2016年05月14日

本田由紀,内藤朝雄,後藤和智(2006.1)『「ニート」って言うな!』(光文社新書)光文社

 オーツが読んだ本です。
 まだ出版されて間もないと思っていましたが、もう10年も経ってしまったのですね。光陰矢のごとしです。
 本書はニート問題を扱っています。
 第1部「「現実――「ニート」論という奇妙な幻影」は本田由紀氏の執筆です。「ニート」と命名することで、本来いろいろな区切り方がある集団を「ニート」かそうでないかという区切り方をしてしまいます。それが問題だという議論です。さまざまなデータを示しつつ、それに基づいた議論を展開しているので、説得力があります。
 第2部「「構造」――社会の憎悪のメカニズム」は内藤朝雄氏の執筆です。ニートに関連する特殊な事件(ニートが起こした殺人事件など)をマス・メディアが取り上げて論評することで、ニート全体が見えなくなっている問題点を指摘します。書いてある内容には賛成ですが、議論が冗長で、データがあまり示されないこともあって、オーツはこういう書き方が好きではありません。
 第3部「「言説」――「ニート」論を検証する」は後藤和智氏の執筆です。2005年ころの新聞や雑誌を丹念に集め、ニート論がどのように展開されてきたかを探ります。力作だと思います。参考文献が充実しています。ほんの数年でこんなにもたくさんの本や雑誌がニートを取り上げていたというのは驚きです。とはいえ、それから10年も経つと、元の出典に戻ってこれらの論説を読もうという気は起こらなくなります。
 本書全体を通して、「ニート」と呼ぶこと自体の問題というのを意識しました。本書を読んだ後では気楽に「ニート」といえなくなったような気がします。まあ、そういえなくても、問題が解決できたわけではないのですから、何も進展がない状態であることは変わらないわけですが。
 何はともあれ、「ニート」に関わる人は、本書に示されたような考え方もあるのだと意識することが重要なのでしょう。
 読後感としては、ずっしりと重いものを感じました。


posted by オーツ at 04:41| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック