2012年06月27日

海老原嗣生(2009.12)『学歴の耐えられない軽さ』朝日新聞出版

 オーツが読んだ本です。「やばくないか、その大学、その会社、その常識」という副題が付いています。
 著者は人材マネジメント、経営マネジメントなどが専門のようです。簡単に言うと、転職アドバイザーでしょうか。(もしかして間違っていたらごめんなさい。)
 第1章「学歴のインフレーション」では、大学の入試の仕組みが変わってきていて、有名校でさえも学力試験なしで入学できるようになってきている現状を述べます。これが、つまり、学歴のインフレーションです。
 推薦入試やAO入試、さらには一芸入試まで、さまざまな入学制度が設けられており、この結果、学力試験を通過して入学する学生が少なくなっています。早慶などの有名校でさえもそうなっているならば、下位校はいよいよ勉強しない(できない)学生がたくさんいることになります。
 pp.39-50 では、大学が入試科目をいじることで偏差値を上げたりする戦略についても書いてあり、オーツはこんなことも気がついていませんでしたので、「なるほど」ということで読みました。
 p.72 から「大学を「補習の府に」」という提案をしていますが、そんなことで大学が変わるとも思えません。ずっと根深い問題があります。
 第2章「人気企業が危ない」では、就職事情について述べます。大卒者が大量に人気企業を目指すのではダメだということを述べます。企業も、数十年単位で見てみると、紆余曲折がありますし、産業構造の転換などもあるでしょうから、大学卒業時点で人気がある企業であっても、それが40年後(その人の定年ころ)までそうであり続けるということはないように思います。
 大学生の就職活動を考える上で、大いに参考になります。
 第3章「若者はけっこうカワイソウじゃない」では、若者の転職事情を述べています。結論からいうと、大学を卒業する時点では、どこでもいいからまずは中小企業などに就職し、それから20代で巡ってくる転職のチャンスを活かして別の企業に転職することをすすめています。
 pp.132-134 では、若者の転職状況を示すデータを挙げています。昔から若者の転職は多かったのですね。
 第3章の議論は、けっこう本質をついていると思いました。
 本書は、3部構成ですが、第1部は大学論で、著者の専門とちょっと違っており、あくまでビジネス界の人が大学を見たときの見方にすぎません。しかし、第2部、第3部はまさに著者の専門とするところで、論述が非常におもしろいと思いました。読むならここでしょう。


posted by オーツ at 05:20| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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