年取った男性が妻と死別(ないし離婚)し、一人で生きていくときのさまざまな生活のノウハウをまとめた本です。
食生活、買物、料理からはじまり、病気、お金、住宅、時間の使い方、介護などの話題を扱っています。便利な生活ノウハウ集ということになるでしょう。
とはいえ、書かれている内容は、あまり珍しいものではなく、オーツにとっては常識のようなものでした。
書いてほしい(あるといい)内容としては、子供や孫とのつきあい方、親戚づきあい、葬儀、遺言(財産の処分)、デイサービス、お墓の管理(お寺とのつきあい)などがありました。これらは、オーツがほしがっていた内容という意味です。これらは、まあ、人によって大きく異なることが考えられるので、「本」の形でまとめて書くわけにもいかないのでしょうが、だったら、どう考えて誰にどのように相談するべきかくらいは書けるのではないでしょうか。
けっこう有意義そうだと思ったのは、各章の終わりに各種 URL が載せてあるところです。こういう情報は重要だと思います。検索エンジンで調べるのでは玉石混淆になりますから、信頼できるサイトを少ない数だけ紹介して、あとは自分で勝手にどうぞというスタンスが望ましいように思います。
著者は 1949 年生まれですから、執筆時は60歳くらいだったでしょうか。これでは、ホントの老後の生活を語るには若すぎると思います。ノンフィクションライターとしては、自分が現実的に向き合わなくても、何でも書かなくてはならないでしょうが、やはり、経験者がその経験を通して会得したことを書いてもらいたいものだと感じました。
どうも、著者の発想や視野が、独居老人というよりは、やや若い人を念頭に置いているように感じられるのです。
ラベル:中澤まゆみ