2016年03月09日

コペルニクスの地動説

 オーツは、3月3日に NHK BS プレミアムで放送された「コズミック・フロント☆NEXT「地動説誕生のミステリー・天動説に異を唱えたコペルニクス」」を見ました。
http://www.nhk.or.jp/space/cfn/more/160303.html
天文学のすばらしさを感じた番組でした。
 第1に、それまで信じられていた天動説をきちんと説明していました。紀元2世紀に形作られたプトレマイオスの考え方ですが、その後、1300 年間もずっと正しいとされてきました。オーツは、その中身をよく知りませんでした。素直に星空を見上げ、天動説ができあがったくらいに考えていました。そうではなく、2世紀当時、火星の軌道が観測され、時折逆行する軌道を描くことがすでに知られており、それを説明するために、地球の周りにある「殻」に沿って火星が回転するだけでなく、そこにもう一つ小さな円軌道があり、その上を火星が動いているという考え方があったわけです。これは素晴らしい。当時の観測の結果を全部説明するべく作られた見事な理論だったわけです。理論と現実の観測結果がほぼ一致するという話です。
 そして、第2に、コペルニクスは、恒星が惑星の陰に隠れる現象を観測し、隠れる時間の長さが、プトレマイオスの天文学で示されるものと違っていることを発見したことです。コペルニクスは、単に新しいアイディアを出したのではなく、それまでの理論と観測結果が食い違うことを示し、それに基づいて考察を進めた結果、地動説という考え方が誕生したということでした。これがおもしろかったです。
 コペルニクスがなぜ地動説という当時としては異端の学説を生み出したかというのも興味深いものでした。仮説としての(地球の周りを回る)円軌道と、それに付随する小さな円軌道という考え方を少し拡張し、惑星が太陽の周りを回るとすれば、複雑な二重構造を考える必要もなく、殻と殻が重なってしまうという不都合も解消され、すべてがうまく説明できるということになります。
 というわけで、オーツが感心したことの第3は、コペルニクスは、大転換を成し遂げたといえば成し遂げたのですが、それは、全然新しい発想を打ち出したというよりは、それまでの説明をより妥当なものにしようとした、小さな改良が発端だったということです。結果的に、天文学を大きく変えることになったのですが、最初は、そんな大それたことではなく、マイナーな改良だったのです。しかし、考察を進めると、それは天文学の常識を覆すものになっていったわけです。
 このあたりは、科学史としても大変興味深いところです。高校の天文学(そんな科目はないけれど、物理か地学あたりでしょうか)でもいいので、概略を教わっていたらもっとありがたいと思いました。高校で天動説を教えても、間違っている考え方だし、意味がないと思われるかもしれないけれど、それを否定するために、コペルニクスが果たした業績は実に大きかったと思います。そのような「科学史」を知ることで、科学の方法論、考え方の変遷、なぜそのような変遷が起こったかなどを考えることができ、さらには、今後の科学者を生み出していくきっかけになればいいと思いました。
 それくらいにおもしろい番組だと思ったということです。
 関連するのかどうか、わかりませんが、オーツが半世紀ほど前に高校の物理の時間に相対性理論を学んだときも、さらりと触れられてしまって、とてもじゃないけれど、相対性理論の本質も何も関係ない話になってしまいました。まあ、相対性理論はむずかしいといえばむずかしいですが、きちんと話せば、一部の高校生は理解しただろうと思います。そういう、科学の発展のようすを教えることは、今後の科学者を育てることに繋がるだろうと思っています。その高校生が天文学に進まなくても、同じような考え方をするだけでも意味があると思うのですがねえ。
 オーツは、この番組を録画しておいて、後からタイムシフトで視聴したのですが、久しぶりにおもしろい番組に出会えたと思いました。NHK さん、グッジョブでした。

 3月10日(木)午前0時00分〜 にBSプレミアムで再放送があるという話です。
posted by オーツ at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする