2015年09月19日

小黒一正(2014.12)『財政危機の深層』(NHK出版新書)NHK出版

 オーツが読んだ本です。「増税・年金・赤字国債を問う」という副題が付いています。
 日本の財政が危機状態にあることを解説した本です。オーツは、今までに読んだ本や何やらで、この問題に関する基本的な知識がある方だと思いますが、そういう人間が読むと、当たり前のことしか書いていないように思われます。しかし、そういう知識が少ない人には、衝撃的な内容に思えるかもしれません。特に、若い人は、こういう本を一読しておくと、今の日本が抱える問題点の一番重要なことが把握できると思います。
 本書の目次は以下の通りです。
序章 迫り来る「財政破綻」
第1章 財政の現状はどうなっているのか
第2章 経済成長だけで財政再建は無理
第3章 歳出削減はなぜ進まないのか
第4章 このままだと「消費税30%」も避けられない
第5章 「異次元緩和」の巨大リスク
第6章 「国債安全論」を撃つ
第7章 年金は「100年安心」ではない
第8章 「世代間格差」を解消せよ
終章 「民主主義」の困難を乗り越えるために

 目次を見ると、だいたい本書の内容がわかります。そしてその通りです。
 日本の財政危機は、非常に大きな問題で、政治家たちはいったい何をやっているのかというような気になります。これから日本が沈没するのが見えているのに、まるでタイタニック号の甲板でクラシックの室内楽を演奏している楽士のような状態なのです。自分たちにはこれしかできないということで全力で名演奏をしているのでしょうが、やはりこういうときにはいかに命が救えるかということのほうに意識を集中させなければなりません。まあ、そうしたって手遅れの場合はどうしようもないのですが。
 日本は超高齢化しているので、シルバー民主主義の問題も世界で一番大きい状態にあります。普通に選挙して日本の方針を決めるというようなことでは、老人層が一番力を持ってしまうので、課題を先送りしやすいのです。誰も、今痛みを味わいたくないですからね。その結果、将来の人々(今の赤ちゃん、さらにはこれから生まれてくる人たち)に負担を負わせてしまうのです。
 こういう日本の状況を押さえた上で、ではどうしたらいいかも本書中で論じられています。しかし、なかなかその方向に舵が切られることはないでしょう。そういう性質の問題なのです。

 オーツが本書を読んでいて気になったことですが、ところどころ、図が違っています。本文の記述とずれているところもあります。たとえば、以下のようなところです。
 p.202 将来世代の「47.1%」が縦軸のスケールと全然合っていません。何か、勘違いがあるようです。
 p.237 縦軸の公的債務(対GDP)に単位が付いていません。正しくは「%」をつけるべきです。それがないと、200% ではなく 200 倍と読めてしまいます。p.191 では、縦軸の数値に「%」が付いています。
 p.239 凡例には、「@'」のようにアポストロフが付いていますが、図中にはアポストロフがありません。
 なぜこんなことがあるのか、オーツは不思議に思いましたが、一番最後(奥付の直前)に「図表作成 原C人、岸本つよし」と書いてありました。図表の作成は外部委託していたのですね。
 本の執筆の裏側が見えてしまいました。
 でも、そういう間違いの責任は著者にあります。


posted by オーツ at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする