2018年12月21日

不正トラベル

 オーツは、とあるところで「不正トラベル」という言い方を目にしました。
 ネットで検索してみると、Aさんのクレジットカードを不正利用し、旅行代理店のふりをして旅行者Bさんから代金を預かり、クレジットカードで支払う形にする手口のようです。
https://www.jc3.or.jp/topics/travel_fraud.html
https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2018/10/19/41515.html
つまり、旅行者は、旅行代金を払って、数ヶ月(?)経って、いざ旅行という段階になって、(予約が入っておらず)旅行に行けないという形で被害が発生する仕組みです。
 もちろん詐欺であり、犯罪に該当します。
 ここでオーツが引っかかったのが「不正トラベル」という名称です。「不正〜〜」は、基本的に「不正な〜〜」あるいは「不正に〜〜する」という意味が普通です。「〜〜」の部分の品詞が名詞であれば(不正事件、不正行為、不正所得、不正医療、不正医師、……)「不正な〜〜」と言い換えられ、サ変動詞であれば「不正に〜〜する」という言い換えになります。サ変動詞の場合は「〜〜する」こと自体が不正なことになります。「不正」は形容動詞的に使われるわけです。不正競争、不正改造、不正受験、不正乗車、不正診療、不正請求、不正送金、不正操作、不正通行、不正取引、不正販売、不正融資、不正輸出、……。
 ただし、これには例外もあって、「不正」が名詞的に使われる場合で、不正疑惑(不正という疑惑)、不正白書(不正に関する白書)、不正防止(不正を防止する)、不正追及(不正を追及する)、不正糾弾(不正を糾弾する)、不正告発(不正を告発する)などがあります。
 「不正トラベル」に話を戻すと、これは「不正なトラベル(旅行)」「不正にトラベル(旅行)する」あるいは「トラベル(旅行)が不正である」という意味ではありません。ということは「不正トラベル」という命名はおかしいのではないでしょうか。
 こういう名称は、作ったもの勝ちであり、それが社会に受け入れられれば、あとから文句を言っても始まらないのですが、それにしても、複合語の連結規則を無視するような命名には違和感があります。
 では何といえばいいのか。オーツはあまりいい代案がないのですが、旅行詐欺くらいでしょうか。ちょっと意味が広すぎて適切な命名ではないような気もしますが、不正トラベルよりはマシでしょう。
posted by オーツ at 05:15| Comment(0) | ことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする