2018年11月13日

「働いている人の方が元気な状態を維持できる」は本当か

 オーツがネット内で見かけた記事ですが、日経新聞のサイトに、こんな記事が掲載されていました。
山崎俊輔(2018/11/12)「定年後は仕事と時間の自由確保 年金生活にどう軟着陸 年金問題をマネーハック(2)」
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO37434520W8A101C1000000
そこには、以下のように書いてありました。1ページ目の一部を引用します。
 先日開催された厚生労働省の社会保障審議会年金部会(第5回)を傍聴していたところ、配付資料に興味深いデータを見つけました。それは「65歳以上の就業率と65歳以上の医療介護費用には負の相関がある」というデータです。要するに多くの高齢者が現役で働いている地域ほど、医療費も低く抑えられているというわけです。
 また、「引退前と引退後のたった1年で日本人の健康状況は大きく悪化する」というデータもありました。要するにいずれのデータも「働いている人の方が元気な状態を維持できる」ということを示しています。

 これは本当でしょうか。オーツはそう思いません。
 第1に、「65歳以上の就業率と65歳以上の医療介護費用には負の相関がある」ということです。相関があることは正しいとして話を先に進めます。二つの事項に相関があっても、どちらが原因で、どちらが結果なのか、あるいはまったく別の第3の事実が隠れた原因になって、結果的に表面上二つの事項に関係があるように見えるのか、そこまでは保証されていません。
 したがって、相関があるということから「要するに多くの高齢者が現役で働いている地域ほど、医療費も低く抑えられているというわけです。」とは結論できないのです。このような場合もあるかもしれませんが、元気な高齢者が多くて医療費もかかっていない地域では、自分が健康であることから働こうとする高齢者がたくさんいて、結果的に多くの高齢者が働いている事態になっているのかもしれません。どちらが正しいのか、何とも言えません。
 第2に、「引退前と引退後のたった1年で日本人の健康状況は大きく悪化する」というデータも同様の問題があります。このことは、「働いている人の方が元気な状態を維持できる」ということかもしれませんが、そうでない考え方もあり得ます。元気な状態を維持できる高齢者は働き続け、元気でない状態になってきたら引退するということなのかもしれません。すると、上記のようなデータが得られることになります。
 記事では、「引退したから健康状態が悪化する」といいたいようですが、そうではなくて「健康状態が悪化したから引退する」ということかもしれません。どちらが普通に考えられるかといえば、後者の方が当てはまりそうに思えます。
 というわけで、新聞記事に書いてあったようなことでも、単純にそのまま信じていいとは思えません。疑り深く、自分の頭で考え、納得できるかどうかが大事です。オーツは、上記の記事からでは納得感が得られませんでした。

 山崎俊輔氏には http://financialwisdom.jp/contact を通して連絡できるようですので、ブログ記事を掲載した後に山崎氏にお知らせしようと思います。
posted by オーツ at 04:23| Comment(2) | ニュース時評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする