2008年12月25日

高校の英語を英語で教える?

 オーツが驚いたニュースです。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081223k0000m040087000c.html
によると、「文部科学省は22日、高校の新学習指導要領案を公表した。英語はコミュニケーション能力重視へ方針転換し、授業を英語で行うことを基本とする。」とあります。
 全国の英語教師の実態を調べずに、こんなことを決めていいのでしょうか。「英語で英語を教える」ことは、意外に難しいことです。
 日本語を日本語で外国人に教えることは行われています。日本語教育の分野では、むしろ、これが普通のことで、ダイレクト・メソッド(直接法)とかいいますが、これは日本人日本語教師が行うものです。十分な母語(日本語)能力がある人が、語彙や文法をコントロールして(むずかしい言い回しを使わないようにして)話すようにするのです。
 母語話者でもむずかしいのに、非母語話者ができるかといえば、ほぼ不可能といわざるを得ません。
 英語の場合だって同じでしょう。
 文科省の案をそのまま受け入れるならば、高校の英語教師は、ネイティブ並みの英語能力がなければなりません。実際は、どうなんでしょうか。
 オーツは、今の高校の英語の先生方を直接は知りませんが、さほど英語能力が高くない人が教えているケースが多いのではないかと推測します。
 オーツが高校生のころ習った英語の先生を振り返ると、一部にはかなりの英語の使い手もいましたが(数日間の合宿中、英語だけで生活するような経験をしました)、一方では、年寄りの先生で、英文を和訳しながら、文法を教える先生もいて、発音もかなりなまっていたような記憶があります。
 もしも、今でも同様だとすると、高校の英語の先生は大量失職になりかねません。でも、そんな大量失職に際して、自分が成り変わって英語教師になろうとする人はどれだけいるのでしょうか。
 また、そんな授業を導入して、高校生が十分ついていけるでしょうか。今の高校生の英語能力は、それこそピンからキリまでいます。ネイティブ並みの人がいる一方では、 this と that の違いがわからないような人もいると聞きます。そんな中で、英語で教えなければならないとなると、英語教師の手に余るのではないでしょうか。
 大学入試はどうなるのでしょうか。どんな出題にすればいいのでしょうか。
 何だか、絵に描いた餅のような話に思えてきました。
 そもそも、英語教育はどこまでやればいいのか、全員が受けるべきなのかなど、教育の基本的な問題とからむ大問題があると思えてきました。そういう全体像なしに英語で英語を教えようという発想が出てくることがおかしいと思います。

 ネットを探すと、いろいろ意見を述べている人がいました。
http://shigemaro.cocolog-nifty.com/kumasan/2008/12/post-8915.html
では、英語教師の受難時代だと述べています。「年配の文法ばかり教えていた先生は多分ノイローゼになるかも。教えられた生徒は英語放棄かもね。」と苦労を予測しています。
http://shinka3.exblog.jp/10410041/
では、「文科省は、自分が監督している全国の小中高校および大学の先生がどのくらいの実力を持っているかを全然ご存じない」と述べています。また、「やりたくもない大多数の生徒を巻き込んで、全員に同じ教育を押しつけようという教育はもうやめたほうがいいです。」としており、文科省解体を叫んでいます。
http://www.excite.co.jp/News/society/20081222/20081223M40.089.html
でも、疑問の声を上げています。
http://blogs.yahoo.co.jp/rodo_montade/47361440.html
は、たぶん、現場の英語教師でしょうが、そもそもこの学習目標が無理な話だと述べています。
http://iiaoki.jugem.jp/?eid=2686
では、どうせ英語を使って仕事をする人は100人に一人くらいだから、英語教育の資源と時間を他の科目に回したらいいのではないかとしています。
 検索エンジンでブログ検索すると、この話に対する大量の意見が読めますが、大変なのでやめておきます。
ラベル:高校 英語 母語
posted by オーツ at 05:47| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース時評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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