2017年03月28日

池田信夫(2016.8)『「強すぎる自民党」の病理』PHP新書

 オーツが読んだ本です。「老人支配と日本型ポピュリズム」という副題が付いています。
 面白い本でした。日本の戦後の政治の流れを概観しているような内容です。
 プロローグ「世界に広がるポピュリズム」では、デモクラシーがポピュリズムになる変化を述べ、日本型ポピュリズムは「無責任の体系」だと説きます。
 第1章「老人の老人による老人のための政治」では、世代による格差の問題を説明します。そして、日本が老人が支配する国になっていることを述べます。
 第2章「60年安保で失われた政策論争」では、農地改革が自民党を生んだが、高度成長が起こって日本の体制が固定化し、まともな政策論争が行われなくなってしまったことを述べます。
 第3章「社会党という無責任政党」では、社会党を中心に見た流れを説明しています。社会党は、都市住民を支持層にできなかった点が問題のようです。
 第4章「田中角栄の生んだバラマキ福祉」では、田中角栄がどんなことを考え、行い、強く大きくなっていったかを述べます。バラマキはけっこう選挙に強いというのが現実なんですね。
 第5章「小沢一郎がつくって壊した日本の政治」では、小沢一郎の動きを中心に見て、この人がどんなことを考えていたのかを述べます。
 第6章「小泉政権「官邸主導」の革命」では、小泉総理がそれまでのやり方とかなり違ったやり方を導入した経緯を説明しています。
 第7章「民主党政権の「政治主導」はなぜ失敗したか」では、人事のやりかたがうまくいかなかったことを述べています。
 第8章「「安倍一強」はいつまで続くのか」では、菅官房長官や公明党の性格などを眺めた上で、安倍総理はみこしとしてかつがれているだけだとしています。
 第9章「成長経済から成熟経済へ」では、財政再建や所得の再分配の話を絡め、これからの日本はどうするべきかを論じます。
 エピローグ「もし小泉進次郎が首相になったら」では2020年以降の財政や社会保障の話をしています。

 というわけで、著者の視点は非常に面白く、オーツは、この本を読んで日本の戦後史がわかったような気がしてきました。本書で出てくる人たちは、オーツが同時代的に知っている人も多く、当時はどういう人物かよくわからなかった場合もあったのですが、今顧みればこういうことだったのかという新たな枠組みが示されたようでした。本書は、いろいろな事件や歴史的事実がこう組み合わされて、こう解釈されて、こう描かれるということを示しています。新書1冊では十分論じきれないところもあるのでしょうが、オーツは、日本の戦後史を教えてもらったような気分でした。


posted by オーツ at 04:38| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする