2020年09月18日

李栄薫(2019.11.15)『反日種族主義』文藝春秋

 オーツが読んだ本です。「日韓危機の根源」という副題が付いています。
 一読して、大いに納得しました。慰安婦問題をはじめとする日韓関係の諸問題の裏に「反日種族主義」があるという議論です。種族主義(トライバリズム)というのは、民族よりももっと狭い範囲の人々がある考え方に固執して、(それがウソであったとしても)それを強く主張する態度です。事実に基づけば、そういう考え方は問題だとすぐにわかりそうなのに、それには目を閉じて、一方的に自分の主張を繰り返すのみです。それではそれ以外の人々と友好関係を築くことはできません。今の韓国はそのような種族主義にとらわれてしまっています。
 本書は論文集です。さまざまな人がそれぞれの問題について論じています。日韓併合期の文献などを広くあさり、それらの大量の資料に基づいた冷静な議論を展開しています。だから説得力があります。
 本書は韓国語版が先にあり、それを編集して日本語版が作られたとのことです。韓国でこのような本が出版されたということはとてもよいことだと思います。韓国では、編著者たちを単純に「親日派だ」と批判するのでなく、そこに書かれた「事実」が事実なのかどうかを検証し、それから導かれる議論が妥当かどうかを考えるべきです。そのような冷静な議論が何よりも優先されるべきですが、現在の韓国ではそういうことができなくなっているのではないかという危惧があります。
 以下、目次を示し、簡単な内容要約を示します。

プロローグ 嘘の国
 韓国が嘘のはびこる国であることを述べます。国民も、政治も、学問も、裁判も、何もかもです。
第1部 種族主義の記憶
1 荒唐無稽『アリラン』
 『アリラン』は、韓国でよく知られる小説ですが、日韓併合期に警察が即決銃殺するストーリーはあり得ない話です。
2 片手にピストルを、もう片方に測量器を
 「朝鮮土地調査事業」は、腰にピストルを下げた職員が行って、土地の40%を収奪したと教科書に書かれていますがそれは嘘です。ピストルは山の獣に対応するためのものでした。
3 食糧を収奪したって?
 日本が朝鮮半島の米を収奪したというのも嘘で、実は輸出した(つまり金を得た)のでした。
4 日本の植民地支配の方式
 日本は、貨幣統合、法制度の適用などで朝鮮半島を内地と統合しようとしていました。したがって併合の時期に朝鮮人の会社が多数興され、経済が発展したのでした。
5 「強制動員」の神話
 「強制徴用」も虚構です。そんなことはなかったのですが、韓国の教科書にはそう書かれています。
6 果たして「強制労働」「奴隷労働」だったのか?
 内地に働きに行った朝鮮人と日本人では賃金差別はなかったのです。
7 朝鮮人の賃金差別の虚構性
 炭鉱の賃金台帳などの調査結果から朝鮮人と日本人の賃金を比較しています。実に実証的です。
8 陸軍特別志願兵、彼らは誰なのか!
 多数の朝鮮人の若者が志願して皇軍兵士になりました。
9 もともと請求するものなどなかった――請求権協定の真実
 日韓請求権協定がどんなものであったのか、どういう調整が行われたのか、交渉の結果どんなものになったのかを説明しています。
10 厚顔無恥で愚かな韓日会談決死反対
 韓国には請求権交渉に反対する勢力がありました。
第2部 種族主義の象徴と幻想
11 白頭山神話の内幕
 白頭山が朝鮮人の象徴になる過程を描写します。
12 独島、反日種族主義の最高象徴
 独島(竹島)の歴史的経緯を説明します。
13 鉄杭神話の真実
 韓国では、風水の考え方で山に打ち込まれた多数の鉄杭(韓国人の気脈を断絶するもの)を引き抜きました。しかし、それは測量の基準点でしかありませんでした。
14 旧総督府庁舎の解体――大韓民国の歴史を消す
 旧総督府庁舎が金泳三大統領によって解体されましたが、それは、同時に、韓国の歴史を消すものでもありました。
15 親日清算という詐欺劇
 親日清算は反民族主義者の処罰と重ねられて、おかしな話になってしまいました。
16 ネバー・エンディング・ストーリー 「賠償!賠償!賠償!」
 日本に対する請求権は、請求権協定で決着しているのに、その後も盧武鉉政権などが強制動員被害者を支援するということで賠償を求めるようになりました。
17 反日種族主義の神学
 反日種族主義の考え方を歴史学・神学の立場から位置づけます。
第3部 種族主義の牙城、慰安婦
18 我々の中の慰安婦
 慰安婦には、韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦などがいるのに、日本軍慰安婦だけが注目されます。いかにも不均衡です。
19 公娼制の成立と文化
 朝鮮王朝のころからの公娼制を記述しています。
20 日本軍慰安婦問題の真実
 日本軍慰安婦の実態を資料に基づき、記述します。人数や、個人ごとの経緯など、くわしい記述です。
21 解放後の四十余年間、慰安婦問題は存在しなかった
 解放後、ずっと慰安婦問題は存在しなかったのに、吉田清治の嘘の本が出てから問題が発生しました。
22 韓日関係が破綻するまで――挺対協の活動史
 挺対協の態度は日韓関係を壊すことが目的のようです。そういう趣旨で活動してきています。
エピローグ 反日種族主義の報い
 このままでは韓国は亡国の道を歩むだろうとしています。


posted by オーツ at 03:14| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする