2014年04月03日

中村仁一(2012.1)『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書)幻冬舎

 オーツが読んだ本です。「「自然死」のすすめ」という副題が付いています。
 著者は老人ホームの附属診療所の所長を務める医師です。医師が「医療と関わるな」と主張するのは自己矛盾のようにも思いますが、本書を読了すると、そんな矛盾よりも、多くの老人の死を看取ってきた人の意見として納得できるように感じました。
 今の医療は、「やりすぎ」なのです。
 治療は、元のように戻れるときにするべきもので、老人の場合、どうがんばっても元には戻れない状態になるときがあります。老化とはそういうものです。ものが食べられなくなれば、死ぬのが当然です。しかし、医療の現場では、患者を死なせるわけにはいきませんから、たとえば胃瘻とか、点滴などで栄養分を補い、食べることができなくなっても活かし続けることが可能で、実際そうしています。
 では、人はどうなったら死ねるのでしょうか。
 それなりの歳になったら、ムダな治療をせずに、老衰死すればいいのです。がんだって、早期発見・早期治療が有効なのは若いうちであって、それなりの年齢になったら、手術しない、放射線治療を受けない、さらには、そもそもがん検診を受けない(発見してもしかたがないから)という考えに及びます。
 救急車に乗らないことも重要で、一度乗ったら、もうあとは医者にお任せで、いろいろと手を尽くされてしまいます。第2章のタイトル「「できるかぎりの手を尽くす」は「できる限り苦しめる」」は著者のいいたいことをひとことで述べています。
 ムダな延命治療は本人の幸せのためにならないと思いますが、こうして、人間ドックなども受ける必要がないといわれると、ショッキングです。
 でも、十分に生きれば、それ以上はもういいのかもしれません。家族は、なかなかそのような判断はできないと思いますが、本人は可能です。
 結局、自分の死を考えるということはどう生きるかということと直結しています。
 自分はどう生きるべきか、そして死ぬべきか。そんなことを考えさせる有意義な1冊でした。


posted by オーツ at 04:55| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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