2017年11月27日

フリーター経験者の4割が大学卒・大学院修了(2)

 オーツは、日経新聞で記事を読んでちょっとおかしいと思いました。
2017.11.26 http://o-tsu.seesaa.net/article/455133664.html
 こういう場合、たいていは記事の元になった調査の報告書があるはずで、新聞記者はその報告書を読みながら記事にするものです。
 ネットを探すと、ネタ元がありました。「労働政策研究報告書 No.199」です。
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/0199.html
 この調査では、合計2,992件を回収した(回収率は37.4%)とあります。かなり高い回収率です。若者がかなり興味と関心を持って回答したことがうかがわれます。
 上記の URL は概要の紹介ページですが、その中に「2001年にはフリーターの4割を高卒者が占めていたが、2016年には大卒者が4割を占めるようになった。」と書いてあります。日経の記者は、ここに着目して記事を書いたものと思われます。
 記者発表は以下のところに書かれています。
http://www.jil.go.jp/press/documents/20171020.pdf
日経新聞の記者は、これを読んで記事を書いたのでしょう。
 記事の先頭に、「調査結果のポイント <フリーター経験者の4割を占める大学・大学院卒者>」とあり、まさに「ここを報道してね」と書いているわけです。わかりやすい記者発表です。
 これによって、かなりのことがわかります。
 回収状況は、以下の通りです。
6.回収状況
回収率は 37.4%(回収数 2992 名 調査票での回収 2440 名、Web の回収が 552 名)うち無効票を除いた 2893 名を有効票とした。ただし第1回〜第3回調査までは現在学生・専業主婦(夫)は調査対象外であったため、第1回〜第3回調査との比較を行う際には、現在学生・専業主婦(夫)を除いた 2633 名を中心に分析している。

 また、フリーター経験者の定義も書いてあります。
8.フリーター経験者の定義
パート・アルバイト経験者(学生時代のアルバイトを除く)。

 そして、図表1で「フリーター経験者の学歴構成(25−29 歳層 単位:%)」が示され、これに基づいて日経新聞の記事が書かれたことがわかります。ただし、日経新聞の記事では、高卒、専門・短大・高専卒、大学・大学院修了だけが示され、合計が100%になりません。(日経新聞の記事では1256人という数字が示されていますが、その出所はわかりません。)こちらの図表1のほうは、合計が100%ですから、こちらのほうがくわしいということになります。
 しかし、この図表1は、前回のブログ記事でオーツが批判したような問題があり、必ずしもフリーター経験者が高学歴化しているとはいえないように思います。

 同じ記者発表の中に図表2があります。こちらは、回答者を学歴別に分け、その中で「フリーター経験者率」を求め、2001年から2016年までを比較しています。過去15年間で若干の差が見られますが、大きな変化ではありません。高卒は 45-67% と高い経験者率を示しますが、大卒は 15-28% とさほどではありません。
 オーツは、図表2のほうが実態を反映していると考えます。
 では、なぜ、日経新聞は図表1を使って記事を書いたのでしょうか。それは、「フリーター経験者の4割が大学卒・大学院修了」として、大卒のフリーターの比率が高いという記事のほうがインパクトがあるからです。しかも、日経新聞の記事のグラフでは、2001年から2016年まで変化が大きいということを強調するために、ネタ元のグラフにあった「中卒・高校中退」「高等教育中退」「在学中・その他」を省き、さらには、グラフの縦軸(%)のところを普通に0%から50%にするのでなく、わざわざ10%から50%にしています。
https://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXMZO2387645024112017CR8001&dc=1&ng=DGXMZO23866990U7A121C1CR8000&z=20171124
こうすることで、「変化」がより大きく見せかけられます。
 新聞記事としては「変化」があったほうがニュースバリューがあるわけで、「以前と同じ」だったら、報道する意味が(あまり)ないように思えます。
 しかし、こういうことで、同じデータであっても、グラフ化のしかたが変わると違って見えます。その中で「変化」が大きく見えるものを(意図的に)示すということで本当にいいのでしょうか。
 オーツは、マスコミの(というと、過度の一般化かもしれませんが、少なくとも日経新聞の今回の記事の)報道姿勢に大きな疑問を感じました。
 普通に記事を読んでいる読者は、こういう偏った報道に接し、洗脳されていくのですね。

 なお、「労働政策研究報告書 No.199」の全文は以下のところにあります。
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/documents/0199.pdf
212ページもある長い報告書なので、恐縮ですが、オーツはまじめに読んでいません。
posted by オーツ at 03:17| Comment(0) | ニュース時評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする