2014年04月21日

女性が消える社会

 オーツがNHKのテレビニュースを見ようとして、ふと目に入ったのが「女性が消える社会」
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2014/04/0406.html
でした。上記のネット記事でほぼテレビ放送の内容全体をカバーしていると思われます。
 地方都市で若い女性がいなくなっているという衝撃の事実でした。日本では、少子高齢化や人口減少が今のトレンドですから、この方向を変えることはかなりむずかしいことだろうと思います。しかし、今回の話は、それと結びつきつつ、若干違う角度から社会の変動を見ていました。
 地方では若い女性ができる仕事自体がなくて、就職できない一方で、東京では受け皿(働き口)があり、結果的に東京で働く若い女性が増えており、地方出身の若い女性が故郷に戻ることがないという指摘でした。
 この話だけでは、ちょっと情報不足を感じます。オーツは、以下のような疑問がわいてきました。
(1)なぜ地方で女性が消えていくのか、なぜ男性は消えないのか
(2)(地方出身の)若い男性が東京にとどまる傾向があるのか、ないのか
 今回の話は、地方−東京、男性−女性の二つの対比軸がからんでいます。
 実際には中高年層と若年層という対比や、昔と今という対比もからんでいるのですが、話自体が現代の若年層に焦点を当てているので、これら二つの対比は当面無視してもいいでしょう。
 というわけで、上記の二つの疑問を考えてみると、若い人の就職問題というか、就職構造が関係しているし、それはつまり日本社会が持っている仕組みの反映という面があるように思えてきました。
 (1)地方で男性には働く場があるのに女性にはないということですが、番組で出てきた伊豆市の例では、若い女性がいなくなったと語っているのは商店の店主や市の職員です。なぜ女性がお店を持ったり、市の職員として採用されないのでしょうか。
 これが就職構造の反映のように思えるのです。
 大学出たての若い人が就職しようとすると、今でもけっこう男女差別的な仕組みが垣間見えることがありそうです。たとえば、伊豆市の職員の募集があったとして、大学生の男女が同数ずつ応募したとしましょうか。大学生の男女比でいえば、ほぼ男女半々ですから、応募するのもそんなものでしょう。そして採用されるのはどうかといえば、結果的に男性が多くなり女性が少なくなります。これは伊豆市だけではなくて、あちこちの市区町村、多くの民間企業でその傾向が見えます。採用する側の論理では、男女の能力が同じであれば男性を採用するような傾向があるのではないでしょうか。それは、今後数十年の勤務状況を考えてみれば、女性は子育てなどで能力を発揮できない時期があり、中には途中で退職するケースもかなりあるのに、男性にはそんなことがなく、ずっと働いてもらえることが期待できるというようなことです。こんなことはおおやけに語られることではないし、おおやけに語ったらそれこそ男女差別だと社会的に糾弾されそうですが、現実の大学生の男女比と会社員や公務員の男女比を見れば、男女差別的な仕組みが働いていると考えざるを得ません。
 この問題は、働く人数(の男女比)だけでなく、男女別の賃金にも現れます。女性の方が給料が安いということです。個々の企業や地方公共団体の社員・職員の待遇として、男女で別になっていることはないのですが、社会全体としてみると、女性のほうが得ている所得が少なくなっています。
 そして、このようなことから、男が上、女が下という意識や就職構造があるとすれば、不況が続き、仕事がなくなっていく日本では、下の人ほど仕事からあぶれてしまうのです。まさに女性が働けないという構造です。
 (2)(地方出身の)若い男性が東京にとどまる傾向があるのかということも見ておく必要があります。
 東京で女性が働けるというなら、男性だって働けるはずです。若い男性が東京にとどまるならば、男女とも東京にとどまることになり、地方で若い女性(だけ)が消えるということにはならないはずです。
 もちろん、企業が集中し、人口も集中する東京では、働き口がたくさんあり、ちゃんとした働き口もある一方、下積み的な働き口もあります。
 大企業と中小企業の「格差」は、いろいろなところで語られますが、まあ一般的にいって大企業で働く方が有利でしょう。(公務員の場合は、企業規模と関係ないので、別のラインになります。)だから、大企業に就職しようと大変な競争になります。ある意味で、大企業にあぶれた人が中小企業を目指すことになります。就職活動の時期もそのようになっていて、大企業の内定は早く出て、中小企業の内定は後になります。大企業は都会、中でも東京に集中していて、地方はどちらかというと中小企業が多くなります。
 男性が、いろいろ就職活動をして自分の働き口を探すと、大企業から中小企業までいろいろなところに就職することになります。自分で、東京にとどまろうと考えるまでもなく、大企業に入社すると、結果的に東京にとどまるケースが多くなります。(中には地方支店に転勤ということもあるでしょうが、そういうケースは少ないでしょう。)しかし、中小企業に入社すると、東京に勤務する場合もありますが、地方に勤務することもあります。地方に中小企業が多いという社会構造がそうさせます。結果的に、男性は東京にとどまることもあるけれど、地方に行く場合もあり、適当に(自分のふさわしいところに)分布します。
 一方、女性は、就職しにくい傾向があり、東京の大企業に入る例が少なく(男性がポストを占めてしまうケースが多く、女性がはみ出してしまいます)、地方の中小企業をねらおうとしても、そこも男性が進出してきていて苦戦します。となると、給料の安いところでもいいので、どこか働き口はないかということになり、シェアハウスに住んでダブルワークで働くということにもなります。
 こんなふうに、日本の大学卒の就職構造がゆがんでいるので、結果的に若い女性が地方に住むことができなくなっているという面があるのではないでしょうか。
 となると、この問題の解決はきわめて困難です。日本社会のあり方がそのような事態を招いているということになっていますから。
 これから、地方の若い男性の未婚率はどんどん上がっていくでしょう。相手がいないのですから当然です。
 それでいいのか。それはまさに地方の都市の課題ということになります。
 そんなことを考えると、日本では、すでに似たような話を経験しています。日本の農村では、若い女性がいなくなり、農家の跡継ぎに嫁が来なくなるという話で、数十年前に深刻な話になりました。(今でも状況は同様でしょう。)それと似た話が地方の中小都市に広がってきたということです。
 いいも悪いもなく、必然的な動きです。
 こうして日本は変わっていくのでしょうね。
posted by オーツ at 05:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース時評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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