2016年06月12日

武藤正敏(2015.5)『日韓対立の真相』悟空出版

 オーツが読んだ本です。
 著者の武藤氏は前・在韓国特命全権大使です。表紙にも背表紙にもそう書かれています。
 とはいえ、内容は個人の考えでまとめられています。
 第1章は「日韓外交最前線〜慰安婦と竹島の攻防」です。日韓間の二つの大問題について論じています。本書の記述によれば、どちらの問題も韓国側に問題がありそうです。オーツの理解もそんなところです。
 それにしても、韓国の日本通の人々が外交部の主流から外されているという話は、日韓関係にけっこう深刻な影を落としそうな気がします。表だった批判などは、それはそれとして主張しあうとしても、裏でさまざまな交渉ルートが確保されているべきですが、それがなくなりつつあるということです。このままでは、タテマエの部分しかなくなって、交渉ごとがうまく回らなくなるように思えます。
 第2章は「韓国人は日本の貢献を知らない」です。こういうことは、一見、あまり重要なことではないように見えますが、そうではありません。相互理解を進める上で、けっこう根深い潮流としてうごめいているものです。こういう話がきちんと韓国内で伝わるようになっていないといけません。本書の指摘は重要です。
 第3章は「歴代大統領「反日」の系譜」です。大統領ごとに、どんな人だったかを記述しています。韓国の場合は大統領がリーダーシップを取れるような体制なので、当然、各大統領の考え方や日本への態度などを見ておくべきところです。日韓間の公式の(表側の)姿も大事ですが、裏側のようすも垣間見えて、興味深く読みました。
 第4章は「韓流カルチャーと韓国人の素顔」です。一種の比較文化論のような記述です。こういう民間交流も「裏側」の一種であり、欠くことはできません。
 本書を一読して、記述はかなり中立的な立場から書かれていると感じました。韓国にいうべきはきちんというという態度が随所に見えます。一方では、日本側にも問題点があるという面があります。日韓両国の中にはさまざまな意見があり、相互の対立があります。こういうことを乗り越えて友好関係を築いていくということを考えると、なかなか大変なことだと思わざるを得ません。

 武藤氏は、「はじめに」で「私は本書をむしろ韓国の方々に読んでいただきたいと考えています。」と述べています。韓国語訳が出版されることを望みます。もっとも、この程度のものでも韓国では出版禁止になってしまうかもしれません。そんな心配をさせるのが現状でしょう。


posted by オーツ at 03:38| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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