A%3B%2Cc0%3B%2Cs0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20high%3B%2Cc0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20low%3B%2Cc0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20great%3B%2Cc0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20small%3B%2Cc0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20much%3B%2Cc0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20close%3B%2Cc0%3B%3Bthe%20frequency%20is%20very%20large%3B%2Cc0

この図の限りではhigh, lowがlarge, small, greatよりもはるかに多いようです。検索条件によっては違う感じの結果になりますが、やはり英語のfrequencyも日本語と大差なく回数と程度・比率の両方を表せるのではないでしょうか?
Posted by 98 at 2018年06月03日 10:50
98 様
 重要なコメントをありがとうございます。
 英語の frequency がどういう意味かは、また別の話題になりそうです。
 共起する形容詞で意味がわかるという見方はおもしろいと思いましたが、オーツとしては、この根拠だけで frequency の意味を適切にとらえることはできないように思いました。
Posted by オーツ at 2018年06月04日 03:02
確かにNgram Viewerの図は語の用法の複雑な現実の一面的な反映ですので、単なる参考情報の1つにとどまりますね。

ただ、やはり英語でfrequencyを比率としての頻度の意味に使っている例も簡単に見つけられますので、少なくともそのようは用法があることは間違いないのではないかと思います。

Although there has been a dramatic fall in the number of smokers in the United States, the smoking 【frequency】 today is still 23 percent for men and 19 percent for women. Education correlates inversely with smoking.
(Kelly Traver, Betty Kelly Sargent "The Healthiest You: Take Charge of Your Brain to Take Charge of Your Life", 2011)
Posted by 98 at 2018年06月04日 07:21
98 様
 再度のコメント、ありがとうございます。
 なるほど、この frequency の用法には驚きました。オーツとしては ratio というべきところのように思います。
Posted by オーツ at 2018年06月05日 03:48
きのう朝急いで書いてお送りした英語の用例は確かに私の「頻度」の語感にも合いません…。「男性の喫煙率」ですね。

私にとっての「頻度」はやはり比率としての回数のイメージです。次の本では“drinking frequency”を“1月に酒を飲んだ日の数”と定義しており、これは私の「頻度」の語感の通りです。

https://books.google.co.jp/books?id=zDuJsGzqk5MC&pg=PA192&lpg=PA192&dq=%22drinking+frequency%22&source=bl&ots=C7dM_7FoPB&sig=_a9Ir06ZpaT7XICGNWhVrMCW478&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwi-tbePj7zbAhWGvbwKHf15DJAQ6AEI6AEwHw#v=onepage&q=%22drinking%20frequency%22&f=false
Posted by 98 at 2018年06月05日 17:48
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