2012年07月09日

久繁哲之介(2010.7)『地域再生の罠』(ちくま新書)筑摩書房

 オーツが読んだ本です。「なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」という副題が付いています。
 地域社会はどのようにすれば再生できるのかを正面から論じた本です。
 最近、地方の都市では、中心部でもシャッター商店街になっているところがたくさんあります。あるいは、店を畳んだ後が駐車場になっている例もまたたくさんあります。そういうのはいかにも町がさびれているようで、景観上も好ましくないだけでなく、実際、さらに客足が遠のいていきます。
 ではどうするか。
 あちこちで行われる「再開発」では、中心部に大きなビルを建てて、商店をテナントとして誘致したりするわけですが、結局は失敗することが多く、せっかく入居した商店が撤退する例が多かったりして、ハコモノ行政では地域再生はむずかしいというのが現実です。
 本書では、そういう地方都市の実例を、実名とともに(写真を添えて)示します。そして、ハコモノを作るようなことでは、土建業者をうるおすだけで、本当の地域再生につながらないことを述べ、新しい提案をしています。
 目次は、以下の通りです。

第1章 大型商業施設への依存が地方を衰退させる
第2章 成功事例の安易な模倣が地方を衰退させる
第3章 間違いだらけの「前提」が地方を衰退させる
第4章 間違いだらけの「地方自治と土建工学」が地方を衰退させる
第5章 「地域再生の罠」を解き明かす
第6章 市民と地域が豊かになる「7つのビジョン」
第7章 食のB級グルメ化・ブランド化をスローフードに進化させる(提言@)
第8章 街中の低未利用地に交流を促すスポーツクラブを創る(提言A)
第9章 公的支援は交流を促す公益空間に集中する(提言B)

 こうして目次を見てみるだけで、本書の内容がうかがわれます。
 最後には三つの提案がなされますが、いわれてみると、もっともだと感じる場合が多く、これからの地域再生を考える際には本書は有用な提言の一つになるでしょう。
 日本はこれから少子高齢化社会になっていきます。今までもその傾向がありましたが、さらに強くなります。そういう中で、暮らしやすい地域社会を作っていくためにはどうしたらいいかを考えるヒントが詰まっている好著だと思います。


posted by オーツ at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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