2020年08月19日

松本厚治(2019.3.4)『韓国「反日主義」の起源』草思社

 オーツが読んだ本です。
 653 ページもある分厚い本です。注が各章末に100個くらい並んでいて、くわしい出典が明記されています。巻末には、参考文献一覧が書いてありますが、日本語文献、韓国語(朝鮮語)文献、中国語文献、英語文献に分かれていて、70ページもあります。大変な量です。
 本書は、このような大量の文献に基づいて、客観的な記述を心がけています。
 オーツは、本書の論旨に納得できました。内容が大変おもしろく、ここ数年で読んだものの中で5指に入るレベルの好著だと思います。
 そして、タイトルにも納得できます。この大著の内容を一言で要約すれば、このタイトルになります。タイトルは1行で表した要約であるという立場からは、ピッタリのタイトルだということになります。
 第1章「反日する親日派の国」では、大韓民国が誕生した直後の国の指導層の経歴を綿密に調べています。すると、朝鮮総督府で指導的な立場にあった人たちが大半であることがわかります。つまり、総督府から横滑りで韓国を統治したことになります。簡単にいえば親日派です。そういう人事が大量に行われ、何も批判されなかったという事実は、今の目から見たら驚くべきことです。つまり、韓国の国民は、当時、親日派を支持したということなのです。なぜ、そうだったのかといえば、総督府をはじめとする、戦前の統治機構の中に多数の朝鮮人が登用されており、そういう人たちがそのまま新しい韓国の各部署に配置されるのは、国民全体がそれを当たり前だと考えていたということなのです。
 オーツは、これらの事実を知らなかったので、第1章が一番ショックを受けました。
 第2章「本当に抗日したのか」では、朝鮮半島での日本に対する抵抗のようすを描いています。極めて微弱であり、むしろ日本に統合されてよかったと考えていた人が圧倒的多数だったことを述べています。独立運動といっても名ばかりだったし、多くの韓国人が戦前を回想すると「あの頃はよかった」となるという話です。しかし、今は激しい抗日運動があったことになっています。韓国の教科書ではそのように教えています。
 第3章「日本の統治の特質」では、朝鮮半島を日本がどのように統治したかを記述しています。土地を略奪したなどということは、まったくの虚構です。むしろ、日韓併合は、経済・社会・教育・文化に関する革命が起こったかのようなものだったのです。韓国(朝鮮)学が始まったのも日韓併合後です。
 第4章「文明の断絶」では、朝鮮半島の歴史を記述しています。それは、朝鮮が小中華であり続け、中国に従属してきた歴史です。日本が関与して初めて過去と訣別して、新しく「韓国」が誕生したのです。その意味では韓国は近代に誕生したといっていいでしょう。その前に数千年の歴史があったわけではないのです。
 第5章「日本をかたどった国」では、韓国が日本のさまざまなものを「かたどった」ことを論じます。国の形、国祖信仰、郷歌、花郎道、テコンドー、などなど、実にさまざまなです。現在、それらが韓国起源だという主張がなされることがありますが、それに対して、松本氏は「なぜ昔の記録がないのか、何も書かれなかったのか」ということで一蹴しています。さらには「韓国は日本で誕生した」とすらいいます。なぜなら、当時東京に来ていた留学生たちが朝鮮語で新聞や雑誌を刊行したりして、そういう動きが朝鮮半島に伝わり、大きな影響を与えたからです。
 第6章「「侵略」と「建国」の交錯」では、中国と日本の戦争も踏まえて、日本が中国と戦うことによってようやく朝鮮が中国の一部というよりも独立国になっていったという歴史があり、韓国の建国は、大国間の狭間でもまれてしかたなくそうなったのであって、自らの努力で独立を勝ち取ったわけでも何でもないということです。
 第7章「反日主義の成立」では、突然の光復によって韓国という国が生まれ、そうなると、どうして国が現在成立しているか、そこが不鮮明になってしまいます。そこで、日本は邪悪だったということにし、それに立ち向かった人々が韓国を作ったということにしないと、国の成立が説明できないことになってしまいます。こうして、韓国が生まれたこと自体が反日にならざるを得ないということなのです。現在、韓国は親日派を追求する体制になっていますが、これは、そういうふうに考えないと国ができたことが説明できないからなのです。ですから、韓国人は、理性として反日を掲げざるを得ませんが、感情としては実は親日です。

 概略をまとめましたが、これらの記述は、本書中では大量の文献を示して、説得力を持って主張されています。こういう内容を現在の韓国人が読むと、どんな反応をするのでしょうか。大いに楽しみです。是非韓国語訳を出版してほしいものです。むずかしいですかね。

参考:http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52033511.html


posted by オーツ at 03:53| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする