オーツが日常生活の中でふと使ってしまったことばで「とりはぐる」があります。「とりそこねる」くらいの意味です。
妻が「おかしい」といったので、方言なんだろうと思いました。
「はぐる」は失敗して逃してしまうというような意味です。いろいろな動詞に付きます。
「食べはぐる」:食べようと思っていたのに、食べないままになってしまったということです。理由はいろいろあって、誰かが食べてしまったとか、パーティーの終了時刻になってしまったとか、何でもありです。
他にも「行きはぐる」、「見はぐる」、「読みはぐる」、「乗りはぐる」など、さまざまに使えます。
さて、さっそく WWW で調べてみようと思いました。しかし、これがむずかしいのです。「はぐる」で検索しても、うまく見つかりません。「はぐる」で1語なのですが、共通語には存在しないので、検索エンジンではさまざまな解析がおこなわれてしまいます。典型的には「は」が助詞扱いされます。「ぐる」という俗語的な名詞があります。検索エンジンの限界を感じました。「はぐる」は、複合動詞の後部要素になり、自立用法がないので、やや接尾辞的になっている点でも検索がむずかしいのでしょう。
いろいろ探し回っているうちに、「茨城弁大辞典」の中に
http://www.ibaraking.com/basic/ibarakiben/dic.cgi?mode=frame2&cate=25
【〜はぐる、〜はごる】〜し損なう。〜し忘れる。〜しそうになる。
例)「電車に乗りはぐった」→電車に乗りそこなった
http://www.ibaraking.com/basic/ibarakiben/dic.cgi?mode=frame2&cate=24
【のっぱぐる】乗り損なう。「乗りはぐる」がさらに訛ったもの
という記述を見つけました。
http://hougen.atok.com/ibaraki/db/924
でも、茨城県の方言として取り上げられています。
http://www.mptochigi.com/nasu/totikaiwa2004/totigikaiawa25.htm
は「栃木で聞いたおもしろ会話」ですが、「〜しはぐった。とは、〜そうになったということです。」ということで、「心臓が止まりはぐった」という用例が上がっていますが、オーツの感覚では、こういう言い方はできません。つまり、オーツの使い方は茨城弁と共通で、栃木弁とはちがうということです。
検索エンジンで探すときは、「"取りはぐる"」とか「"乗りはぐった"」などの形で検索するほうがよさそうです。「はぐった」でもかなりうまくいきます。
ともあれ、埼玉県北部出身者としては、茨城県の方言だとわかって、安心しました。(何が安心なんだか、よくわかりませんが、わからないままの宙ぶらりんな状態では、不安なままでしょう?)
2010年03月11日
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とよく言います。
神戸在住で、こちらで、回転すしの店の人に「とりはぐった」と言って、何の意味か分からず、フリーズしていました。
栃木県でも使いそうですね。
「気がつきにくい方言」の一種ですね。
先日、オーツは某ことばの研究会で「〜はぐる」を使って、笑われました。
方言とわかっていて、あえて使ってみたのですが、理解されませんでした。