2016年10月05日

池田信夫(2016.8)『「強すぎる自民党」の病理』(PHP新書)PHP研究所

 オーツが読んだ本です。「老人支配と日本型ポピュリズム」という副題が付いています。
 簡単に言えば、戦後の政治史といった内容です。戦後の日本がどのように政治的決定をしてきたかを描いています。戦後史を学ぶことがなかった人間にとって、日本の戦後の歴史はこういうことなんだよと教えられたように思います。その意味では、若い人にこそ読んでほしいと思いました。これから何十年も日本がどうなるか、日本をどうするか、考えるべき立場にいるからです。
 プロローグ「世界に広がるポピュリズム」では、デモクラシーが行き渡った世界だからこそポピュリズムが広がるのだということで、現代社会をポピュリズムの観点から説明しています。
 第1章「老人の老人による老人のための政治」では、今の政治のあり方を端的に老人政治であるとしています。まさにその通りです。
 第2章「60年安保で失われた政策論争」では、60年安保の位置づけがおもしろかったです。岸総理が何をどう判断したのか、現代の目で過去を見ながら、政治家はこう考えていたのだと説明しています。
 第3章「社会党という無責任政党」では、戦後の政治史を見るときに欠かせない社会党の簡単な歴史です。社会党とはどんな政党だったのか、こういう説明を聞くと、同時代を経験してきた人間としては、大いに納得するところがあります。
 第4章「田中角栄の生んだバラマキ福祉」では、田名角栄を例に、バラマキ財政がどんなものだったかを描きます。田中角栄によって自民党のあり方が変わったと言ってもいいのかもしれません。
 第5章「小沢一郎がつくって壊した日本の政治」では、小沢一郎がどういう政治家だったのかを描きます。これまたオーツは納得しました。
 第6章「小泉政権「官邸主導」の革命」では、それまでの自民党の政治の中で見ると小泉政権がいかに異色だったかを描きます。しかし、それはうまくいったわけではなかったといえます。
 第7章「民主党政権の「政治主導」はなぜ失敗したか」は、民主党時代の3年間、なぜ日本はうまくいかなかったのかをまとめています。今から思えば「政治主導」を掲げることがそもそも失敗だったのではないでしょうか。(その当時はそうは思わなかったのですが、……。)
 第8章「「安倍一強」はいつまで続くのか」は、今の内閣をどう眺めるか、どんなものと位置づけるかを論じています。まさに同時代の現代史です。政治に対する「目」がわかります。
 第9章「成長経済から成熟経済へ」では日本の経済のあり方が変わってきたということから、次の新しい時代をどう見るべきかを論じます。
 エピローグ「もし小泉新次郎が首相になったら」で、日本の近未来を描きます。うまくいくのでしょうか。これは未知数でしかありません。
 というわけで、読んでいてオーツの経験してきた日本の歴史が新しくとらえ直されたような気がしました。
 良書だと思います。


posted by オーツ at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする