2010年01月16日

博士たちは大変だ

 DIAMOND ONLINE を読んでいたら、大学院で博士号を取った人の大変さが描かれていました。
http://diamond.jp/series/yuuai/10008/
これは、まさに『高学歴ワーキングプア』
2007.11.5 http://o-tsu.seesaa.net/article/64584540.html
そのものです。
 オーツの回りにも、非常勤講師として食べている人がいますが、もちろんそういう人たちの生活は大変です。個人的に手をさしのべても、それで問題が解決するわけではありません。また新たな別の非常勤講師が生まれてくるだけです。この問題の解決は簡単ではありません。
 近未来の日本の少子化は必然的です。そういう状況の下で、これからの日本の大学の方向性を考えれば、従来型の学生層(高校を卒業した若者)に加えて新しいタイプの学生層(留学生、社会人、高齢者など)を獲得するか、さもなくば、大学の規模を縮小していく(学生募集定員を減らす、廃学部・廃学科する)しかありません。しかし、後者はさまざまな摩擦を産みます。日本の大学がそれに耐えられるとは思えません。したがって、当面は前者を指向するはずです。
 新しい学生層の一種として大学院生が考えられます。つまり、大学院生の増加は大学の将来の生き残り策の一つという面があります。「大学院重点化」などというと、かっこいいですが、その裏には別の暗闇が潜んでいます。
 博士課程修了者が食べていけないというのは、基本的に、大学院生が多すぎるという問題なのです。大学院生の増加は、大学の新しい方向性として取られた方策の一つですが、この結果、大量のワーキングプアを産み出してしまったのです。これについては、誰も責任を取ろうとしません。(実際、責任が取れるものでもありません。)
 このような大学院修了者の問題は、今後の大学のあり方を考える上で、非常に重要な問題になってくるはずですし、すでにそうなっているとも言えます。しかし、当面は解決が困難です。オーツも解決策を持ち合わせていません。本当に優秀な人だけを大学院に入れるようにするというような「対策」は対策になりません。一部の(有名大学の)大学院でどんどん大学院生を増やすような方策をとっているところがありますが、それがその他の(非有名大学の)大学院全体に悪影響を及ぼすわけです。今や大学院間の激しい競争が起きているといっても過言ではありません。
 一面では、これは問題ではないという見方もあります。ワーキングプア的な非常勤講師がたくさんいる状態では、常勤のポストを求めてそういう人たちの競争が起こりますから、たくさんの研究が行われ、結果的に本当に優秀な教員(激烈な競争に勝ち残れる人)が採用できるという点では、大学にメリットがあります。しかし、一部の優秀な人を選び出す過程で、勝ち残れない人が大量に出ているとしたら、そういう人たちの側から見て、何と残酷な仕組みなんだろうと思います。

 日本の社会を見渡すと、30代以下の世代には、非正規雇用の人がたくさんいますが、そういう人たちは大学を卒業するときの(日本社会の経済的な)タイミングが悪かった(バブル経済の崩壊後だった)だけで、正規に就職できなかったのはその人たちの責任ではありません。
 大学院の博士課程修了者もこれらの非正規雇用の人たちと同じです。今というタイミングが悪いのです。もしも、博士課程修了者に対する適当な方策があるならば、それと同じ方策を非正規雇用の人たちにも適用すればいいと思います。あるいは逆に、非正規雇用の人たちに対する適当な方策があるならば、それと同じ方策を博士課程修了者にも適用すればいいのです。オーツは、両方ともに、解決が困難な問題だと意識しています。

 いうまでもなく、高給を受け取っている中高年社員が退職することが非正規雇用の解決策の有力な手段です。それとまったく同じ構図が大学にもあり得ます。中高年教員がさっさと辞めれば、非常勤講師の一部が専任になれます。しかし、そんなことが簡単にできるとは思えません。ここにきわめて深刻な世代対立が存在します。
 世代対立は、見知らぬ他人同士の問題であると同時に、親子などの家族関係でもあります。中高年のクビを切って若者に仕事を与えよと叫ぶことはできても、家庭の中で一家の大黒柱がクビになることをその子供たちが歓迎するとは限りません。
 この問題は解決が困難なので、話題にすらしにくいように感じています。

参考になるサイト:博士の生き方
http://hakasenoikikata.com/

参考になる記事:大学院卒業即プア
http://blog.goo.ne.jp/hkaiho/e/32312ed0cdd313c1e9032d9adb628f74

2010.6.14 追記
 この話に直接関係することを
http://o-tsu.seesaa.net/article/153204613.html
に書きました。
 よろしければご参照ください。
posted by オーツ at 07:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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