2020年06月17日

串と糸でテキ屋のおじさんにやられた話

 ふと思い出したことがあるので、書いておきましょう。
 オーツが子供のころの話です。小学校低学年くらいだったように思います。60年前の話です。
 そのころに住んでいた自宅の近くの神社でお祭りがありました。参道にはいろいろなお店が建ち並び、小銭を握りしめた子供たちもうろうろしていました。
 オーツが歩いていると、一人のテキ屋のおじさんが串と糸で子供たちの相手をしていました。おじさんの手には3本の串があります。そのうちの1本には根元に糸が付いていて、下に5円玉が重りとして縛り付けられていました。3本の串の中から糸の付いた串をあてれば、景品としてプラモデルがもらえるというものでした。景品がなかなか立派なプラモデルでしたので、オーツは気になったのでした。おじさんは、「一人1回だよ〜。チャレンジする子はいないかな〜」などと言っていました。
 チャレンジ料は覚えていませんが、1回10円だったか50円だったかでしょうか。感覚的には子供でもがんばれば出せる金額でした。景品のプラモデルはチャレンジ料から考えれば相当に高そうなものでした。
 単純に計算すれば、3回に1回は当たりそうなので、これはチャレンジしてみてもいいと思いました。
 ちょっと見ていると、周りの子供がチャレンジしても当たらないのです。そんなことはあるまいと考えて、オーツは一度自宅まで戻って、小遣いとしてもらっていた小銭を持ってくることにしました。
 ちょっと待ち行列に並んで、オーツの番になりました。
 オーツはおじさんの手元に注意しながらじっと見ていました。
 おじさんは、3本の串を見せ、当たりが1本あることを確認させ、次に、それらの串をまとめて持って、両手でごちゃごちゃと混ぜ合わせました。さあ、どれが当たりの串か、わからなくなってしまいました。おじさんは3本の串が横に広がるような形にしました。串の根元はまとめて持って、見えないようにしていました。
 そのときです。おじさんの手が緩んで、1本の串に糸が付いているのがチラリと見えてしまいました。しめしめ。それが当たり串です。オーツは、それを選んで引っ張りました。結果は……はずれでした。
 そこまで経験して、はたと理解しました。
 おじさんは、3本の串をごちゃごちゃさせているときに、当たり串の根元に付いている糸を他の串の下の部分にくるりと巻き付けるようにしたのです。そしてそれをわざと子供に見せるようにしたのです。こうすれば百発百中、子供ははずれ串を引くようになるものです。そして、「一人1回だけ」というのも、この仕組みに気がついても2回目のチャレンジはナシということにして、秘密を守るようにしていたのでした。
 この串と糸の正しいチャレンジ法は以下の通りです。おじさんの手元を見て、チラリと見えた糸が付いている串を除外して、それ以外の2本のうちの1本を引きます。これで1/2の確率で「当たり」になります。たぶん、当たり串は見えた串の隣である可能性が高いと思われます。
 オーツは子供心によほど悔しい思いをしたのでしょう。先日、風呂に入っているときにこの話を思い出しました。
 この串と糸のくじはよくできた仕組みです。こうやってテキ屋のおじさんは生活していたのですね。これで儲けていくためには、目の前の子供に気付かれないように他の串の根元に糸をくるりと巻き付けるワザを習得しなければなりません。それなりに練習を積んで習得したのでしょうね。
 大人としては、そんなネタバラシをして子供にプラモデルをあてさせては、おじさんに対する営業妨害になってしまいます。大した金額でもないので、子供が気付くのを待って、失敗したら笑っていればいいわけです。
ラベル: テキ屋
posted by オーツ at 04:12| Comment(0) | 日常生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする