オーツが読んだ本です。「韓国の「国史」教科書を書き換えよ」という副題が付いています。
韓国で教えられ、一般に正しいとされる歴史がいかに事実から離れているかを論じた本です。
重要なことは、この本は韓国で(ハングルで)先に出版され、それが日本語に翻訳されたということです。つまり、もともと韓国人読者に向けて書かれたものであるということです。韓国の歴史に関する事実誤認など、修正するべき点があまりにもたくさんあるので、それを一通り論じてみよう、つまり韓国の正しい歴史とは何かを韓国人に語ったものだということです。
第1部は序論のような内容です。
日本との関係で興味深いのは第2部でしょう。李氏朝鮮から滅んでから日本が敗戦するまでを扱っています。その目次をかかげると、以下の通りです。(1と2は第1部に含まれています。)
3 李朝はなぜ滅んだのか
4 「植民地収奪論」批判
5 植民地近代化論の正しき理解
6 協力者たち
7 日本軍慰安婦問題の実相
8 あの日、私はなぜあのように言ったのか
8章は、そのタイトルだけからは何を議論しているのか、わかりかねますが、慰安婦問題を扱っています。
このように、目次を見るだけでも、韓国内ではタブーとされるような話(見方)が次々と出てきます。まじめに資料に基づいて議論すれば、自ずとこんなことになるものでしょう。こういう話が韓国で一般化しないことがまさに問題なのですが、今となっては、韓国はどうしようもないのかもしれません。
何はともあれ、韓国内にも、客観的に史実を見ようとする研究者が現れていることを知ることができて、視野が広がりました。韓国人というと、すぐに主観的・感情的にものごとをとらえ、大声で自己主張するような印象ができあがってしまいましたが、そうでない冷静な判断ができる人がまだまだいるのです。
本書で語られる話の内容は、日本人から見れば特にどうということのない議論ですが、韓国人にしてみたら、自分が教わってきた「真実」と全然異なることであり、読んだ人はショックを受けるのかもしれません。
しかし、韓国にも「言論の自由」があるのですから(日本と違ってかなり制約が強いようではありますが)、韓国人もこういう内容も読むべきだし、その上で、もしも本書の記述が間違っているなら、具体的にどこが間違いなのか、事実を指摘するべきです。そういうことが保証されているということが言論の自由なのです。
第3部は、「くに作り」ということで、1945年以降の韓国の建国や朝鮮戦争などの話です。韓国人には避けて通れない重要なテーマでしょうが、日本人からすると、あまり関心がないテーマのように思います。
オーツは、韓国で教えられている「歴史」がどういうものか、知りたい気分になりました。まあ、知ったからといって何かが変わるわけでもないのですが、少なくとも、韓国人のおかしな議論について、理解する一助になりそうな気がしました。
参考記事:
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48443
2017年02月10日
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