オーツが読んだ本です。「脱北者の手記から読み解く実相」という副題が付いています。
ハードカバーで、450ページもある大作です。オーツは図書館から借りて読みましたが、3週間ほど読んでも、300ページまでしか読み終わらず、本を返すことになってしまいました。小さめの活字でもあり、読むのになかなか骨が折れました。
しかし、2/3を読んだので、ほぼどういう内容かはわかったように思います。
副題が本書の中身を表しています。
著者は文化人類学者で、韓国の珍島でのフィールドワークなどに携わってきた方です。ハングルが読めます。そこで、脱北者にインタビューするとともに、彼らにさまざまな手記を書いてもらい、それを読んで北朝鮮の普通の人々の生活がどんなものであるのかを描いていきます。本書中の手記には番号が付いていて、99本もあります。住宅の間取りなどの図も出てきて、記述は具体的で、北朝鮮の人々がかなり大変な苦労をしていることがうかがわれます。
北朝鮮では、軍隊およびその上にいる独裁者が国家の運営を行っており、結果的に国が人々のくらしをすべて決めてしまうことになります。どこに住むか、どんな仕事をするかもすべて国が決めたとおりにしなければなりません。移動(旅行)の自由もありません。オーツは、とてもじゃないけれど息苦しくてこんな国には住めないし、住もうとも思いませんけれど、現にそういう状況の中で生活している人々がいるというのも現実なわけです。オーツが何かできるとも思えませんが、少なくとも、本書のような「窓」を通して、異常な国家・北朝鮮に生きている人々に関心を持っていたいと思います。
参考記事:(インタビュー)北朝鮮、人々の生活は 文化人類学者・伊藤亜人さん
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13337925.html
2018年1月31日05時00分
2018.2.4 追記
図書館に本を返す直前に、ちょっと時間に余裕ができ、一応一通り読み終えることができました。
丁寧に書かれた良書だと思いました。
2018年02月03日
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