オーツが読んだ本です。分類から言えば、小説に該当するでしょう。フィクションです。
あらすじは、ビルの売却で10億円の利益を出した人が、法人税を払わずに済ませるために、香港の会社を利用して脱税します。そして、その悪事を国税局のメンバーらが暴いていくわけです。こんなこともするのかというようなリアルな税務調査の実態が描かれています。
税務署などとちがって、国税局課税部資料調査課は、実地調査を行うわけですが、すでにクロと目される案件を扱うとのことですから、訪問先にはたいていアポなしで行くとのことです。
著者の佐藤氏は、元東京国税局の人です。関係者が使う隠語があちこちに出てきて、いかにもそれらしい雰囲気が醸し出されます。たとえばタマリというのは、脱税したあとに隠されて保管されている資金のことです。
税務調査はこんな考え方で行うのかというあたり、オーツにとって新しい知識でした。たとえば、担当者ごとに金額上のノルマがあり、したがって脱税額(の見込み)が大きいものから順に調査対象になるとかいうことです。
本書は 300 ページ以上の分量がありますが、会話のところは改行が多かったりしますので、そんなに長時間はかからずに読み終えることができました。
そういえば、オーツは、税務署に呼び出されたことがありますが、もう30年も前の話です。オーツが保管していた領収書などを税務署に持参して、確定申告の内容と突き合わされたりしました。もちろん、正確な申告を心がけていますので、まったく問題はなく、すぐに帰ることができたのですが、そういう零細な個人の税務調査をするよりも、この本で出てくるような、いかにも怪しげな高額の取引を洗っていったほうが追徴できる金額が大きくなるから効率的でしょう。
2016年10月02日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック