2017年04月07日

倉山満(2016.11)『国際法で読み解く世界史の真実』(PHP新書)PHP研究所

 オーツが読んだ本です。新書とはいえ、本文が300ページを超えますから、それなりに読み応えがあります。
 オーツは国際法に関する知識はゼロですから、とてもおもしろく読めました。戦争を中心とした世界史に興味がある人ならば、読んで損はないと思います。
 第1章 国際法で読む国別「傾向と対策」
 日本、アメリカ、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、イギリス、ドイツ、フランスを取り上げて、国際法の観点から見てそれぞれがどんな国かを論じます。最近の出来事を知っている人間からすると、腑に落ちることばかりということになります。こんな非常識な国々が共存しているのが現代社会ということになりますから、その中で生き抜いていくことは大変なことです。
 第2章 武器使用マニュアルとしての「用語集」
 国際法、慣習と条約、国家、主権、排他的支配、交戦団体、大国・小国、味方・敵・中立・同盟、戦争と平和(戦時と平時)、侵略・自衛・制裁、復仇、違法、外交官といった用語について解説しています。これらを理解することで国際法とはどんなものか、具体的に理解が進みます。
 第3章 国際法はいかに成立し、進化したか
 ヨーロッパを中心に発達してきた国際法ですが、世界史の中で起こったさまざまな事件とそれに対する対策として考えられてきた国際法ということで解説されます。日本はその中では例外的な国家であることがわかります。
 第4章 国際法を使いこなした明治日本、破壊したウィルソン
 日清戦争から日英同盟、日露戦争、第一次世界大戦、国際連盟までを描きます。国際法の観点から見てみると、各国の行動がきれいに整理されます。今まで世界史として覚えてきたバラバラな事実が組み合わされて全体として理解できるような気分でした。
 第5章 満州事変とナチス・ドイツを一緒くたにする愚
 満州事変から日本が中国大陸での紛争に巻き込まれていくようすを描きます。また、ヒトラーを中心とした欧米の歴史を描きます。
 満州事変はやはり「事変」であり、戦争ととらえることは問題があります。国際法の観点からはこれは明らかです。オーツは(特に根拠なく)戦争だと思っていたので、新鮮な気分で読むことができました。
 第6章 「戦争がない世界」は夢か欺瞞か
 日独伊三国同盟から日米開戦を描きます。

 というわけで、全体に国際法と世界史の関わりを大きな視野から論じた内容になっています。国際法は誤解されている面が強いと思います。政治家などは、そういう誤解を解き、正しい判断ができるようになっていないと日本の国益を損ないます。過去を振り返ると、そんなケースがいろいろありました。そんなことを考えるときの物差しとなってくれるのが本書です。


posted by オーツ at 03:18| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする