2017年04月03日

江崎道朗(2016.9)『アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄』(祥伝社新書)祥伝社

 オーツが読んだ本です。
 扉のところには、以下のような文言が書いてあります。
 アメリカの保守派の中には、東京裁判史観に疑問を持つグループが三つある。ソ連・中国の膨張主義に対抗するためには、日本の軍事行動は容認されるべきだったとする派。東京裁判自体が、実定国際法に反しているとする派。そして、ルーズヴェルト政権の内部に入り込んでいたソ連のスパイが対日戦争を誘導したとし、戦争の責任はソ連とルーズヴェルトにあるとする派の三つである。とりわけ1995年の「ヴェノナ文書」の公開によって、第三の勢力が確実に強まっている。
 こうした実態が日本で報じられることはないが、我々はアメリカの実情を、正確に理解すべきであろう。

 この文言を読んで、オーツはこの本を読むことにしました。こんなことは知らなかったし、この見方がおもしろいと思ったからです。
 いざ、読み始めてみると、オーツの知らないことだらけで、一気に1冊を読んでしまいました。これは東京裁判がどういうものかを知るためには大変いい本だと思います。
 日本にも保守派がいますが、そういう人たちは本書に書かれているような見方をしているのでしょう。そういう見方が正しいかどうかは、今後さらに考える必要がありますが、まずは、保守派の考え方を知っておいてもいいと思います。オーツは、そういうのを全然知らなかったので、本書をおもしろく読んだわけです。
 アメリカの中にもいくつかの考え方があるというのもおもしろかったです。日本から見ていると、何となくアメリカは一枚岩のように見えるものです。そうではないのですね。
 目次にしたがって概略を述べておきましょう。
第1章 対日政策で対立する二つのグループ――「ウィーク・ジャパン派」と「ストロング・ジャパン派」
 ウィーク・ジャパン派は、アジアの戦争を引き起こしているのは日本なのだから、日本を弱くすればアジアの平和は保たれると考えます。民主党に多い考え方です。戦争前のアメリカでは、こちらの考え方のほうが強かったでしょうか。ストロング・ジャパン派は、悪いのは中国国民党政権とソ連で、アジアの平和を維持するためには日本に経済制裁を加えるべきではないという考え方です。共和党に多い考え方です。
 オーツは、そもそもそういう二つの考え方があったということ自体を知らなかったので、大変おもしろく読みました。
第2章 葬られた「告発」――「第一次」近現代史見直しの挫折
 アメリカの中枢部にソ連のスパイが入り込んでいて、それを告発した人までいたのに、結果的にそれは無視された形になりました。
第3章 ついに公開された「ヴェノナ文書」――その衝撃と、歴史的意義とは
 「ヴェノナ文書」は、ソ連・コミンテルンのスパイたちの交信記録です。1940-1944 年にかけて、アメリカが暗号電文を傍受したものですが、それが 1995 年に公開されたのです。これによって、ソ連のスパイが当時どのように暗躍していたのか、明らかになってしまいました。したがって、それに基づいて戦前〜戦中の状況が手に取るようにわかるわけです。
第4章 アメリカ共産党の「トロイの木馬」作戦――コミンテルンの巧妙な戦略転換とアメリカの変質
 アメリカ共産党が政権内部などにスパイを送り込み、アメリカを動かそうとしてきました。その状況を具体的に述べています。
第5章 コミンテルンに乗っ取られたマスコミ――「反ファシズム」で新聞・出版を恫喝
 コミンテルンはマスコミの内部にも工作していました。
第6章 日米開戦へと誘導したスパイたち――目的はひとつ「ソ連を守るため」
 スパイたちの活動によって、アメリカの世論が反日親中になっていくようすを記述しています。
第7章 変わりつつあるアメリカの歴史観――現職大統領によるヤルタ協定否定の意義とは
 ヤルタ密約は間違いだったとブッシュ大統領(子)が認めたという話で、これまた驚きです。ヤルタ密約の後ろにもソ連のスパイがいたし、結果的にヤルタ密約が中国共産党の台頭を招いたわけです。
第8章 いまも続く共産主義勢力の暗躍――オバマ大統領、なぞの言動の秘密
 オバマ大統領の謎について語っています。

 というわけで、内容は大変おもしろいのですが、オーツは一読して、この内容をどこまで信じていいのか、わからなくなりました。もしも、これが本当なら、日米関係が変わってしまうくらいのインパクトがあります。
 なかなかそうはならないと思いますが、であれば、本当であっても、公的には否定される考え方ということになります。
 ともあれ、本書を自分で読んでみるほうがいいと思います。おもしろいことは確実です。


posted by オーツ at 05:11| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする