2015年02月03日

邦人の安全確保という指示はどうなる?

 日本人二人が、イスラム国を名乗るテロリストたちによって殺害されました。今回の残虐な行為にはことばもありません。
 今回の事件で、日本がイスラム国に敵対する国家だとイスラム国から認識されたことはとても大きい意味があります。これから日本および日本人がこの問題に関して何をどう考えるかは注目せざるを得ません。
 こういうことが起こると、しばしば首相が周辺の人に「邦人の安全確保に関して万全を期すように」と指示します。そういわれた人は、どこか(お役所の部局?)に「邦人の安全確保に関して万全を期すように」連絡します。連絡を受けた人は、さらに部下に連絡していきます。それはいいのですが、末端まで指示が届いたとして、具体的にどうするのでしょうか。
 日経新聞では、こんなことが書いてありました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS02H06_S5A200C1MM0000/
 首相は海外の邦人保護や国内でのテロの未然の防止に向け「水際対策、重要施設の警戒警護にこれまで以上に万全を期す」と強調。岸田文雄外相は海外の日本人の安全確保の徹底を全在外公館に指示したと表明し、シリアなど渡航延期や退避勧告が出ている地域の周知を図る考えを示した。

 外相から在外公館に連絡が行ったわけです。問題はそれから先です。どうするのでしょうか。

 今回の事件のことではありませんが、オーツは、ある人から書類の束を見せてもらったことがあります。数年以上前の話ですから、まあいいでしょう。それは、文部科学省から各大学の長に当てて「入試問題の出題に関してミスがないよう徹底するように」という趣旨のものでした。それが大学の学長室から各学部に連絡され、各学部は入試問題作成に関連する委員会の委員に伝え、……ということで、どのように伝わったかがわかる形になっていました。どんどん書類(発信者と送信先と日時を書いて、添付文書の趣旨を書いたもの)がおもてに追加されていくのですね。メールのヘッダーがサーバー間を行き来するとだんだん長くなるのと同じことです。そのときに添付されていた書類は、単なる通知だけでなく、厚さ数センチの書類でした。何が書かれていたのか、オーツは詳細を見ることはできませんでした。ただ、その厚さには圧倒されました。
 趣旨は理解できますし、納得します。しかし、どんな書類を回そうとも、これから作る入試問題には役立たないでしょう。膨大な資料は、コピーされて送られるのですが、結局、読まれずに置いておかれるのです。

 今回のイスラム国の事件に関しては違うと思いますが、末端まで指示が届いたとして、では、末端のお役人は具体的に何をどうすればいいのでしょうか。それを行うための人手や予算措置(増額)があるのでしょうか、ないのでしょうか。そういう配慮なしに「しっかりやるように」と指示することは簡単です。しかし、それでは書類が関係部署に回るだけで、結局、何もしないことにもなりかねません。
 マスコミなどでは、「総理大臣は関係閣僚に◯◯を指示した」とか伝えて終わりにしています。そして、もしかすると首相はそれで仕事をした気になっているのかもしれません。しかし、それで終わりではありません。指示が末端まで届いたのか、それを行うための予算措置や人手の確保をどうするのか、何を具体的に行ったのか、報告を求めるのか、その報告をチェックするのは誰か、そういうさまざまなことを詰めた上でないと、「指示」はできないと思います。
 このあたり、一体どうなっているのでしょうか。オーツは役所の中のことを知らないので、何ともいえませんが、オーツが見た書類のように、あちこちでヘッダーならぬ表書きが追加されて書類を回して終わりになっていないでしょうか。
posted by オーツ at 04:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース時評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする