2020年05月07日

移動平均

 最近、オーツにとってちょっと気になることがありました。「移動平均」とは何か、どうグラフ化するのかということです。
 オーツが違和感を覚えたのは朝日新聞の記事でした。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14466691.html
「自粛解除、大阪が独自基準 府知事、15日にも判断」
(2020年5月6日 5時00分)
 この記事の中に、以下のような言い方が出てきます。
 吉村洋文知事は会議後、記者団に「具体的な基準を示さず、単に延長するのは無責任だ。困っているのは大阪だけじゃない。(政府は)具体的な指標を全国に示してもらいたい」と指摘。基準は、(1)感染経路が不明な新規感染者が10人未満(2)検査を受けた人に占める陽性者の割合(陽性率)が7%未満(3)重症病床の使用率6割未満――の3点。これを「警戒信号の消灯基準」とした。(1)と(2)の数値は日々の変動が大きいため、過去7日間の平均(移動平均)をみる。

 さて、ここで「移動平均」というのが出てきますが、これは「過去7日間の平均」と定義されています。オーツはここに引っかかったのです。
 仮に、5月7日を基準日として考えたときに、5月1日から7日までの7日間(過去7日間といえばこれしかあり得ないと思います)の平均を求め、それを7日の値とするというように読めます。
 これは正しいのでしょうか。
 ネット内を検索すると、wikipedia でも同様の説明が出てきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%BB%E5%8B%95%E5%B9%B3%E5%9D%87
単純移動平均(移動平均といえば普通はこのことです)のところに「例えば、10日間の終値の単純移動平均とは、直近の10日間の終値の平均である。」とあります。数式を見ても同じことで、ある日を基準にした10日間の移動平均とは、基準日から9日前から基準日までの10日間の合計を10で割って、それを基準日の値とするわけです。
 一方、ネットでは、これと異なる説明をしている記事も見つかります。

https://toukeigaku-jouhou.info/2015/08/23/moving-average/
「移動平均の意味や目的、求め方、注意点」
(最終変更 2018/12/17)
3日間の移動平均の求め方としては、
1日目、2日目、3日目のデータの平均を、2日目のところに当てはめる
2日目、3日目、4日目のデータの平均を、3日目のところに当てはめる
3日目、4日目、5日目のデータの平均を、4日目のところに当てはめる

 朝日新聞や wikipedia の説明と違っています。
 朝日新聞や wikipedia の説明によれば、「1日目、2日目、3日目のデータの平均を、3日目のところに当てはめる」ことになるのに対し、ここでは「2日目」に当てはめています。朝日新聞や wikipedia の説明では、「過去○日間」の平均となるのに対して、こちらは「前後○日間」となります。

 もう一つ、以下の記事も同じように説明しています。
https://bellcurve.jp/statistics/blog/15528.html
「移動平均の計算方法」
(2017/12/13)
https://bellcurve.jp/statistics/course/12933.html
「32-3. 移動平均」
これら二つの記事は同じサイト内の記事ですので、同じ内容になるのは当然です。Social Survey Research Information Co. による記事です。

 さて、移動平均に関してこのように異なる2種類の説明がなされています。
 オーツは困りました。どちらが正しいのでしょうか。
 どちらが「正しい」かをチェックするためには、専門家による記述に頼るしかないと考えます。
○竹内啓(編)(1989.12.4)『統計学事典』東洋経済新報社
○芝祐順・渡部洋・石塚智一(編)(1984.5.15)『統計用語辞典』新曜社
の2冊の記述を読んでみました。特に前者はオーツが一番信頼している統計学の事典です。分厚くて充実した説明が載っています。それによれば、「過去○日間の平均」でなく「前後○日間の平均」という説明がありました。(書いてある文言はこの通りではありませんが、趣旨をくみ取ればこう読めます。)2冊とも同じでした。
 というわけで、朝日新聞や wikipedia の記述は間違っているということになります。
 オーツが朝日新聞の記事を読んだときに違和感を覚えたのは、まさにこの点でした。
posted by オーツ at 04:19| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする