2012年06月05日

てんぷら

 学研国語大辞典の「てんぷら」のところには、以下のような記述があります。
 「魚介類に、小麦粉を冷水でといたころもをつけ、油で揚げた食べ物。天つゆをつけて食べる。日本特有の料理。《参考》ふつう、野菜類の揚げ物は「精進揚げ」とよんで区別する。」
 オーツの語感とだいぶ違います。オーツは「てんぷら」ということで、魚介類も野菜もさします。「精進揚げ」は野菜だけをさすので、精進揚げが下位語、てんぷらが上位語で上位下位関係が成り立ちます。
 しかし、学研国語大辞典によれば、両者は上位下位関係にはなく、いわば同位関係にあることになります。上位語は「揚げ物」でしょうか。そして同位語(共下位語)として「フライ、竜田揚げ、とんかつ、……」などが位置するのでしょうか。
 さて、「てんぷら」とは何でしょうか。気になってちょっと調べてみました。
 広辞苑第5版を引くと、次のようにありました。「魚介類や野菜などに小麦粉を水でといたころもを着けて油で揚げた料理。」オーツの語感と一致します。
 大辞林第2版では、以下の通りです。「魚・貝・肉・野菜などに、小麦粉を水で溶いたころもをつけて油で揚げた料理。江戸中期以降に普及した。」
 明鏡国語辞典では「魚介・野菜などに小麦粉を水で溶いた衣をつけ、植物油で揚げた料理。野菜類を揚げたものは「精進揚げ」と呼んで区別することがある。」と書いてあります。
 大辞泉では「魚・貝・野菜などに小麦粉を卵・水で溶いた衣をつけ、植物油で揚げた日本料理。野菜類のものを精進揚げといって区別することもある。」ということです。
 wikipedia では、「元々は魚介類をタネとした物のみを天麩羅と呼び、野菜をタネとした物は「精進揚げ」(しょうじんあげ、しょうじあげ)と呼び区別された。現在は、それら精進揚げも含めた総称として「天ぷら」という名称が使われることが多い。」「江戸時代に入ると、江戸では魚介類を原材料としたもののみを「天ぷら」と呼ぶようになり、野菜類を揚げたものを精進揚げ(しょうじんあげ、しょうじあげ)として区別するようになる。」と書いてあります。

 時代的に見ると、「てんぷら」の意味が変化しているようです。
 ウェブを日本語コーパスとして検索してみました。
 「てんぷら」に野菜を揚げたものを含めるか、精進揚げと区別して使い分けられているかということです。
 時代的に変化しているとすれば、年齢差があるだろうと思いました。
 そこで、gooブログ検索で、年齢別に検索してみたのですが、結果的には年齢差はないようでした。
 「てんぷら」の用例を500例調べた限りでは、301例が野菜を含んでいました。魚介類を指しているものは57例しかありませんでした。内容から特定できないものが109例でした。他に、肉(7)、チーズ(4)、アイス、饅頭、卵などのてんぷらが話題になっていました。
 というわけで、全年齢層で「てんぷらは野菜を含む」ということになりました。
 この語の意味は、変化が終わった段階にあるのではないかと思われます。「てんぷらは野菜を含まない」という語感は、今の活躍層ではごく一部になってしまっています。
ラベル:てんぷら
posted by オーツ at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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