2017年11月26日

フリーター経験者の4割が大学卒・大学院卒

 オーツは日経新聞の記事を読んで、ちょっと不思議に思いました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23866990U7A121C1CR8000/
(2017/11/24 20:00)
20代後半のフリーター経験者の4割が大卒・大学院修了者であることが、労働政策研究・研修機構(東京・練馬)の2016年の調査で分かった。

 この記事にはグラフまで付いています。
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO2387645024112017CR8001&dc=1&ng=DGXMZO23866990U7A121C1CR8000&z=20171124
 そこには「フリーター経験者は高学歴化している」と書いてあります。
 このグラフから、本当にそんなことがいえるのでしょうか。オーツにはよくわかりませんでした。
 グラフの読み取り方の問題ですので、よく考える必要があります。
 このグラフは2001年から2016年までの各調査で、回答者のうちのフリーター経験者数を100%とした場合の学歴別比率を示しているようです。
 オーツの疑問点を以下に示しておきます。

(1)そもそもフリーター数が2001年から2016年まで減っているかもしれない。
 「フリーター」の定義にもよりますが、最近、雇用情勢が改善し、人手不足が伝えられています。非正規職だったり、任期付きだったりするとはいえ、若い人はそれなりの(フリーターでない)職を得る傾向にあるのではないでしょうか。
 もしも、フリーター数が減っているとすると、比率で見て高学歴者の割合が増えているとしても、実数としては減っているということがあり得ます。そういうとき、「フリーター経験者は高学歴化している」と言っていいのでしょうか。

(2)世の中が高学歴化している影響はどれくらいあるのか。
 最近15年間では、高学歴化の変化はさほど大きくはなさそうに思いますが、(文科省の統計でも調べれば明らかですが)それにしても、若干の高学歴化の傾向があるように思います。若い人が全体として高学歴化してくると、フリーター経験者の中の学歴別比率を見ても、おのずと高学歴化してきます。このグラフの全部が「世の中の高学歴化」で説明できるとはいえませんが、少なくとも、その影響を除外して見ていかないと(単純なグラフ化では)変化を見誤る可能性があります。

(3)フリーター経験者の比率を求めて意味があるか。
 この調査では「フリーター経験者」を調べているようですが、ということは、おそらく、全回答者に対して「あなたはフリーターの経験がありますか」と質問し、「はい」と回答した人を取り出して学歴別の集計をしているように思えます。「経験者」は過去に一度でも経験すれば経験者になりますから、年齢とともに経験者率は上がっていきます。ただし、2001年から2016年までの調査では、25歳から29歳の(同じ年齢層の)若者を比べているので、年齢の影響はなさそうです。
 しかし、一方では、高学歴の若者は、フリーターを経験するものの、その後何らかの形での就職をするのに対し、低学歴の若者は、フリーターをずっと続けるというようなことはないのでしょうか。そんなことがあると、フリーター経験者の中には高学歴者が多いという結果になります。
 こういう調査では、「経験の有無」を尋ねて、比率を求めるやり方はよくないと思います。「今、フリーターですか」と尋ねて、「現在のフリーターの比率」を求め、学歴別に比較する方がフリーターの実態が正確に出ます。

(4)1256人とは、いったいどういう人か
 調査概要は、以下のように書かれています。
東京都に住む25〜34歳の男女8千人を住民基本台帳から無作為に抽出し、16年8〜10月に郵送などで調査。過去3回分の調査対象だった25〜29歳の回答(1256人分)について分析した。

 8千人を調査したように読めますが、こういう郵送調査では回答率が2割くらいかもしれません。よくても3割程度でしょう。
 25〜34歳を調査して25〜29歳の分を集計したので、全回答者の若い方の約半分を集計しているように読めます。すると、8千人のうちの回答者(2割〜3割)1,600-2,400 人の半分ということで 800-1,200 人ということになります。1256人というのは、たぶん、回答率が3割だったということになりそうです。それでつじつまが合います。
 もしも、1256人がフリーター経験者数だとすると、全回答者数はそれよりも多くなり、調査の回答率が3割をはるかに超える数になってきます。東京の若者を対象にした調査で、そんなことは普通には不可能です。
 さて、1256人が回答者総数だとすると、その中の「フリーター経験者数」は、一体何人なのでしょうか。それは書かれていません。もしかしてかなり少ない可能性はないのでしょうか。
 かなり少ないとすると、そもそも比率を求めて大丈夫かという心配が出てきます。

 というわけで、日経新聞では情報量が足りなくて、うまく読み取れないということになってきます。
posted by オーツ at 05:09| Comment(0) | ニュース時評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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