2018年10月18日

宇佐美典也(2018.6.14)『逃げられない世代』(新潮新書)新潮社

 オーツが読んだ本です。「日本型「先送り」システムの限界」という副題が付いています。
 著者は、経済産業省の官僚だった人ですが、30代で経産省を辞め、独立起業します。こういう経歴の人だからこそこんな内容の本が書けたのだろうと思います。
 4章構成です。
 第1章「先送り国家日本の構造と「逃げられない世代」」では、日本の構造的問題を説明しています。政治家のものの見方、官僚、野党などの問題点など、まさに納得できる内容です。なぜ日本が今のような状況になっているかをわかりやすく記述してくれました。オーツとしては、この章が一番おもしろかったです。
 第2章「社会保障の先送り課題について」では、日本政府の財政問題とからめて、国債の残高の増大、その利払い、社会保障のあり方などを論じます。この章も、日本が先送りを続けてうまくいかなくなってきた状況をきちんと描いています。
 第3章「迫り来る安全保障の危機」では、一転して安全保障の問題を論じます。太平洋戦争前から今まで、日本の安全保障は似たような状況があったとする見方はおもしろかったです。アメリカがなぜ日本を「守る」のか、「恐れているから守る」という論はその通りだと思いました。
 第4章「私たちはどう生きるべきか」では、そこまでの社会レベルの話から話が変わって個人レベルになります。年金受給年齢の引き上げに備えて歳を取っても働くことや、消費税を増税せざるを得ないこと、原子力発電の意味など、今後の日本のあり方を考える上で大事な指摘が随所に出てきます。
 内容を簡単にまとめることはむずかしいのですが、著者の考えが全体としてよくまとまっており、日本に対する見方が一貫していると感じました。
 読後の感想ですが、こういう考えを持っているならば、宇佐美氏は今後政治家を目指すべきではないでしょうか。第1章の記述を読むと、こういう考え方は取らないようですが、しかし、このように日本社会を見通している人だからこそ、大所高所に立った意見を述べてもらいたいと思うのです。まあ、政治家になったからといって、その主張が多くの有権者に支持されるとは思いませんが、こういうふうにきちんと物事を見ることができる人も政治家の中に必要だと思います。今は、政治家のレベルがあまりにも低すぎます。(そうなったのは有権者のせいではありますが。)もう少しまともな人が政治家にならないと、日本はどうしようもないと思います。宇佐美氏なら期待できそうです。

参考記事:
http://agora-web.jp/archives/2033509.html
http://agora-web.jp/archives/2033035.html
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52015632.html


posted by オーツ at 03:19| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする