2015年05月15日

九鬼太郎(2009.8)『“超”格差社会・韓国』(扶桑社新書)扶桑社

 オーツが読んだ本です。「あの国で今、何が起きているのか」という副題がついています。
 著者の九鬼太郎氏は、韓国在住の日本人企業家だそうです。韓国語に堪能ということで、自分の見た韓国を克明に描いています。
 評論、執筆活動もしているそうですが、研究者とは違っており、本書には1冊の参考文献も挙がっていません。本書に書かれたことは、全部自分で直接見聞きしたことという意味でしょう。
 序章「格差社会・韓国の変貌」では、最近、韓国が格差社会に変わってきたことを述べています。社長と新入社員の給与格差は100倍だそうですから、韓国が大変な格差社会であることがわかります。
 第1章「迷走する教育熱と受験戦争」は、いわずとしれた韓国の受験競争を描きます。夜、子どもを塾に通わせるために、塾周辺の不動産価格が上昇する(塾のそばに住むため)とか、深夜のスタバでは「塾父兄会」が行われるみたいに親が子どもを待ちながら各種情報交換をしているとか、小学校から海外留学をするとか、教育費が家計の7割を占めるとか、大学進学率が 84% であるとか、にもかかわらず新卒の正規雇用者は 20% という大変な就職難であるとか、いやはや、驚きの実態が描かれます。
 第2章「壮絶な企業サバイバル」では、企業で働くことのすさまじさが描かれます。韓国では、社長の一声で配置大転換があるとか、財閥企業オーナーがどんな無茶ぶりをしているかとか、韓国企業では「名誉退職」(という名前のクビ切り)制度があるとか、5%ルールといって業績が上がらない下位5%の社員が解雇される(これが毎年続く)とか、読みながら唖然とすることばかりです。
 第3章「ネット先進国の光と影」では、韓国が何でもインターネットで済む社会になっていることを描いていますが、一方では、ネットでデマが広がって女優が自殺するとか、中傷が瞬時に広まる「避難連帯」があるとか、ネット騒動が暴走気味であることが述べられます。国民性も関連しているのでしょうが、「影」のほうがずっと大きいような気になります。
 第4章「人口構成急変の歪み」は、韓国でも少子高齢化が急速に進んでいるようすを描きます。女性の社会進出もすごいことになっていますが、「儒教」との齟齬があり、韓国社会がどうあるべきか、いろいろ問題が起こりつつあるようです。農村の2組に1組が国際結婚などと聞くと、日本の今後がこうなるのかもと思ってしまいます。
 第5章「分裂する韓国社会」は、韓国内の地域対立を描きます。大統領の選出も、地域対立という視点で見るときれいに説明できたりすると聞くと、その激しさがうかがえます。対立の背景には、韓国の建国の歴史が関係するというのですから、簡単になくなりそうにありません。
 というわけで、韓国がどういう国か、とてもよく描かれています。
 オーツは、本書を一読して、こんな国に住んでいる人たち(韓国人)は幸せなんだろうかと疑問に思いました。なぜこんな国になってしまったのでしょうか。これからどういう方向に進んでいくのでしょうか。
 日本には多くの韓国人が住んでいます。そういう人たちはどういう考えで日本に住んでいるのでしょうか。
 オーツは、本書を読んで、もっと韓国について知りたいと思いました。


posted by オーツ at 05:47| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする